英語でさるく 那須省一のブログ
『女の一生』
- 2015-07-09 (Thu)
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今朝、近くのコンビニに宅急便を出しに出かける。エレベーターを降りた途端、ムッとする外気に当たってすぐに感じた。「おや、これはもう夏の空気だ。そうか、これから本格的夏の到来だな」と。まだ扇風機で何とか済ませているが、いよいよ冷房の出番か。
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短編小説の名手として知られるフランスの文豪ギィ・ド・モーパッサン(1850-1893)の代表作と言われる『女の一生』を読んだ。もちろん翻訳本だ。光文社という出版社から「古典新訳」と題した一冊が出ていた。永田千奈という方の訳本だった。全体に読みやすい現代文に訳されており、するすると読み進めることができた。恥ずかしいが、この作家の本を読むのは初めて。
2012年にイギリス文学の名作ゆかりの地を訪ねる旅にあった時、ロンドンの書店で購入したサマセット・モーム(1874-1965)の伝記本 “The Secret Lives of Somerset Maugham”でもモーパッサンのことが何回か出てきていた。
短編の名手として知られるモームが深い敬意の念を抱き、お手本とした作家がモーパッサンだったという。上記の伝記本からモームがモーパッサンのことを称えたそのくだりをそのまま引くと・・・ “I had at that time a great admiration for Guy de Maupassant … who had so great a gift for telling a story clearly, straightforwardly and effectively, …”(私は当時モーパッサンに深く敬服していた。彼は物語を明確にかつ分かりやすくそして効果的に語る一方ならぬ才能を有していた)
1883年に発表された『女の一生』は短編ではない。19世紀のフランス・ノルマンディ地方を舞台にした男爵家の娘で、文字通り世間知らずのお嬢様、ジャンヌがヒロインとなったお話だ。婿にもらった子爵の夫がとんでもない食わせ者で極めつけの吝嗇家である一方、女にも手が早く、あろうことか、男爵家を訪れたその夜にジャンヌの乳姉妹である女中(お手伝い)のロザリに手をつけるような男だ。当然その結婚がハッピーエンドになるわけはなく、ジャンヌは傷心の晩年(中年というべきか)を過ごすことになる。
不実の夫に先立たれ、愛する両親とも死別し、彼女が余生を頼むただ一人の存在、愛息も母親のジャンヌのことなど眼中になく、極めていい加減な人生を送っている(ように見える)。生きる意欲を失い、自分の不運の人生を嘆くジャンヌに対し、晩年は後見人となったようなロザリが次のように言って叱咤激励する場面が印象的だ。
「食べるものに困って働かなければならないわけでも、毎朝六時に起きて一日じゅう働くわけでもないのに、何をおっしゃいますか。そうでもしないと生きていけない人はたくさんいるんですよ。そういう人たちは一生働いた挙句に、年をとって働けなくなったら、惨めに死んでいくしかないんですからね」
モーパッサンはわずか40数年でこの世を去り、晩年は精神を病んでいたという。リアリズム文学の旗手であり、日本の文壇にも大きな影響を与えたと言われる。私はヒロインのジャンヌの栄枯盛衰よりも、物語の筋に何ら影響を及ぼすことなく、親類一同から一顧だにされず、ひっそりと物語の舞台から消えていったリゾン叔母の方が気になった。
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Thrashed!
- 2015-07-06 (Mon)
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なでしこジャパンが難敵アメリカに敗れた。私はアメリカには勝てないのではと思っていたが、「柔よく剛を制す」のたとえもあるではないか、ひょっとしたら、と密かに期待もしていた。
そして結果は・・・。決勝戦まで進んだのだから、よくやったとほめたたえるのが筋だろう。でも内容が・・・。実は前半戦で大差がついたので後半はあまり熱心に見ていない。何しろ、最初のゴールを決められた後、トイレに立って、戻ってみたら、何と4対0となっているではないか。野球なら果たして何対0のスコアだろうか。12対0のようなものか? 愕然としてテレビ観戦する意欲が立ちどころに失せてしまった。
私はいい加減な「なでしこファン」だから、まだいい。初戦から一生懸命に声援を送ってきた真剣なファンの方々の落胆は推して知るべしだろう。
ネットで読んだ英BBC放送はアメリカチームの勝利を次のように報じていた。“Carli Lloyd scored an incredible 13-minute hat-trick as the United States thrashed Japan to win their third Women's World Cup title.”
