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英語でさるく 那須省一のブログ

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琴線、きんせん、kinsen

 前回の項で言語学者の田中克彦氏の著作『言語学者が語る漢字文明論』を紹介した。著者が訴えるように、日本語にとって漢字は甚だ有害であり、国際社会に流布する言語として自立するためには漢字を棄て、かな文字かローマ字表記にすべきなのか。門外漢の私にはよく分からないが、以下に二、三思ったことを記しておきたい。
 日本語を書く場合、漢字を捨て、「かな」か「ローマ字」による表音文字での記述に一新すべきという著者の主張は一見、荒唐無稽のように聞こえるが、私は一考に値すると思う。例えばローマ字表記。携帯電話やネット通信がなかった昔、新聞社のナイロビ支局(ケニア)に勤務していた頃、東京本社の職場からテレックスで留守中の自宅に届いたメッセージ。Kochira Tokyo. Nasu-kun, isogi tsugino genko okutte kudasai. とローマ字で書かれたメッセージを、日本語を全く解しないケニア人のメイドは私に電話口でやすやすと読み上げてくれた。
 私はこの時、日本語はそれを学んだことのない外国人にも日本人が分かる音で口にすることができる言語であることを知った。問題はしかし、ローマ字表記が日本語に適しているとしても、例えば「琴線に触れる」とか「涙腺が緩くなる」といった日本語特有の味わい深い語句・表現は単に「kinsen-ni fureru」「ruisen-ga yurukunaru」で十分なのかということだ。「kinsen」という語彙を学ぶ時に「kokoro-no oku-ni himerareta sensai-na shinjo」とでも説明されたとしたなら、今の我々が「琴線」や「涙腺」という漢字語を目にしたり、耳にしたりした時に感じる、日本語の奥深い味わいを共有できるのだろうか。
 また日本語の「欠点」と見なされている「天下」「点火」「添加」「転化」などの同音異義語も「tenka」と書くだけではその差異を示せない。さらに音声はともかく、漢字を捨てると、我々が享受している書き言葉の「一目瞭然の利点」は消え去る。
 かな表記もローマ字の26字に対し、50音だから、無数にあるように見える漢字に比べれば、間違いなく対処し易い。だが我々のように漢字に慣れてしまった身には「きんせんにふれる」「るいせんがゆるくなった」というかなだけの書き言葉を目にすれば、がっかりすること請け合いだ。
 もっとも、最初からかな表記だけを学んだとしたなら、我々が感じる文章に漢字のない違和感を未来の日本人は感じないのだろうか。また漢字の知識がないと語源を知るのがとても難解になるのではと思わざるを得ないが、こうした点もクリアできるのだろうか。
 著者はあとがきで、22世紀末には日本語から漢字が消滅しているであろうという専門家の予測も紹介している。過ぎ去った20世紀の最初の50年間に書かれた小説の中で使用されている漢字の減少傾向からそう推計されるのだという。漢字はやがて消える運命?
 私のように中国語を学んでいる身に勇気づけられるのは、著者の次の指摘だ。「私は中国語の学習をやめようとか、漢字の研究が無用だとか言っているのではない。それとは全く逆に、自立した日本語をつくるには、中国語と漢字の研究はますます必要になってきている。それはほかでもない、中国語というものを字からだけではなく、ことばそのものとして理解し、さらにその知識を利用して、いい日本語を作るためにである

日本語に漢字は有害!?

