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October 2025
“keep up appearances”
- 2025-10-04 (Sat)
- 総合
国内外で大きな動きが起きている。変わりがないのはウクライナが舞台となったロシアの侵略戦争だ。プーチン露大統領が心変わりしない限り、ウクライナの人々の窮状は続く。ウクライナが攻勢を強め、ロシアの被害が拡大すれば、プーチン氏が核兵器を使う可能性だって否定できない。出口が一向に見えない。
新聞社の国際部に籍を置いていた身であれば、本来ならイスラエルとイスラム主義組織ハマスの和平交渉について書くべきなのだろうが、中東情勢は直接取材した経験が乏しい。従ってネタニヤフ・イスラエル首相が何を考えているのかとんと分からない。今の惨状は明らかにイスラエルの一般市民を襲撃したハマスの残忍なテロが引き金となったことは間違いないだろうが、ユダヤ人とパレスチナ人との確執は門外漢には容易に口をはさみ難いことも事実。ガザ地区を着の身着のままで追われ、飢餓の危機にさらされているパレスチナ住民には一日も早く安寧の日々が戻ることを願わざるを得ない。
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土曜日の午後、外ではもの凄い雨が降っている。私が住んでいる沈滞の安マンションは出水の心配をする必要はないが、他の周辺地区はどうだろうとちょっと心配になる。NHKテレビの自民党総裁選の開票作業の報道を横目にこの項を打っている。総裁選はどうやら高市早苗氏と小泉進次郎氏の決選投票になったようだ。テレビで二人が決選投票を前に行った最後の演説に耳を傾けたが、正直、心を打つ内容ではなかった。どちらが新総裁、続いて新首相に選出されても何だかなあと思わざるを得ない。どちらが選ばれるにせよ、今の日本国民の民度に相応しい人物なのだろう!(高市氏が結局勝利した)
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英BBCのホームページを見ていたら、ある女優の訃報が目に入った。見出しはKeeping Up Appearances star Patricia Routledge dies at 96 (「キーピング・アップ・アピアランシィズ」のスター俳優パトリシア・ラウトレッジ氏が96歳で死去)とある。
私が新聞社のロンドン支局に勤務していた1990年代、見出しにうたわれたこのドラマが大好きでよく見ていた。英国の庶民の上流志向をユーモラスかつ皮肉たっぷりに描いた喜劇で、彼女の計算された何気ない仕草に何度笑わされたことか。実力に裏打ちされた名演だった。このドラマに出ていた役者の大半は鬼籍に入っているのだろう。そうか、彼女もついに逝かれたか。
“keep up appearances” は英語でよく見られる表現で「世間体をよくする、見栄を張る」という意味が辞書に載っている。彼女が演じたのはロンドンの郊外の住宅に住む主婦、ハヤシンス・バケット(Hyacinth Bucket)。私の印象に残っているのは彼女、すなわちバケットさんが自宅にかかってきた電話に出る時など、自分の名前をBucketとは言わず、Bouquet(ブーケイ)と発音し、あたかもフランス名のような気取った印象を漂わせていたことだ。BBCの記事は次のように記述。She pronounced “bouquet” – a comic creation who lampooned the extremes of English pretension and snobbery. そう、イングランド人の上流崇拝、俗物性をユーモラスに描き、健全な笑いをもたらしてくれるいいドラマだった。
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