アメリカチームがなでしこジャパンを beat でも defeatでもなく、thrash したというのだ。thrash は辞書を引くと、「打ち負かす」「完敗させる」と載っている。「完膚なきまでにやっつけた」というニュアンスだろう。無念。返す言葉もない。
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スポーツ中継や報道を見ていて、対戦が終了した後に、選手たちがよく口にする言葉に違和感を覚えることがある。「(これからも)応援宜しくお願いします」。まるでこう口にするのが、インタビューに応じる際のマニュアルに載っているかのように、最後にこう締め括る選手の何と多いことか。たまにこれ以外の言葉を発する選手に出くわすと新鮮な感じがして、本当に応援したくなる。
「(試合を、ゲームを)楽しめました」という感想もこの頃よく聞かれるような気がする。勝利した場合は分からないでもないが、敗戦した場合にもこういう感想を聞かされると、「え、そうなの? 悔しくないの?」と思ってしまう。もちろん、かつて見られた、日本全国民の期待を一身に背負い、あえなく負けたら責任を感じてあろうことか・・・というような事態は時代錯誤だ。ただ、「楽しめました」などという言葉をのべつ聞かされると、私などは固まってしまう。
2012年夏のロンドン五輪時にイギリスを旅していて、熱狂的な母国の声援に応えられずに、金ではなく銀メダルに終わったボート競技の男子選手2人が “Sorry to everybody we’ve let down. Sorry once again.” (応援してくれた皆さんをがっかりさせてしまい、申し訳ない。本当に申し訳ない)と泣き崩れたシーンを思い出す。あの “keep a stiff upper lip” (物事に動じない、感情を表に出さない)伝統の英国人がテレビカメラの前で大泣きし、マイクを向けた記者ももらい泣きしているシーンを見て私は軽い「カルチャーショック」を受けた。
なでしこジャパンの面々の感想はどう報じられるのか。
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桃源郷の『島』
- 2015-06-30 (Tue)
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なでしこジャパンが快調だ。いよいよ今週木曜には準決勝で強敵イングランドと対戦する。岩渕真奈選手(22)の再度の活躍に期待しよう。準々決勝では途中出場での決勝ゴールだったから、海外のメディアでは” “Mana from Heaven” とぶち上げるところもあるのではと期待したが、私がサーフしたところでは見当たらなかった。私が期待したのは、彼女のファーストネームのMana を活用した言葉遊びの見出しだ。念頭にあったのは“manna from heaven” (天から降ってきた恵み)という旧約聖書に由来する慣用表現。スペリングは若干異なるものの、このmanna(マナ)はモーセによる「出エジプト記」(Exodus)に出てくる食べ物で、荒野で飢餓の危機に瀕していたイスラエルの民のために神が天から降らせたという。転じて「天恵」「思いがけない恵み」を意味するようになった。
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オルダス・ハクスリー(Aldous Huxley 1894-1963)の小説 “Island” (邦訳『島』)を読了した。人間が生来有している神秘的力を解き明かし、利便さ・快適さのみを追求した文明・世界観に異議を唱えた作品で、難解な英文も少なくなかったが、興味深く読めた。以下に印象に残ったところを記しておきたい。
小説の舞台となっているのはインド洋に浮かぶ架空の小島の独立国パラ。パラでは政治権力の集中を許さず、誰もが自由で貧富の格差が少なく、子どもたちは実の両親の他に親を選択できる養子制度が整えられているなど桃源郷的な社会制度が実践されている。虚無主義的な気質のイギリス人記者ウィルは、栄華や富ではなく人間性を大切にするパラの社会に魅せられていく。主要登場人物の一人が次のようにウィルを諭す。
「あなた方西側世界の繁栄は三つの柱に支えられている。軍事力と借金まみれの暮らし、それに消費者の購買意欲をあおるべく、各企業は商品がすぐに時代遅れとなるように製造していくことの三つだ。戦争がなくなり、浪費が戒められ、高利貸し業者が根絶されたら、西側の世界は崩壊するだろう。そしてあなた方が過度に消費している間に、その他の世界はずるずると破綻の泥沼にますます沈み込んでいく・・・繁栄が遠ざかるにつれ、人々の間の不満は募り、反旗が翻り、これに対し為政者はさらに強圧的な態度を強め、一党独裁、国粋主義に走り、好戦的な雰囲気が高まることになる・・・」
小説が刊行されたのは作家の最晩年の1962年。米ソの東西両陣営による冷戦のさなかだ。半世紀以上を経て、上記の「警告」は今も色あせていないように思えてならない。余談だが、この文章の中に planned obsolescence という語句が出てくる。辞書を引くと「計画的陳腐化(買い換え促進のためすぐに時代遅れになるような商品を製造すること)」とある。1930年代から流布している語句だとか。
ウィルが彼のメンターのような存在となるパラの才色兼備の女性に次のように語る部分も印象に残っている。「人は皆、自分がユニークで、宇宙の中心に位置する素晴らしい存在だと思いがちだ。しかし実際には茫漠と続く無秩序の脚注にも足りない程度のものだろう」。————私も同感。人生に果たして意味などあるものだろうか?