20190925-1569382366.jpg 実に興味深い本を読んだ。新聞社勤務時代の同僚に薦められた本で『言語学者が語る漢字文明論』(2017講談社学術文庫)。著者は1934年生まれの言語学者、田中克彦氏。日本語にとって漢字は甚だ有害であり、国際社会に流布する言語として自立するためには漢字を棄て、かな文字かローマ字表記にするべきだと訴えている。うーんと唸らざるを得ない。
 例によってマーカーを走らせたところをここに記しておきたい。
 日本語は一〇世紀頃、漢字から、オト表記のためのかな文字を作った。そして女たちはかな文字だけで書く文学を発展させることによって、日本語を見事に自立させたのである。ところが出世主義者の男たちは政治と学問を一人じめするために漢字を手放さなかったのみならず、いよいよ、さらにこみ入った使いかたを考え出し、自らの地位の確保のために利用したのである。かれらのせいで日本語は、漢字のしばりから離れて真に自立した日本語の書きことばを確立するチャンスを失ってしまったのである。
 このように考える学者の系譜は脈々と続いているようで、服部四郎(1908-95)という言語学者の見解も紹介されている。[以下に述べるのは、私が]他民族に接して始めて、動かすことの出来ない程度に堅くなった意見である。[・・]思うに日本民族は、将来漢字を棄て表音文字(ローマ字・仮名等)を絶対に採る必要がある。[・・]表音文字を採らなければならないと考える理由は、第一に漢字が日本語そのものを壊している事実は著しいものである。どう云う字を書きますかと聞き返さなければならない言葉、即ち見てはわかるが聞いてはわからない言葉の如何に多い事よ。かゝる単語の多いことは、日本語が言語として不完全なる事を意味する。(中略)第二に、日本人にとって国語学習が遥かに楽になる。(中略)第三に、漢字を使用しない異民族に日本語の学習がどれ程容易となるかわからない。日本語が表音文字で書かれていたら、西洋にも学習して呉れる人々がずっと多く出て来るであろう。
 以前にも、日本人、日本語にとって我らの祖先が漢字と出合ったことは大いなる不幸であったと説いた書をこのブログでも紹介したことがある。(2019年4月12日の項)。それを思い出した。田中氏の主張をもう少し列記すると。
 漢字はことばではない、もっと正確に言えば、ことばを表していないからである。(中略)漢字が文字ではなく、半ば絵だからである。
 日本の将来を考えるならば、むしろやるべきことは、「漢字文化圏」という牢獄の鎖をたち切って、そこからさっさと脱出し、日本語独自の道をさがすことにこそ力をそそぐべきだ。(中略)そして今、やはりこれからも何かマネをしなければならないとすればむしろ朝鮮人のやったハングル化の道である。言うまでもないことだが、朝鮮のハングルではなくて、日本のハングル=かな、あるいはローマ字によってである。

 次の見解には思わず笑ってしまった。私も異論はない。私は、漢字に興味をもってはいけないというのではない。漢字の考古学をやる人はいてもいいが、すべての人がそれをやる必要はなく、まして入学試験などで、人の能力・知力を測るための道具に利用してはならない。漢字を知っていても頭の悪い人、いな、漢字を知っているためにかえってアタマを悪くしてしまった人たちを私は数えきれないほど知っている。

裏日本シリーズあれかし!

20190923-1569209945.jpg 台風17号。私の住む福岡市東区では雨はたいしたことはなかったが、昨晩は風が凄かった。隣のマンションの外壁がリフォーム中で、外壁を覆っている幕が暴風ではためきうなっていた。ただ、暴風は時間的にはそう長くはなく、ほどなく収まった。神様に感謝だ。
 英BBCのホームページでは地球温暖化問題がいよいよ深刻化していると報じている。2014-2019年は記録的な高温の年であるという国連機関の報告を紹介。二酸化炭素の削減努力は待ったなしの状況にあるようだ。
                  ◇
 世間は二週連続の3連休。こちとら、ほぼ年中連休みたいなものだから、ありがたみは全然感じない。たまに電車に乗る時、あ、今日は何だか空いてるな、あ、連休かと気づいた時などに、混雑していないことに感謝するぐらいか。
 世の中が連休中だと週末気分で禁酒を解禁できる。週末ごとに飲んでいたら、もはや禁酒とは言えないことは百も承知しているが、まあ、そこはそこで・・・。最近では一合(180cc)の量を知ったので、焼酎をきっかり一合測って飲んでいる。
 それで、たまには他のものを飲みたいとコンビニの酒類コーナーを眺めると、初めて目にするものがあった。焼酎のハイボールとうたっている。しかもゆず風味と。プリン体0、糖質0、甘味料0とも。飲んでみたが、どうも甘いというか、飲めない。アルコール分7%とある。やはり度数が低すぎるのか。よく分からないが、とにかく二口三口飲んだところでギブアップした。とてもそれ以上飲むこと能わず。残りは全部流しに捨て、改めて黒霧島をロックにして飲んだ。こちらは美味い。一合はすぐになくなってしまった。本当はまだあと一、二合ほど飲みたい気がするのだが、この辺りでやめておくのが無難。
                  ◇
 プロ野球。セリーグは巨人が優勝し、まあ満足。パリーグはまだソフトバンクホークスと西武ライオンズがデッドヒートの戦いを繰り広げている。数字的には西武が優位だが、まだ波乱の余地もある。いずれにしろ、今のプロ野球はプレーオフがあるので、優勝したからといって日本シリーズに即行けるとは限らない。
 仮に西武が今年も優勝して、プレーオフで昨年に続き、ソフトバンク、あるいは3位に滑り込んだチームに敗れたら、西武ファンは泣くに泣けないだろう。辻監督はまたあの号泣を見せるのだろうか。まあ、私は西武ファンではないので、どうでもいいが。
 このブログで過去に書いた記憶があるが、たかだか6チームしかないセパでプレーオフはないと思う。大リーグのように15チームがアメリカン、ナショナル両リーグに分かれて戦うのであれば、プレーオフの妙味は十分ある。6チームでは辛うじて勝率5割を上回った3位のチーム同士の日本シリーズ決戦となり、勝ったチームが日本一となる可能性もある。そんなものは日本一でも何でもないだろう。くじ引きに当たったようなものだ。
 それよりか、セパ両リーグの最下位チームと独立リーグやノンプロ、大学、クラブの優勝チームを集め、裏日本シリーズでもやった方がよっぽど盛り上がるだろう。実現すれば、私は絶対見る。日本シリーズより面白いかもしれない。

