第4詩集

球体、タンポポの

「詩集 球体、タンポポの」
秦 ひろこ

A5判変形並製、120ページ 
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-240-2 C0092

装幀 宮島亜紀
装画 保坂優子
 
 
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著者プロフィール

秦 ひろこ(はた・ひろこ)
(本名:清水弘子) 1954年生まれ

『たゆたゆうかぶたいじのころよりもっとふかく』(2002 年)
『ジェホメの問い』               (2005 年)
『しらゆきひめと古代魚ゴンドウ』        (2009 年)

もくじ

分身  
ふゆのくもりのキャミソール  
ゆびたちが  
タカになる  
翼竜など  
羅紗バサミ  
前橋  
やさしいへび  
カリブーの仔もロウソクも  
言ってくるもの  
みあげるゆき  
思イ出シテクレロ  
洋梨  
人形寺  
石のかたち、舟  
猛禽期  
水の人  
炎暑  
もんしろちょう  
カミナリ蝶  
球体、タンポポの  
ストロゥは  
牛乳びんとクマゼミの朝        
かむ  
竹ものさし  
入れ子のわたし  
内部駅の木の改札  
あとがき

球体、タンポポの
 
 
ねこ科の幼獣や
鳥たちと             
おなじ組成    
       
球のかたちの一本いっぽん     
彼らの和毛と同質なので    
植物というより動物       
うまく触れれば
体温が伝わるいきもの                 
          
ビッグバンからの星の成分は              
いまだ宇宙くうかんの浮遊を夢想       
かろうじて         
きみどり色の茎がつなぎとめる        
                                   
天賦の才色は                     
じぶんの形状を
うつくしい数式にあらわす                
幾何学へのひそかなあこがれ 
        
春のおわり地面のうえ   
ほのしろい球体をあちらこちらに浮かべ
漆黒の無重力をなつかしむ 
ふわり そのまま宙に                 
ただよいたい      
 
けれど                     
本能なのか理性なのか時を知り           
百にも二百にもかたちを解いて         
幼獣のひげのシンプルへ               
いのちを抱いた          
軌道のない気ままの旅           
                                
見るものを                     
子どものこころでえいえんにくすぐり          
失くしそうなわたしの子ども      
やわらかに かき立てて
   
完全むくの造形を                  
ずっと眺めていたいのに
そういうものほど誘惑され            
そおっと折りとり 
ふうううっ…    
                     
ふるくからの伝承
ケサランパサランとの関わりは
ふふふ
いまだ秘密