英語でさるく 那須省一のブログ
余韻不気味な "The Lottery"
- 2020-12-02 (Wed)
- 総合
来年からの毎月2回の英語教室の新しい教材探しのために、積ん読状態だった “50 Great Short Stories” という英書をゆっくり読んでいる。読後の余韻が不気味な作品に遭遇した。
英語教室の教材としてはうってつけだと思うが、読まなければ良かったと後悔する人もいるかもしれない。ホラーでも怪奇小説でもないが、読み終えた後、なんだこの小説はと・・。
“The Lottery” という短篇。著者はアメリカ人作家の Shirley Jackson(1920-65)。1949年に発表された作品のようだ。淡々とした書き出し。The morning of June 27th was clear and sunny, with the fresh warmth of a full-summer day; the flowers were blossoming profusely and the grass was richly green. The people of the village began to gather in the square, between the post office and the bank, around ten o’clock; …
何の変哲もないアメリカの田舎の村の描写だ。読者はこの村がどこにあるのかということは最後まで分からない。村の人口は300人ほどで家長以下全員が6月27日に村の広場に集合する。表題から村人総出のくじ引き大会があり、村人たちはくじに当たることを楽しみにしているのかと思って読み進めると、どうもそういう雰囲気ではない。
くじ引き大会の主宰者は村の長老といった感じのサマーズ氏。広場に古ぼけた黒い箱が運び込まれる。中にくじが入っている。サマーズ氏はアルファベット順に村人の名前を呼び上げ、家長すなわち父親たちが箱の中に手を入れ、白い紙を取り出す。紙は折り畳まれており、サマーズ氏は最後に合図するまで開かないように念を押す。もっとも誰もそれは心得ている。見守る主婦の一人が去年のくじ引きはつい先週だったような気がするわと言うと、隣の主婦が「月日の経つのは本当に早いわ」(”Time sure goes fast.”)と返す。「他の村々ではこのくじ引きを辞めようという話が出ているようだ」と村人が年寄りの老人に語りかけると、老人は「そういう連中は全くの阿呆どもだ。昔は6月にくじを引き、それから豊作がやって来る、と言ったものだ」と意に介さない。
さて、村人の沈黙が流れる中、男衆はそれぞれのくじを開ける。当たったのは誰? やがてビル・ハッチンソンという男が当たりくじを引いたことが判明する。それからハッチンソン一家の子供3人を含む全員が再びくじを引くことになる。ビルの妻で子供たちの母親でもあるテスィーが再三、くじ引きはフェアでなかった、夫のビルは十分な時間を与えられていなかったと訴えるが、サマーズ氏ははねつける。夫のビルも「つべこべ言うな」とたしなめる。この辺りから異様な雰囲気が伝わってくる。
子供たちやビルが引いたくじは外れであり、黒点が書かれた当たりくじを引いたのはテスィーだった。サマーズ氏は「さあ、手っ取り早く片付けよう」(“Let’s finish quickly.”)と村人に呼びかける。村人たちは手に手に石を構え、テスィーに迫る。テスィーはまだ「フェアではないわよ」と叫んでいるが・・・。これから何が起ころうとしているのか、読者にもようやく分かる。(この短篇はネットでも読むことが可能なようだ。関心あれば、どうぞ!)
米大統領選。トランプ大統領はいまだに「開票作業に不正があった。本来なら私が圧倒的に再選されていたはずだ」と譲らない。その主張に理解を示す人々も少なくないようだ。“The Lottery” が描く不条理の世界は今なお健在? まさか?!
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競馬は見るだけで満足!