好好儿干吧!(がんば!)

 月曜日だったか。香椎浜をスロージョギングしながら、KBCラジオをイヤホンで聞いていた。パリーグのソフトバンク対日本ハム戦が実況放送されていた。本当はセリーグの巨人対阪神戦が聞きたかったのだが、福岡は地元のソフトバンク天国。ソフトバンクでなかりせばプロ野球にあらじといった感覚だ。
 地元球団だからそれはそれでいいとして、違和感を禁じ得なかったのは、私が聞いていた1時間から2時間近く、セリーグの途中経過は全然言及されなかったことだ。ソフトバンク戦は午後2時試合開始のデイゲームだったので、巨人戦はもっと遅い試合開始かと思いながらジョギングを続けた。新聞では確かデイゲームと書いてあったような記憶が・・。
 帰宅後、テレビをつけると、巨人戦をしっかり放送している。すでに試合後半に差しかかっていた。KBCラジオはセリーグの途中経過を少しははさんでも罰は当たらないだろう。福岡の視聴者がまさか全員ソフトバンクのファンでもあるまいに。私はラジオはNHK以外では専らKBCを聞いている。昼間には聞いていて楽しい番組も幾つかある。だが、この日のプロ野球実況放送は頂けなかった。不愉快だった。
                  ◇
 NHKラジオの中国語講座。中級の「レベルアップ中国語」は私にはまだ荷が重い。それでも何とか食らいつくように聞くようにしている。この講座を初級の「まいにち中国語」のようにテキストなしで聞き、理解できるようになったら、中国語の力をつけたと言えるのではないかと今の私は考えている。そこまではまだまだ到達できていない。
 「レベルアップ中国語」で次の文章が出てきた。「好好儿干吧!」(頑張ってくれたまえ)。無理を承知で発音をカタカナ表記すると、「ハオハールガンバ」。「頑張って」が「ガンバ」だ。「好好儿」が「しっかり」という意。「干」には「仕事をする」という意味がある。日本人なら記憶に残る表現だ。忘れないように時々は自分自身を励ます意味でも口ずさんでいこうと思う。なお、この表現は目上の人には使えない表現とか。なるほど。
                   ◇
 ソウル訪問を考えて、ちょっと韓国語の学習にも力を入れようとしている。それでいつもは聞き流しているNHKラジオの「毎日ハングル講座」にも真面目に向き合うようになった。それで耳にしたのが「~네요」(ネヨ)という末尾の表現。これまでは何となく理解したつもりでいたが、講師の先生曰く、「これははっきり断定するのではなく、柔らかい表現で、ソフトさが相手に伝わる表現」とかなんとか。そうか、そうなのか。私はこれまで丁寧表現の「~있어요」(イッソヨ)一辺倒できていた。
 改めて調べてみると、例えば、「おいしい」「美味い」は「맛있어요」(マシッソヨ)がよく耳にする丁寧な表現。もちろんこれでいいのだが、「맛있네요」(マシンネヨ)という言い方もあることを知った。どうもこちらの方が断定的でなく、相手(聞き手)の同意を求めることにもなる、柔らかい物言いのようだ。よし、これからは「マシンネヨ」をフル活用しよう。お店で「これは値段が高いです」と言う時には「비싸요」(ピサヨ)ではなく、「비싸네요」(ピサネヨ)と言った方がどうも相手に柔らかく響くようだ。

I enjoy small things.