(ここに紹介した翻訳文の原文は続きで)
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扇風機購入
- 2015-06-26 (Fri)
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先週末は久しぶりに宮崎の田舎に帰郷した。長姉の家は山の中腹にあり、夕刻は居間で毛布が欲しくなるほど涼しかった。正月過ぎのこの欄で書いたかと思うが、帰郷すると夜には庭に出て夜空を見上げる習慣となっている。不思議な飛行体は今回は目にしなかったが、妙に揺れ動いている星のようなものはまた見えた。あれは一体何?
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再び福岡のマンション。窓辺の風鈴も最近は風がないので、残念ながら音なし。問題は夜の寝苦しさ。うちわで風を送りながら、眠りに落ちるのを待っているが、もうそろそろ限界に近づいているかもしれない。まだクーラーのお世話にはなりたくない。それで、本日、近所の電気店から手頃な扇風機を買ってきた。これでしばらくは夜の寝苦しさと「格闘」しよう。クーラー(an air conditioner)よりも扇風機(an electric fan)の方が「ロハス」に近い暮らしだろう。言い訳に過ぎないが。
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『徒然草』も読了した。「ビギナーズ・クラシックス」(角川書店)と題されたダイジェスト版の文庫本だったので、そうでなければまだ「格闘」していたはずだ。
日々「晴読雨読」の身は手元に何かないと寂しい。今手元に置いているのは、イギリスの作家、オルダス・ハクスリー(Aldous Huxley 1894-1963)の “Island” (邦訳『島』)という小説だ。彼の代表作として良く知られている “Brave New World” (邦訳『すばらしい新世界』)を読もうと思ったのだが、時々のぞいている天神の書店には在庫がなく、“Island” の方が並んでいた。手にした本の裏表紙の説明文を読むと、“In his final novel, which he considered his most important, Aldous Huxley transports us to the remote Pacific island of Pala, where an ideal society has flourished for 120 years. Inevitably, this island of bliss attracts the envy and enmity of the surrounding world. A conspiracy is underway to take over Pala, …” と記してある。
作家が自身の「最も重要」と見なした最後の小説であるからには読むに値するに違いないと購入した次第だ。物語のプロットも太平洋に浮かぶパラという名の島国は、地上の楽園として過去120年の長きにわたり理想的な社会を実践してきた。それゆえに周辺国の嫉妬、敵意を買い、島を乗っ取る陰謀が・・・とあれば、面白そうではないか!
イギリス文学の古典的作品、トマス・モア(1478-1535)の『ユートピア』を想起させる物語のようだ。来週中には読破できるかと思う。また、このブログで(備忘録的に)読後感を記したいと思う。『ユートピア』は翻訳(岩波文庫)で去年だかに読んだが、読書ノートを残す習慣がないので、読後感は失せてしまった。シェイクスピアが生まれる前の近世イングランドに生き、「この世の中にはこのような贋(にせ)の快楽に眩惑されてしまって、飛んでもない気違いじみた錯覚を懐いている人間が多いのだ。例えば、たまたま古い先祖を持ち、その先祖が代々金持であったし(今日でも貴族というものは要するにそれだけの話である)、特に土地を多く持っていたという、ただそれだけの理由で、自分がいかにも高貴な生まれであるかのように思い込み、すっかりいい気持になっている連中など、まさにそうである」と喝破できる思想家の文章に感銘を受けたことだけは覚えている。
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『徒然草』
- 2015-06-16 (Tue)
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夜の寝苦しさが少しずつ気になり始めている。うちわで何とか折り合いをつけているが、そろそろ「冷房をつける」(turn on an air-conditioner)頃合いが近づいているようだ。授業で時に「ロハス」(LOHAS 健康と地球環境に配慮したライフスタイルLifestyle of Health and Sustainability)の大切さを説いている身としては、クーラーの快適さはまだ自制したいところだが・・・。
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『伊勢物語』に続き、『徒然草』を手にしている。これも「ビギナーズ・クラシックス」(角川書店)と題された文庫本で、初心者向けの思い切った現代語訳が付記されている。現代語訳がなくとも、おおよその意味合いは理解できる文章もあるが、訳文があって大いに助かるものもある。
鎌倉時代に生きた文人、吉田兼好(1283?-1352?)のこの書は高校時代の古文の時間でさわりを習ったかと思う。今回改めて手にしてみて、「高名の木登り」などいくつかは記憶に残っている文章があった。だが、大半は初めて読むに等しい新鮮さを与えてくれた。例によって印象に残った箇所を備忘録的に以下に記しておきたい。