- 2020-11-29 (Sun)
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日本シリーズ。巨人ファンには史上最低最悪のシリーズとなった。まさか二年連続の4連敗を本当に喫するとは! 原監督以下この一年間、何も学んでいなかったということか。攻撃力、守備力の歴然とした差だけでなく、監督力の差を露呈したということかもしれない。
それにしても解せないのは親会社の読売新聞本紙が巨人の情けない敗退のきちんとした総括を今年も紙面で展開していないことだ。私の記憶はあいまいだが、昨年もシリーズ4連敗敗退後に紙面での総括がなかったような気がする。大事な戦いをきちんと振り返る総括的な記事はやはり、とりあえずでも直後に紙面で書くべきだと思う。書く材料はいくらでも転がっているだろう。事実、ネットではいろいろ、野球関係者や専門家の巨人に対する厳しい、しかし的確な見立てが紹介されていた。ソフトバンクホークスの強さはどこにあったのか、巨人はどこが、何が劣っていたのかということを紙面で読みたいと思った読者は私だけではないだろう。
昔の(私が勤務していた当時の)読売新聞ではこうしたことは紙面で直後にきちんと総括されていたような気がする。そうでないと第一、読者が納得しなかったことだろう。会社を辞めて久しいので昨今の社内事情は分からないが、何だかなあとがっかりせざるを得ない。いや、情けない・・・。
◇
久しぶりに競馬について書きたい。本日(日曜日)東京・府中市のJRA東京競馬場で歴史的なレースが行われた。ジャカンパップ、いやジャパンカップと呼ばれるGIグレードの大きなレースだ。日本ダービーや有馬記念に比べれば歴史は浅いが、強い外国馬も参戦できるだけにこのレースは日本の競馬を代表する国際的レースと言える。
さて、そのジャパンカップに今年はともに無敗でクラシック三冠を遂げた牡馬のコントレイル、牝馬のデアリングタクトが登場した。かてて加えて、国内外の芝GIレース8勝という歴代最高の成績を上げている先輩の三冠馬の牝馬アーモンドアイも参戦した。競馬に興味のない人にはそれがどうしたと言われそうだが、多少なりとも競馬に手を染めた、つまり馬券を購入したことのある者には夢のようなレースだ。
現役時代には破滅的なギャンブラーだった私は馬券から足を洗ってだいぶ時間が経過した。週末には今なおテレビで競馬観戦を楽しんでいるが、もはや馬券に手を出すことはない。まあ、齢80ぐらいになってなお健康で小銭が残っていればまた手を出してもいいかなぐらいには考えているが。そんなことはどうでもいい。ジャパンカップだ。私はどこかで北海道・日高の牧場でその馬を育てたとかいう70歳ぐらいの人の良さそうな牧場主さんがその馬のことを懐かしむシーンを見ていた。その馬とは3歳牝馬のデアリングタクト。競りで1億円以上の値がつく血統馬も珍しくない中、この馬は生後3か月の競りでは値がつかず、1歳時にようやく1,200万円の競り値がついた安馬だったとか。こういう馬が大活躍するから競馬は面白いと言える。
私はデアリングタクトが1着することを願いながらレースを見た。結果は惜しくも3着。勝利したのはアーモンドアイ。今昔の三冠馬が上位を独占する好レースだった。
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Who's won after all? その6で終わり!
