書籍

『たやすみなさい』 岡野大嗣

現代歌人シリーズ27
『たやすみなさい』
岡野大嗣

四六判変形/並製/144頁 
定価:本体2,000円+税  
ISBN978-4-86385-380-5 C0092

カバーイラスト:安福 望 5刷

第一歌集『サイレンと犀』につづく
5年ぶりの第二歌集、ついに刊行!

【著者選】
写メでしか見てないけれどきみの犬はきみを残して死なないでほしい  
返信はしなくていいからアメリカっぽいドーナツでも食べて元気だして
もう一軒寄りたい本屋さんがあってちょっと歩くんやけどいいかな  
ゆぶね、って名前の柴を飼っていたお風呂屋さんとゆぶねさよなら 
二回目で気づく仕草のある映画みたいに一回目を生きたいよ

2019年10月全国書店にて発売。

【著者プロフィール】
岡野大嗣(おかの・だいじ)
1980年、大阪府生まれ。歌人。2014年に第一歌集『サイレンと犀』(書肆侃侃房)。2017年、木下龍也との共著歌集『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』(ナナロク社)。反転フラップ式案内表示機と航空障害灯をこよなく愛する。
Twitter:@kanatsumu

 

【帯文】

「自分が見落としていた記憶を
連れて来てくれる
とてもやさしく

体験を(こんなに簡単に)
捏造してくれる
とてもあたたかく

大嗣くん

あの時間を 丸ごと
カプセルに閉じ込めたような言葉達は

それぞれの経験が誰のものにもなり得る
そんな可能性(未来)を
示唆しているかも知れないよ」
国府達矢​(ミュージシャン)

 

「21世紀前半のなにげない日常に潜む、
こわれやすい奇跡を、琥珀の中に永遠に
閉じ込めてしまうような作品の数々。
ポップスのように、映画のように。
短歌って今もこんなに
アクチュアルなものだったのか」
七尾旅人(シンガーソングライター)


現代歌人シリーズ
現代短歌とは何か。前衛短歌を継走するニューウェーブからポスト・ニューウェーブ、さらに、まだ名づけられていない世代まで、現代短歌は確かに生き続けている。彼らはいま、何を考え、どこに向かおうとしているのか……。このシリーズは、縁あって出会った現代歌人による「詩歌の未来」のための饗宴である。

現代歌人シリーズホームページ:http://www.shintanka.com/gendai

書評

「GINZA」2019年12月号 評者=鳥澤光さん
《不思議なタイトルの詳細はすぐに判明する。優しい願い、ひとりの挨拶。でもそれは意味だろうか。意味に寄り添ったり、そこから離れて音になったり、景色になったりしてもいるようだ。短歌は歌で、歌は音。いくつもの時間が、瞬間が、みそひともじの音を与えられ形を得て、古い記憶も新しく生まれ直す》

「朝日新聞」2019年11月17日 評者=小谷裕香さん(本の学校今井ブックセンター)
《些細なのに大事で、大事なのに頭からぽろぽろこぼれ出てしまう日々の断片。短歌集『たやすみなさい』は、そういうかけらの端々を集めて31文字に詰め込んだ、ずっと大事にしたくなるような本だった。〔……〕この本の中には、ささやかで、けれどいとおしいと感じさせてくれる、生の瞬間を切り取った歌たちがあふれている》

「Hanako」2020年1月号 評者=木下龍也さん

《だれかの記憶を自分の記憶のように愛おしく思う。そして目を開き、言葉を紡ぎ、歌を奏でたくなる。そんな一冊だと思う》 

「Hanako」12月19日号 評者=惣田紗希さん

《夜空のようにきらきらと輝くこの本を開いてみてほしい。〔……〕誰の日常にも繋がり得るようなささやかな記憶のようなものが詰まっている》

「週刊新潮」2019年12月号 評者=倉本さおりさん
《例えば岡野大嗣の歌が提示するのは、暴力的なまでに変化する現代の中で、そっと光るシェルターのような時間だ。日常と地続きの場所に、エアポケットのように「歌」がある世の中———期待はおおいに膨らむ》

「朝日新聞」2019年1月30日 評者=千葉聡さん