 香椎浜のスロージョギング。時々まだセミの鳴き声を耳にする。遅生まれか長寿のセミなのだろうか。セミの声に追い立てられるように少しだけペースを早める。スロージョギングとはいえ、汗びっしょり。風呂が恋しい。週末ならその後で軽く一杯もやれる。贅沢は言わない。ささやかな小市民の楽しみ。
 私がスロージョギングで走る距離は約6キロ。週に4日走るとして24キロ。二週間かけてマラソンの距離になる計算だ。マラソンランナーはその距離を2時間ちょっとで走り抜ける。さて、そのマラソンの一大イベント、20年東京五輪の男女マラソン代表を一発勝負で決めるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が日曜日に行われた。男女代表が同じ日に一発勝負で決まる初の試み。未来で、いや見らいでかいな!
 チャンネルは当然NHK。しばらくしてスタートしたはずの男子マラソンが全然映らない。あれ、と思い、TBSに替えると映った。そうか。男子と女子を手分けして放送するのか。ややこしい。男子は設楽悠太選手が独走している。大丈夫かな。後半失速して大敗することはないのか。有力選手の一人だから勝算あっての独走だろう。
 女子はうーん、よく分からない。腹筋女王の異名のある松田瑞生選手が苦しんでいるようだ。頑張れ! とにかくチャンネルを替えるのが面倒で、これならいっそのこと、画面を二つに分けて放送してくれないものか。それぐらい日本の技術だったら、簡単にできるだろ。あ、TBSはコマーシャルが入るか。それなら、コマーシャル時にはNHKの放送に切り替えるなど工夫は幾らでもできるはずだ。
 しばらく女子マラソンを見て、男子に切り替えたら、設楽選手を追走していた後続のランナーが段々と近づいている。あ、これでは追いつかれるのでは。設楽選手の関係者は心配でたまらないだろうなあ。みんな頑張れ!
 結局、設楽選手は終盤で失速した。テレビで見ていても、足取りが違っていた。やはり戦略を間違ったのだろうか。最有力候補の大迫傑選手もゴール間際で抜かれ、3着に終わり、東京五輪の切符をゲットすることはできなかった。体調が万全ではなかったのだろうか。しかし何とか3着の座を死守したことで彼にはまだ東京五輪の最終切符を手にする可能性が残っている。
                 ◇
 読売新聞の英語コラム「特派員直伝 トラベル英会話」。時々内容に??の時があるが、昨日のコラムはいいと思った。「ささやかなことを楽しむ」= I enjoy small things. ————という英文が紹介されていた。この言葉を発したのは、政治・経済混乱から過酷な耐乏生活を強いられているベネズエラの若い女性で、のどのがんを患い、隣国コロンビアの病院で治療を受けながら再起を期している。画像共有サービス「インスタグラム」をやっている時や再び声を出せるように発声練習をしている時などが楽しいとか。ベネズエラの母語はスペイン語。彼女が英語を使い、かすれがちな声で記者に語った言葉が、“I try to enjoy small things.” だった。small であっても何という力強い表現だろう!
 この項の冒頭の「ささやかな小市民の楽しみ」は “a small pleasure for a commoner” か。

一難去ってまた一難

20190913-1568341007.jpg 金曜朝、いつものようにパソコンを開き、大リーグのホームページに跳んで驚いた。大谷翔平君の今シーズンが終了したことがトップニュースで報じられているではないか。え、本当? ロサンゼルスエンジェルスはプレーオフ進出の可能性はなく、今シーズンは実質的に終わったようなものだが、翔平君が放つ「ビッグフライ、オオタニさん!」はまだ幾つか見れると思っていただけに残念。
 翔平君はどうやら左足の膝の皿の辺りに先天性の故障を抱えているらしい。それで13日(現地時間)に手術をすることになり、全治8-12週間の見通しとか。来年の二刀流復活を妨げる要因とはならないとも報じられているが、新たな患部の出現で果たして本当にそうなるのか懸念される。加油!いやお大事に!大谷翔平君。
                 ◇
 先月1日の項で今秋、久しぶりに釜山を訪ねたいという趣旨のことを記した。ネットでフェリー便を抑えれば、信じられないような往復の格安チケットをゲットできる。福岡に住んでいてこのフェリー便を利用しない手はないとも書いた。
 数日前のこと。パソコンで作業していたら、今なら福岡―ソウルが2,000円で行けるとうたった案内広告がスクリーンに出た。冗談だろ。信じ難い。その広告をクリックして確認すると、税金やサーチャージ料など最終的には8,000円程度の価格になることが分かった。これでも十分安いかと私は思う。日韓関係の悪化で日韓ともに旅行客数が激減し、航空料金も安価になっているようだ。
 それで台湾の旅でよく利用しているネットの格安チケットで来月の福岡―ソウル便をチェックしてみると、約16,000円で往復便が入手できることが分かった。宮崎を新幹線とバスで往復するのと大差ない。今回は行き慣れた釜山ではなくソウルを訪問するか。ソウルには久しく会っていない友人もいる。この友人に最後に会ったのはいつだったか。よく覚えていない。このブログはまだ始めていなかった。少なくとも10年以上前だ。私は当時、韓国語はまだ真剣には学習していなかった。片言の挨拶ぐらいはできたかと思うが。
 その韓国語の力は依然低空飛行だが、少なくとも挨拶以上、ちょっとした会話ぐらいは交わせるようになっていたい。よし、これから一生懸命語彙力をつけて、友人を驚かせよう。
                 ◇
 老王有一个儿子在日本留学。日本語訳では、王さんには日本に留学している息子がいる。英語訳だと、Mr Wang has a son (who is) studying abroad in Japan. 韓国語訳だと、왕씨는 일본에서 요학하고 있는 아들이 있어요.
 このブログで何度も書いているかと思うが、私は外国語を学ぶ上で大切なことは語順の習得だと思っている。韓国語を解する人なら上記の文章で日本語と韓国語の語順がまったく同じであることが分かる。中国語では若干語順が異なる。しかしその中国語にしても上記の文章に関する限り、我々の頭に浮かんだ語彙をそのまま口にすれば何とかなりそう。中国語がこういう感じの文章ばかりだと、日本人には実に学びやすい外国語と言える。実際にはそうでもないのだが、しかし、少なくとも上記の文章は我々には理解しやすい。