されば道人は、遠く日月を惜しむべからず、ただ今の一念、空しく過ぐることを惜しむべし。もし人来たりて、我が命、明日は必ず失はるべしと告げ知らせたらむに、今日の暮るる間、何事をか頼み、何事をか営まむ。我らが生ける今日の日、何ぞその時節に異ならむ。(現代語訳 したがって、その道を極めようとする者は、一日とか一月という長い時間を惜しむような態度ではだめだ。今生きて意識しているこの一瞬が、むだに過ぎてしまうことを惜しまなくてはいけない。たとえば、人がやってきて、あなたは明日必ず死ぬと教えてくれた場合、今日が終わるまでの間、何を頼りにして、どんなことをするだろうか。私たちが生きているこの今日という日も、明日死ぬと言われたあの今日という日と、まったく変わりはないのだ)
この無常観、死生観はぜひ兼好法師に見習いたいと願うのは私だけではないだろう。『徒然草』はこの無常観に貫かれているようだ。高校生の時分の私にはやはり、この境地はいささか荷が重かったのだろう。今ならよく分かる(と思いたい)。
男女の情けも、ひとへに逢ひ見るをばいふものかは。逢はでやみにし憂さを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜を独り明かし、遠き雲居を思ひやり、浅茅が宿に昔をしのぶこそ、色好むとはいはめ。(現代語訳 男女の恋愛においても、ただただ相思相愛で結ばれる仲だけが最高といえるだろうか。そんな仲だけではなく、相手と結ばれずに終わった辛さに悩んだり、相手の変心から婚約が破棄されたことを嘆き、長い夜を独り寝で明かし、遠い雲の下にいる相手に思いをはせ、荒れ果てた住まいに相手と過ごした当時をしのんだりする態度こそ恋の真味を知るものといえよう)
この恋愛指南は凡夫の身にはいささかたどり着き難き心境だ。おそらく一生そうだろう。
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女子サッカーW杯
- 2015-06-14 (Sun)
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大リーグ、米ゴルフと来て、今回は女子サッカーの話題。あまり女子サッカーには興味はないが、ワールドカップ(W杯)となると話は別だ。カナダでそのW杯が開幕した。前回2011年のドイツ大会で奇跡的な初優勝を飾った日本女子代表(なでしこジャパン)はディフェンディングチャンピオンとして臨んでいる。
グループリーグで2連勝したなでしこジャパンはあと1ゲームを残して、早くも決勝トーナメント進出一番乗りを決めた。まずはめでたし、めでたし。
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とはいえ、土曜日のゲームでは後半は冷や汗ものだったようだ。ようだ、と書くのは、実は真剣にテレビに見入っていなかったからだ。本や書き物に目を通しながら、テレビの実況に耳を傾けていた。聞こえてくるのは、対戦相手のカメルーンの終盤の猛攻を伝えるアナウンサーの絶叫。エンガナムット選手の名前が何度も連呼されていたような記憶がある。
なでしこジャパンはカメルーンの猛攻を何とかしのぎ、2対1で辛勝した。ゲーム終了直後に佐々木則夫監督の姿が画面に映し出されたが、敗戦したかのように表情が硬かった印象がある。むべなるカナダ。大会はまだ始まったばかり。決勝トーナメントで対戦するのは強豪ばかりだろう。なでしこジャパンの好ゲームを期待しよう。優勝できなくてもいいから、さすが前回チャンピオンと言われるような攻撃を繰り出して欲しい。
女子W杯のニュースが連日報じられるのを見て、ああ、あれからもう4年経つのかと思った。4年前は『アメリカ文学紀行』執筆のため、アメリカ各地を取材の旅に出ていた。なでしこジャパンとアメリカの決勝での激突はアメリカのほぼど真ん中、ネブラスカ州の州都リンカーンの安宿のテレビで見た。
感動的な幕切れとなった決勝戦を見た後、英文のコラムを当時のブログにアップした。“a gracious loser” と題したコラムだった。末尾の部分をここに引用すると・・・。東北大震災の凄まじい災禍は向こうでも人々の心を強烈に揺さぶっていたのだ。
I was very impressed by US players’ reactions right after the game. Notwithstanding the devastating defeat, they did not forget to praise Japanese players’ spirit and resilience. US star forward, Abby Wambach congratulated the Japan team, saying something like “I feel devastated…I give Japan credit. They just never gave up.” Hope Solo, a solid goalkeeper said fighting back her tears, something like “Japan played a great game. It was fun to watch. If we had to lose to somebody at the final, I’m glad that it was to Japan.” What a gracious loser and what a sportsmanship! They deserve the biggest praise.
