英語でさるく 那須省一のブログ
嗚呼釜山
- 2016-08-26 (Fri)
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今年3度目の釜山。幸い、福岡ほどは蒸し暑くはないようだ。天候が悪いことが一因かもしれない。週末にかけて雨模様らしい。私は釜山に来るとどうも雨にたたられる。最近は普段の行いに後ろめたいことはないのだが・・・。
博多港で日本円を韓国ウォンに両替。今度は10,000円が10,500₩のレートで少し嬉しかった。千円がほぼ百ウォン(₩)だから、数字に弱い私にも計算しやすい。
釜山港でフェリーを降り、タクシーで南浦洞地区に向かった時は夜の7時を過ぎていた。お腹が空いていたが、さすがに宿を決めないことには落ち着かない。予約はしていない。これまで定宿にしていた国際市場近くの安ホテルに足を運ぶ。顔見知りになった方がフロントにいて、「おや、ひさしぶり。お元気でしたか」といった挨拶を交わす。シングル45,000₩の部屋が空いているとのことだったが、前回は40,000₩の部屋に泊まったことを覚えており、今回もぜひと頭を下げると、嫌な顔もせず受け入れてくれた。カムサハムニダ!
チェックインを済ませて夜の街に。釜山はさすがに賑やかだ。大通りにさまざまな屋台が出ている。言葉巧みに屋台のおばちゃんと話しながら食べたら楽しいだろうなあと思う。私はまだまだその域には達していない。
それで一人でも気楽に食べられるお店を探していると、3月の初回の旅で行ったことのあるホルモン店の前に着いた。幸いカウンターの席が空いている。愛想の良いおばちゃんに席を勧められた。旅の間は日本での断酒は小休止。アルコール度の低い地元の焼酎の小瓶を1本注文。アルコール度が低いから、すすっと喉を下る。普段肉はあまり食べないから、ホルモンも美味い。おばちゃんを相手に片言の韓国語でおしゃべりして、お腹一杯になって勘定の段。この夜はおばちゃんにビールを1本奢ったため、締めて42,000₩。おばちゃんは福岡に戻る前にまたぜひ来てくれと宣い、名刺を手渡してくれた。なんとなく見たような名前だなと思いながら、ホテルに向かう。
途中でこれも顔馴染みになったマッチ箱のような喫茶店で一杯のコーヒー(2,500₩)、屋台でチジミのようなもの(5,000₩)を買ってホテルに。シャワーを浴びて、ジーンズから財布や小銭を出していると、ホルモン店でもらったおばちゃんの名刺がでてきた。最近はあまり使うことのない名刺入れを整理していると、これまでの釜山訪問で受け取った名刺がいくつか出てきた。そのうちの一つは何と、この夜に頂いたあのおばちゃんの名刺だった。私は仕事柄、記憶力の良さだけは自信があった。それがこの体たらく。What a short memory!(こんなに物忘れが酷いとは!)
金曜朝。かねてから決めていた定食屋をのぞく。前回の釜山滞在の終わりの方で知ったお店だ。ここのビビンパが結構いける。4,000₩。日本円だと400円というわけで、これは日本人の感覚からすると相当安いと言えるだろう。それでもってまずまずの味だから行かずにはいられない。おそらく釜山滞在中、私はずっとこの食堂で朝飯を食することになるだろう。それもビビンパだ。朝からビビンパが適当かどうかは分からないが、頻繁に入ってくるお客を見ていると、私同様ビビンパを注文している人が少なくないから、おかしくはないのだろう。見ていると、箸は使わず、スプーンでこねてすくって食べている客が多い。私もそうしよう!