political vandalism

 台風15号が関東地方で記録的な暴風をまき散らし、太平洋に去っている。幸い大きな人的被害は出ていないようだ。台風は通常、沖縄や九州を襲った後、北上して日本の他の地域に爪痕を残していく。昨日以来、関東の交通網の混乱をテレビで目にしながら、福岡や郷里の宮崎のことを案じる必要のないことに安堵の念を覚えたと言えば、ちょっと度量が小さ過ぎるだろうか。
                  ◇
 前回の項で大リーグ、ロサンゼルスエンジェルスの大谷翔平君が絶不調と書いた。今年はもういいから、来年、復活した二刀流で奮起して欲しいと。そうしたら急に彼が活躍し始めたようだ。日曜日(現地・土曜日)の試合で15試合ぶりにホームランも放ち、アメリカ人アナが叫ぶあの “Big fly, Ohtani-san”も久しぶりに耳にすることができた。
 大リーグのホームページを読むと、打撃フォームに手を入れたとかで、どうもそれが功を奏したようだ。翔平君にはやはりホームランが似合う。チームはプレーオフ進出は絶望的だが、残り試合、彼らしい豪快なホームランを連発して欲しい。そして来年は晴れて二刀流復活だ。彼は試合後次のように語ったとか。“I’m not only happy with the results, but the process and how I’m feeling at the plate,” Ohtani said through a translator. “I feel a lot better.”(「私は結果だけに満足してはいない。今の状態にもってきたプロセスにも、それに打席に立った時のフィーリングにも満足している」と大谷選手は通訳を通して語った。「以前よりずっと感覚は良くなっている」)。打席で投手と対峙した時の自信も戻っているようだ。それは何より。残り少ないが、これからが楽しみ。加油!
                   ◇
20190909-1567991325.jpg 英国の政治が混乱している。ひっちゃかめっちゃかと形容したいほど。ネットでねんのためチェックすると、しっちゃかめっちゃかの方が標準のようだ。それにしても、英国が欧州連合(EU)から離脱するのがかくも難事とは。
 CNNのホームページを見ていたら、ちょっと刺激的な見出しが目にとまった。——Amber Rudd resigns from UK cabinet, says she can't support Boris Johnson's 'political vandalism'——。アムバー・ラッド雇用・年金相がEUからの「合意なき離脱」も辞さないジョンソン首相の強硬姿勢に異を唱えて辞任したことを報じた記事だった。
 見出しにある語彙political vandalism(政治的破壊行為)。つい最近、どこかで目にしたような語彙だ。ブログでも書いたような記憶がある。調べてみると、今年7月のブログで言及している。トランプ米大統領がイラン核合意を反故にした時に、当時の英国の駐米大使がトランプ大統領の行為を diplomatic vandalism(外交的破壊行為)だと非難したと書いている。トランプ大統領とジョンソン首相。髪の毛の色や破天荒な政治スタイルが似ていると言われる二人だが、就任早々、ジョンソン首相もvandalism という形容を奉られるとは!
 英国のEU離脱は日本が中国やアセアン諸国との関係を断ち、アメリカや欧州との交易に活路を見いだそうとするようなものだ。愚挙だろう。
 チャーチル氏やサッチャー氏が蘇ったとしたなら、あきれ、嘆くのではないか。他に追随を許さない英連邦(Commonwealth)の盟主としての栄光も陰りそうだ。

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