- 2020-11-24 (Tue)
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米大統領選。ようやく「決着」がついたようだ。トランプ大統領が大統領選で敗れたバイデン氏への政権移行準備を認める意向を「表明」したことで、バイデン新政権の準備作業が本格的に動き出すこととなった。大統領選の投票日から20日が経過している。トランプ氏は依然敗北は認めていないようだが、大統領一期での退任はもはや動かないだろう。
週末にかけ、これまで沈黙していた共和党の有力者からもトランプ大統領に距離を置き、現実を認めようという発言が相次いでいた。トランプ氏が現実を拒絶したまま混迷を深めていけば、米国は国際社会から「バナナ共和国」(banana republic)と見なされてしまうと危ぶむ声も出始めていた。「バナナ共和国」とは久しぶりに目にした表現だ。辞書には「バナナ輸出や外資導入に依存している政情不安定な中南米の小国」と載っている。米国の政治家が自国をこのように形容するのを初めて見た。それほどの異常事態と映っているのだろう。
バイデン新政権の船出は来年1月20日。まだ少し先の話と言えなくもない。トランプ氏が世界を混乱させるような悪あがきに出ないことを祈りたい。
◇
日本シリーズ。恐れていたことが起きようとしている。セリーグの覇者、巨人がパリーグの覇者、ソフトバンクに歯が立たない戦いが続いている。今夜も敗れて遂に3連敗。もうあとは残っていない。明日水曜日のゲームも落とせば、2年連続での4連敗敗退となってしまう。日本シリーズという最高の舞台で同じチームに1勝も挙げられずに8連敗をしたチームがいるのだろうか。おそらくいないだろう。
私が学生時代の頃のV9巨人は常勝軍団だったが、それは今やここ福岡のソフトバンクホークスの代名詞になりつつある。私は熱い巨人ファンではないが、それでも残念。セリーグでは圧倒的な強さだった巨人にないものが今のホークスにはあるのだろう。素人目にも巨人は「守備の基本がなっていない」と何度か実感したことはあった。攻撃時にも巨人ナインに覇気を感じなかった。いずれにしろ、1勝もできずに退散するようではセリーグ優勝の栄誉はすっかり色褪せてしまう。熱心な巨人ファンではない私でさえこういう気持ちになるのだから熱烈なファンの方は食欲も失せてしまっていることだろう。
◇
中国語。NHKラジオの講座を平日は毎日聴いているが、知らない単語が出てくる度に辞書を引き、意味と発音を確認している。今日は受け身文を学んだ。動作の主体は「被」で示すことなど基礎的なことは理解していたつもりでいたが、講師曰く「中国語では良いことが起きたときは原則として受け身文は使いません」との由。知らなかった。英語ではそういうことはない。日本語でもそういうことはない。これはああそうですか、分かりました、覚えておきます、と理解するしかない。
言われてみれば、これまで受け身形の文章があまり出てこなかったのは、肯定的な事柄を中心に学んできていたということだろうか。この日の講座では次のような文章が出ていた。我被老师批评了(私は先生に叱られました)。我的自行车又被偷了(私の自転車はまた盗まれました)。やれやれ、先は長い・・・。
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Trevor Noah
- 2020-11-23 (Mon)
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米国にトレバー・ノアという名のコメディアンがいるのは知っていた。彼が米国で風刺の効いた人気のチャット番組、デイリーショー(Daily Show)の司会者に抜擢された時に、彼の存在を初めて知った。プロファイリングを許してもらえるなら、南アフリカ出身であることが容貌から推察できた。南アではカラードと呼ばれる白人と黒人の混血の男性だ。
デイリーショーはノア氏の前任の司会者時代にはネットでよく見ていたが、2015年にノア氏に交代してからは縁遠くなっていた。スティーヴン・コルベアというコメディアンがホストを務める別の風刺番組をしょっちゅう見ていたこともあって、ノア氏の番組にはあまり食指が動かなかった。パソコンでYouTubeにアクセスするとサムネイルに時々ノア氏の顔が見えたが、番組自体をクリックすることは皆無に近かった。
