化粧女王を探す長い旅 by 大王

2005-08-04 【国家健全化計画2005】10国家健全推進章を受章

【国家健全化計画】10国家健全推進章を受章

 芋縄が西区愛宕山の刈り込みでたてた手柄によって、芋縄は、国家健全推進章を受章することになった。受章式は、7月3日だ。

 「おイモくん、あすは受章式ね」 「はい」

 係長は、濃紺の半袖制服を着ている。下は制服のタイトスカートなのだが、係長が着ると、まるで超ミニを着ているように、あられもない姿である。

 「きょうは、午後から帰宅していいよ。受章式に備えて、ゆっくりしないとね。あすは、大臣も来るからね。入って2ヶ月で、受章する職員は、これまでいなかったということよ」

 「はあ」

 身長161センチ、体重76キロの芋縄の前に、身長169センチ、体重52キロの係長が立つ。

 「おイモくん、嫉妬されないようにしないとね。同僚たちは、あなたのことをうらやましく思っているはずよ」

 「はあ。。」

 芋縄は、仕事以外では、係長に意思表示が満足にできない。

 長い髪の奥からきらららっと輝く係長の瞳でみつめられて話しかけられると、それだけで何も言えなくなってしまうのだ。

 「おイモくんって、おなかが出ているんだね」

 係長は、芋縄の腹部を見つめて笑った。芋縄はあわてて息を吸い込み、おなかをひっこめた。

 「それじゃ、きょうは帰りなさい。あすの式典には第1種制服で来るのよ。その帽子、貸しなさいよ。あたしが明日までにアイロンかけといてあげるから」

 係長は芋縄の帽子をすばやくむしりとり、そのまま部屋を出て行った。

 芋縄は、誰もいなくなった係長室を出ると、作業員詰所に戻った。そこには、鼻声ぶつぶつ男が待っていた。

 「おまへ。言っておきたいことがあるろ」

 無帽の芋縄をじろじろと眺めながら、鼻声ぶつぶつ男が厳しい視線で口を開いた。

 「なんでしょうか」

 「おまへは、係長に惚れたりはしていないだろうな」

 「とんでもありません。服務規律で禁止されています」

 「受章するからと言って、いい気にらるなよ」

 受章を嫉妬しているのかな。芋縄は、一瞬そう思った。

 「これらけは言っておくろ。おれたち作業班は、やつら管理職とは違うんら。住む世界も違うということら。おまへの上司は、おそろしい女らろ」

 恐ろしい?係長が?

 「その意味はおまへにはわからんらろ」

 「分かりません」

 「おれは50年組ら。同期で6人入った。しかし、5年間続けて働いているのは、おれひとりら」

 「ほかの5人はどうしたんですか」

 「採精刑務所にいるら」

 「採精刑務所。。なぜ職員が」

 「5人とも上司に手を出してしまったんら」 

             (以下次回)

 


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