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記憶に刻まれた愛ちゃん
- 2016-08-24 (Wed)
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帰福。福岡はまだ暑い。夕刻はサウナ状態だ。郷里の田舎も昼間はさすが少し蒸したが、朝夕はぐっと涼しくなっていた。明け方は毛布さえ欲しいと思ったほどだ。ネット通信など文明の利器の恩恵は受けること能わずだったが、リオ五輪はテレビでたっぷり視聴した。
ずっと昔に、国が成り立つには人々の「ともに生きる意思」と「共通の記憶」があって初めて可能といった類のことを読んだ記憶がある。リオ五輪に関していえば、日本国民が今後ずっと抱く共通の記憶は①女子卓球団体で愛ちゃんたち3人娘が根性でゲットした銅メダル②天才内村航平が率いた男子体操団体の不屈の金メダル③男子陸上韋駄天4人組が400リレーを快走した銀メダルに尽きるかと思う。特に愛ちゃんの涙に濡れた笑顔が素晴らしかった。
◇
かくいう次第で、帰省中にはほとんど本を読まなかった。読んだのは一冊だけ。『中国再考 その領域・民族・文化』(岩波現代文庫 葛兆光著)。以下、例によってマーカーを走らせたところを記しておきたい。現代中国が秘めている危機的状況が詳述されていた。
古代中国人は長きにわたって「天下観」にずっとこだわり続けてきた。その理由について、中国は仏教以外の真の外来文明による挑戦を受けたことが一度もなかったため、中国人は自分こそが天下の中心で、漢文明こそが人類文明の頂点であると終始信じてきたためであろうと筆者は考えている。
筆者は、膨張し続ける中国が持つ、自国の伝統・色彩・価値を「発揚」させたいという非常に強い焦りは、実は清朝末期中華民国初期からずっと増大し続ける精神的プレッシャーとなっており、「富強を求める」強烈な願望と「天朝大国」であった歴史の記憶が、中国が百年来たえず「流行の服を拾い上げて身に着け、また脱いでは着替える」原因となったと強く感じている。
この東北アジア(中国・日本・韓国)は地理的に相互に接近し、その伝統と歴史の上でかなり深い共通のルーツをもっているが、十六、十七世紀以来、相互に大きな偏見、敵意、不信感を抱き、その状態が今日に到るもなお続いているということである。
こうした議論の感情的な要素はしばしば中国が長期にわたって受けた屈辱と圧迫に対する激しい反抗からきている。そのため、中国が次第に強大になるにあたって、すぐに一種の感情を、まさに一部の研究者が述べたように、百年来西側は中国に対して略奪、圧迫、陰謀を試みたが、今や彼らが危機に見舞われており、中国はまさに強大となり、西側を救わねばならず、その結果「未来には中国人が政治的に全人類を統一して世界政府を樹立する」と言っているような感情を生みだしている。
◇
さて、明日から一週間ほど、また釜山の旅に出る。特段のあてもない。迷走する台風10号の進路が気にかかるが、フェリーのチケットを予約済み(往復7,900円)。今度はどんな出会いが待っているのか。あまり期待はしていないが、言葉(韓国語)も少しはましな会話ができるようになっているだろうか。帰省中にはお袋の命日の12日に少しだけ焼酎を飲んだ。異国の旅にしあれば、向こうの酒を少しだけまた味わっても罰は当たらないだろう。
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山籠りへ
- 2016-08-08 (Mon)
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リオ五輪が開幕した。甲子園の高校野球も開幕した。大リーグは岩隈、前田両投手が意地の好投を見せている。プロ野球もセリーグでは巨人が広島に猛追している。スポーツ好きにはたまらない本格的な夏が到来した。
五輪の中継で我々はこれからしばらく日本人選手の活躍に一喜一憂させられることになる。それはそれでいいのだが、相次ぐテロや領土(領海)問題のニュースに接すると、人類は国家(宗教)というしがらみをいつまで引きずっていくのかという思いもしないではない。健全なナショナリズム(民族主義)というものもあるだろうが、イギリスの文豪で文明批評家のH.G.ウェルズが説いた「世界国家」の夢が脳裏をかすめる。我々はもうそろそろ国籍や民族の違い、わだかまりを捨て去っていいのではないか。そうすれば、今のあまたの国際紛争・対立の芽は摘めるのではないのか。