ニューヨークタイムズ紙から送られてくる主要記事の一覧にノア氏を紹介する長文の記事があった。トランプ大統領の米国で社会の分断・亀裂が深刻化する一途の社会を風刺の効いた語りで切り取るノア氏の力量を高く評価していた。
この記事を読んで初めて、彼が米国に本格進出する前には南アでは知らない者はいない著名なコメディアンだったことを知った。生まれたのは1984年とあるから南アがまだアパルトヘイト(人種隔離政策)体制下の時代だ。私は彼が幼児の頃に南アで取材していたことになる。
興味深く思ったことを記しておきたい。白人の父親、黒人の母親の間に生まれた彼は南アではカラードという人種に区分けされるが、米国では黒人としか見なされない。米国では「一滴でも黒人の血が流れていれば黒人」という認識があるからだ。ただ、ノア氏の場合、彼の風貌、そして南ア出身者に特有の英語のアクセントから、米国の白人階層からは物珍しさもあって黒人一般の人々が受ける扱いとは若干異なる扱いを受けてきているという。
その辺りを大雑把に要約すると以下のようになるかと思う。――アメリカの白人は彼が南ア出身の黒人であることを知っており、アメリカで何が起きているかをアメリカで生まれ育った黒人に対するよりも、彼に対して話しやすいように感じているのではないか。アメリカの外からやって来た彼には負い目を感じる必要がないから――
母国の南アはアパルトヘイトが過去のものとなり、国父的な存在だったマンデラ氏の記憶も薄れつつあるが、南アは人々がかつて夢見た全人種融和、共存共栄の政治・社会からはほど遠い。トランプ大統領が今なお、大統領選での敗北を認めず、深刻なコロナ禍が続く政治的混乱にある多民族国家の今の米国はノア氏には絶好の「ネタ」だろう。
末尾近くでしばし手がとまった文章があった。After all, for all the insanity that Donald Trump and the coronavirus have visited upon America, Noah has lived through worse.(結局、トランプ大統領とコロナウイルスが米国にもたらしたあらゆる異常事態にもかかわらず、ノア氏はもっと酷い体験を切り抜けてきたのだ)。ここのvisited は brought about や caused と置き換えられるようだ。辞書を引くと、次の例文が紹介されていた。Another tragedy was visited upon the community. (更なる悲劇がその地域を襲った)。なるほど、visit にこういう用例があるのかと学んだ次第だ。
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Who's won after all? その5
- 2020-11-17 (Tue)
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米大統領選。私はこの国の政治の現場で取材した経験がないので分からないことが多々あるが、米国は本当に先進国なのかと首を傾げたくなる。大統領選の投開票から二週間が経過しているのにまだ誰が当選したのかが「決着」していない。いや、事実上、決着しているのだろうが、敗れたはずのトランプ大統領はいまだに自分の敗北を認めようとしていない。トランプ氏の個人的資質の問題ゆえの混迷であるのだろうが、制度として明確に選挙戦に終止符を打つことができないとは信じ難い。
トランプ氏はかつてアフリカや中南米の途上国を “shitholes”(糞だめ:失礼。私はそうは思いません。トランプ氏がそう呼んだのです!)と罵倒したことがあるが、連日CNNテレビを始め主要メディアが当選したバイデン氏への政権交代をスムーズに進めるべきと訴えているにもかかわらず、選挙には不正があった、自分が本当は再選されたのだと言い続けることが許されるような国こそ “shitholes” かもしれない。
