書籍

『はじめまして現代川柳』小池正博編著

『はじめまして現代川柳』
小池正博編著

四六判、上製、312ページ
定価:本体1,800円+税

ISBN 978-4-86385-420-8 C0092 3刷

装丁:森敬太

装画:大河紀

いまいちばんおもしろい言葉がつまった、

現代川柳の決定版アンソロジー誕生!

川上日車、石部明から八上桐子、柳本々々まで35名の柳人76句選。

詳細な作者紹介、「現代川柳小史」を付す。

2020年10月全国書店にて発売。

 

【目次】

はじめに 現代川柳とは何か?

第1章 現代川柳の諸相

石田柊馬 石部明 海地大破 加藤久子 佐藤みさ子 墨作二郎 浪越靖政 丸山進 渡部可奈子 渡辺隆夫

第2章 現代川柳の展開

くんじろう 小池正博 滋野さち 清水かおり 筒井祥文 中西軒わ なかはられいこ 野沢省悟 畑美樹 松永千秋   

第3章 現代川柳の源流

川上日車 木村半文銭 河野春三 中村冨二 細田洋二

第4章 ポスト現代川柳

飯島章友 川合大祐 暮田真名 榊陽子 竹井紫乙 芳賀博子 兵頭全郎 湊圭史 八上桐子 柳本々々

第5章 現代川柳小史

 

【収録作品の一部】

先生の生まれた町のあぶらあげ  八上桐子

銀河から戻る廊下が濡れている  加藤久子

この辺が机の顔と思います  佐藤みさ子

ややこしいので馬肉だと言っておく  丸山進

「「「「「「「「蚊」」」」」」」」  川合大祐

付箋を貼ると雲は雲でない  兵頭全郎

時速などというから豆腐が固くなる  石田柊馬

いけにえにフリルがあって恥ずかしい  暮田真名

おやすみなさい(銀河パッケージング)  柳本々々

さかな屋にある 靴下の透明度  墨作二郎

逆噴射できる余力は残しとく  浪越靖政

ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ  なかはられいこ

都合よく転校生は蟻まみれ  小池正博

 

【はじめにより】

 現代俳句や現代短歌について、短詩型文学に関心のある読者であればある程度のイメージを持っておられることだろう。けれども、「現代川柳」について、それがどのようなものか、具体的な作者や作品を挙げて語ることのできる人は少ないと思われる。川柳といえば「母親はもつたいないがだましよい」「古郷へ廻る六部は気のよわり」などの「古川柳」であり、「近代川柳」や「現代川柳」は一般にはあまり知られていない。

 現在書かれている川柳の場合でも、よく目にするのは新聞川柳・時事川柳・サラリーマン川柳などである。そのような一般に流布している川柳イメージと重なりながらも異なるかたちで、文学としての川柳は書き継がれてきた。

 「現代川柳」には「現代の川柳」とは異なったニュアンスがある。一九七〇年前後、「現代川柳」は「革新川柳」「前衛川柳」という意味で川柳界では受け止められていた。「伝統川柳」と「現代川柳」という対立軸があったのだ。現在では伝統と革新ということはあまり言われなくなったが、伝統であれ革新であれ、文芸としての川柳を志向する作品を「現代川柳」と呼んでおこう。(……)

 具体的な川柳作品を読み味わっていただくことによって、短歌や俳句とは異なる言葉の使い方・表現の仕方を感じ取っていただければと思う。

 

【編著者プロフィール】

小池正博(こいけ・まさひろ)

1954年、大阪府生まれ。1997年「現代川柳点鐘の会」に入会、墨作二郎に師事。「バックストローク」「川柳カード」同人を経て「川柳スパイラル」編集発行人。句集『水牛の余波』『転校生は蟻まみれ』、評論集『蕩尽の文芸 川柳と連句』。

掲載情報

東奥日報(12/4)

《時事川柳や古川柳とはひと味違う現代川柳の魅力を伝えている》

本の雑誌(22年7月号)

母の友(23年8月号)「いま、読みたい本」 選者=小山田浩子さん

《何となくぱっと開いたところを読んで、ちょっと笑ったり、悲しくなったり、それについて一日考えたりするのも面白い》