私はワンバック選手やソロ選手の「潔さ」に “good loser” を超えた “gracious loser” を感じ取り、そう形容したのだろう。
今回のカナダ大会にもアメリカは出場している。コラムで触れた二人もチームの大黒柱として活躍中のようだ。参考までに付記すると、ワンバック選手はその後、同性愛者であることをカミングアウト(coming-out)してパートナーと同性婚している。ソロ選手は昨年、親族に対する暴行事件で逮捕される事件が報じられるなど物議を醸してもいる。
さて、来月5日、歓喜の優勝トロフィーを掲げる国はどこだろうか? 日本頑張れ!
(写真は、狭い「我が家」も工夫次第で伸び伸び感!)
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断酒三日会わざれば
- 2015-06-08 (Mon)
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プロゴルファー、松山英樹選手のアメリカでの活躍が目覚ましい。先週末からオハイオ州で行われたメモリアルトーナメントは一日だけ幸運にも、パソコン上で彼のプレーを1番ティーから最終18番のホールアウトまで完全生中継で見ることができた。睡眠時間はだいぶ削られたが。
アメリカでの優勝経験で言えば、松山選手は昨年のこの大会で1勝を上げているだけ。しかし、彼はその後、マスターズなどメジャーと呼ばれる大きなトーナメントでも上位に食い込んでおり、前評判は高かった。優勝候補の一人として挙げる専門家もいた。
松山選手はグリーン上でパットを外した悔しさからパターでグリーンを傷つけてしまい、ベテランプロから “idiot” と非難され物議を醸したこともあったが、今は米メディアの評判は上々のようだ。コメンテーターの口からは「アイアンの切れ味は現在、プロの中でも屈指」「いつかはメジャーを取っても不思議ではない好素材」といった称賛の声を耳にした。
3日目を終えて5位タイ、1位からは5打差で迎えた日曜の最終日。私は午前4時半に起床し、今度は映像を見れなかったものの、スコアがリアルタイムで分かるパソコン上の画面に声援を送ったが、松山選手は16番のパー3で痛恨のダブルボギーを叩き、優勝争いから脱落。私はこの時点で睡魔に勝てず、再び寝入った。朝起きて確認すると、最終18番ホールで見事なバーディーを奪い、首位から3打差の5位タイで締め括っている。世界の強豪プロに混じってのこの成績は立派だ。
◇
断酒生活がすっかり体に馴染んだ。私にとって断酒は少なくとも一石三鳥の利点がある。①日々の出費が抑えられ、大いに助かっている。以前は毎日、さきいかやピーナッツなどの乾き物を肴に焼酎のロックを4、5杯。毎晩のこの晩酌だけで毎月約〇万円の酒代が出ていたはず。②体重が確実に減少の一途にある。一時は80キロ台目前という危機的状況にあったが、今では66キロ台にまで落ちた。捨てようと思っていた昔のジーンズが再びはけるようになった。③夕刻の飲食の後にお決まりだったうたた寝が皆無となった。深夜まで物思いにふけることができるのは嬉しい。断酒三日会わざれば刮目して見よ、の心境だ。
昨年「還暦」を迎えた身だが、還暦とは「元に戻る、還る」ということらしい。私的には「郷里の田畑や川で遊んでいた坊主頭の子どもの頃に戻る」と考えたい。だから「飲酒」しないのはごく当たり前の話。もう一つ、ここで正直に記すと、ギャンブルからも足を完全に洗った(かと思う)。パチンコはもう随分以前にやめていたが、競馬だけは週末にパソコンを駆使してちまちまと楽しんでいた。競馬は「推理」のゲーム。その推理に費やす時間は馬鹿にならず、「費用対効果」の観点からも「赤字大」。ギャンブル即悪癖とは思わないが、色々思うことがあり、この際完璧に決別することを決意した。
Life is short. (人生は短し)。私に残された時間はあとどれほどか。読み終えたばかりの『伊勢物語』の初心者向け現代語訳本の末尾に次の和歌があった。———— つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを———— 平安時代に生きた色好みの美男の歌仙のこの思いだけは昭和・平成を生きている凡夫凡才の身にも共有できる。
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