CNNを見ていると、オバマ前大統領の露出が最近、増えている。彼はトランプ氏に敗北を潔く認め、バイデン氏への政権交代を滞りなく可能にするように諭している。彼の言葉を聞いていると両者の人格・人間性の大きな落差を感じざるを得ない。“Presidents are not above the rules. We’re not above the law, that’s the essence of our democracy.” トランプ氏にオバマ氏の爪の垢を煎じて飲ませたいと思うが、果たして海の向こうにもそういう飲み物があるのかどうかは知らない。もっともこっちにもあるかどうかは知らないが・・。
不気味なのは来年1月20日に退任が定まったトランプ大統領がまるで断末魔のもがきか、外交・軍事の場でも愚挙に出ようとしていたと報じられたことだ。ニューヨークタイムズ紙によると、大統領は先週、イラン国内の核施設への攻撃を考えたが、戦火の拡大を懸念した側近らの反対で断念したという。バイデン氏へのバトンタッチまでまだ2か月も残っている。トランプ氏が大統領としてのレガシー(legacy)を残そうと、あるいは新政権の足かせにしようと、常軌を逸した行動に出ることがないように祈りたい。
トランプ氏がもっと積極的に行動すべきなのは国内で悪化の一途のコロナウイルス対策だろう。週末だからといって、ゴルフに興じている余裕などないのではないか。それにしても不思議なのはトランプ氏の無策を糾弾する人々がいる一方で今なお、彼を熱烈に支持してデモ行進まで厭わない多くの人々がいることだ。
トランプ氏のただ一人の姪で反トランプの急先鋒、メアリー・トランプ氏(55)がカナダのテレビ局のインタビューに応じていた。そこでも手厳しい大統領批判を繰り広げていた。曰く、大統領選で7,200万人もの有権者が彼に投票したことは米国にとってdisgrace(恥さらし)であり、今後も長く残るstain(汚点)であること。彼は10億ドルもの借金を抱えており、大統領の座を去ったら、さまざまな債務・訴追に苛まれること。それ故に今の醜態をさらしていること。彼はすでにlame duck(実権を失った)であり、国民は彼を無視すればいいこと。彼は臆病者であり、コロナ禍の現実に恐怖を覚え、うろたえていること。共和党は一日も早くトランプ氏に見切りをつけるべきこと・・・。強気の姿勢を崩さないトランプ氏が本当はただならぬ「窮地」にあることが垣間見えたような気がした。
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今年も「ふたりのピアフ」
- 2020-11-16 (Mon)
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日曜日。縁浅からぬシャンソン歌手の浜砂伴海ちゃんが東京から来福し、中州近くにある高級料亭「嵯峨野」で彼女のライフワークとなっている「ふたりのピアフ」コンサートが催された。私が足を運ぶのは昨年、一昨年に続き三年連続。
このコンサートはピアノ・野田正純さん、語り(脚本も)岩城朋子さんと伴海ちゃんの三人が織りなす我が国唯一の演目で、フランスで最も愛されている天才的シャンソン歌手エディット・ピアフ(1915-63)の壮絶な人生を描いている。ピアフはモルヒネ中毒などが祟り、47歳で他界したが、歌が命の彼女は晩年にはまさに命を削るように世界各地で歌い、多くのファンを魅了した。今年はコロナ禍で公演が危ぶまれたが、上記三人の熱心なファンが福岡にもいて開催にこぎ着けた。
料亭が会場だけに和室に簡易椅子を置いての公演となった。その椅子が背もたれがない椅子だったため、さすがに腰が疲れたが、岩城さんの迫力ある語り、伴海ちゃんの高らかな歌声に今年も聴き入った。私は伴海ちゃんの亡き父親と宮崎の同じ山村育ちという縁ゆえに、ちゃん付けで呼んでしまう。公演終了後に「嵯峨野」の味覚に舌鼓を打ち、満足した。
ところで、私はこの料亭に着く前にだいぶ道に迷ってしまった。私は以前にも書いたかと思うが、並外れた方向音痴だ。恥ずかしながら地図が読めない。よくこれでアフリカやヨーロッパで一人で初めての土地を訪ね、取材活動ができたものだと今にして思う。ネットであらかじめ場所を検索して最寄り駅からの大体の方向を頭に入れる(入れたつもりになる)。実際に歩き始めると大体正反対の方向に歩んでいることが多い。実人生でも方向音痴の生き方をしているのではないかと痛切に憂えることがある。嗚呼!
英語では方向音痴を的確に表現する表現はないようだ。辞書を引いても、I have no sense of direction. といった表現が出てくる。中国語ではどういうのだろうとネットで検索すると、路痴という語が出てきた。これなら発音はともかく、意味は何となく正しく推察できるような気がしないでもない。
◇
世界の目が米大統領選の帰趨に注がれる中、アフリカではまた悲惨な出来事が相次いでいる。東アフリカにあるエチオピアではアビィー首相が率いる政府軍と旧政権を担っていた最北部のティグレ州を地盤とするティグレ族との対立が内戦の危機と報じられている。
ティグレ人民解放戦線(TPLF)が州内にある政府軍施設を襲撃したことに対する報復攻撃がエスカレートしての内戦危機のようだ。TPLFは1991年に当時の独裁政権を打倒し、その後に発足した連邦政府の主軸を担ったが、他部族から成るエチオピアでは部族の確執がその後も絶えていない。西隣のスーダンに着の身着のまま、中には裸足で逃げ出してきた難民がここ一週間で25,000人に上るとか。アビィー首相は昨年、北隣のエリトリアとの和平に貢献したことでノーベル平和賞を受賞したばかりなのに・・・。
南部アフリカ・モザンビークではイスラム過激派による住民殺戮が伝えられている。本来なら国際社会が結束して支援の手を差し伸べるべきテロ事件と言えるが、コロナ禍にアメリカの中枢部の信じがたい混迷もあり、国際社会の結束は麻痺状態にあるように見える。
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Who's won after all? その4
- 2020-11-13 (Fri)
- 総合
米大統領選はまだ決着していない。トランプ大統領にはどう見ても勝ち目はないように思えるのだが、彼は何を考えているのだろうか。自らが招いている泥沼状態に執着すればするほど晩節を汚すことになるのだが、彼の脳内は私のような愚禿凡夫には及びもつかない。
金曜日朝、CNNテレビを見ていると、これまでトランプ大統領を一貫して支持してきた共和党の上院議員からも大統領に距離を置く発言が報じられている。大統領一家内でも「徹底抗戦」と「停戦・降伏」で結束に乱れが生じているようだ。詰まるところ、投開票作業に重大な不正がなかったことは明らかで、バイデン氏の当選は否定しようがないとの認識が深まっているのだろう。後は大統領が「裸」であることをいつ自覚するようになるかということか。大統領の苦境には同情の念は微塵もわかないが。
米大統領選の決着も気になるが、新型コロナウイルスがこのところまた一段と猛威を振るいつつあるのも心配だ。心配とはいえ、どうしようもない。個人的には自分が感染の可能性がある場所にできうる限り近づかないのが最善の手だろうが、世の中から感染リスクが大幅に減少しないことには心が安まらない。この冬はずっと厳しい状況が続くのだろうか。そして新春が来ても・・・。
◇
日英中3か国語の学習読本を読んでいてまた改めて思うところがあったので、ここで再度記しておきたい。「私は小さな丘と池のあるこの庭の景色が大好きです」という文章。英語では “I love the landscape of this garden with its little hill and pond.” と記載されていた。中国語では「我喜欢有小山和池塘的这个花园的景色」となっている。私が注目するのは語順だ。日本語では「大好きです」という動詞が文末にあり、中国語では「喜欢」という動詞が英語と同じように主語の直後に出てくる大きな違いがある。だが、「この庭の景色」を形容(修飾)している「小さな丘と池のある」というくだりは日本語と中国語は全く同じだ。英語ではそうはいかない。with という前置詞を置いた上で具体的な形容が続いている。
日本人が中国語を話す時には主語と動詞をまず口にして、それから具体的な記述を(場合によっては延々と)続ければ良いのではないか。それが今私が中国語に関して考えていることだ。「つなぎの語」は「的」だ。「我的名字」(私の名前)の「的」だ。
◇
冬が来て、また右手の甲や指の肌荒れが酷くなり、時にとても痛い。台所で洗い物をするようになったからだと思っている。炊事用のゴム手袋をしているが、それでも肌荒れを防げないようだ。皮膚科の医院に足を運び、塗り薬を頂く。薬を塗れば一安心。でも油断をすると、また「再発」するから悩ましい。
料理の才のない身だが、クックパッドなどを参考に菜を作る。特段の不満はない。それでも時々、以前にのぞいたことのある食堂を思い出し、たまには出かけたくなる。数日前そうした食堂に行き、鶏の唐揚げ定食(580円)を食べた。期待通り旨かった。店主はコロナ禍で客足が遠のき大変ですわと語っていた。そう言えば、中に入ったことはないが、先日、散歩時にその前を通る小料理屋さんが閉店しているのに気づいた。おそらくコロナ禍の影響だろう。
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