◇
さてその開幕したばかりの五輪。滑り出しはそう順調でもなさそうだ。柔道では期待された初日の軽量級での金メダルは実現せず、男女とも銅メダルだった。私はこの試合をどちらも見ていないが、今朝の新聞では「今までに感じたことがない感覚」に襲われたと男子選手が振り返ったことが報じられている。女子バレーも初戦でライバルの韓国に逆転負けを喫した。ここでも日本チームに「緊張があった」と紙面が伝えている。男子体操の団体予選でも落下などのミスが続出したとか。
ずっと以前に、スポーツに関して、選手たちがよく口にする言葉に違和感を覚えることがあると書いた。その一つは国際試合で日本を発つ選手たちがコメントを求められると、「(試合を)楽しんできます」などと判で押したようにマイクに向かって話していること。別に楽しんで悪いというわけではない。異口同音の退屈なコメントではなく、もっと自分にしか言えないような個性的な言葉はないのかと私などは思うのだ。
それでその結果がプレッシャーにつぶされての惨敗だったら、何をかいわんやという気持ちになる。私は国際試合の場に立つような選手はみっちりスポーツ心理学のような鍛錬を受けさせるべきだと思う。(いや、とっくに受けているのかもしれないが)。技術がすでにあって土壇場でその力が発揮できないとしたら、お互いにとても不幸だ。テレビで見ていて選手ががちがちに緊張しているシーンは見たくない。とても「楽しんで」いるとは思えない。有言実行。金メダルは取れなくともいい。国の栄誉なんてものも考えなくていい。伸び伸びと内に秘めている力を思う存分発揮して欲しいと願う。
◇
とそんなことには関係なく、私は間もなく宮崎の郷里の山中に籠る。パソコンは使えず、携帯も圏外。世の中の喧騒とは無縁の静かな日々を過ごすことになる。スポーツ中継の熱狂からも幾分遠ざかることになる。NHKラジオ(語学講座)も山間地だから雑音が入って、聴取があまり芳しくないのが少し残念だが、致し方ない。
そういう事情でこのブログもしばしお休みです。皆さま、楽しい夏休みをお過ごしくださいませ。アンニョン!
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ジヨで十分じ・よ!
- 2016-08-02 (Tue)
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東京都に初の女性知事が誕生した。先輩知事の石原慎太郎氏は選挙戦中に小池百合子氏のことを「大年増の厚化粧」と悪態をついたらしいが、まあ、コメントにも値しない下品な言い草だ。これではどこかの国で信じ難い破廉恥な発言を繰り返し、物議を醸している大富豪の大統領候補と大差ない。
多くの国で女性が「ガラスの天井」(glass ceiling)を打破しているのは良いことだと思う。主要国で見れば、ドイツは人気に陰りを見せない安定感抜群のメルケル首相。イギリスはブレグジット(Brexit)の余波で瓢箪から駒が出る形で就任したメイ首相。今秋の大統領選で意欲満々のヒラリー・クリントン氏が選出されれば、米英独の3首脳が女性となる。日本で女性首相が生まれるのはまだまだ先のことだろうが、首都東京の顔に女性がなったことで、女性の社会進出が一段と加速定着することが期待される。
海外のメディアでもこのニュースは大きく報じられていたが、いささか取材(確認)不足のものもあったようだ。例えば、米ワシントン・ポスト紙(ネット版)では、Although turnout was low at about 27 percent, voters overwhelmingly backed Koike, a onetime television news anchor who speaks English as well as Arabic, which she learned as a student in Egypt. と伝えていた。この都知事選の投票率が60%近かったことは周知の通りである。
次のような文章もあった。Koike will have to get to work quickly. She’s due in Rio de Janeiro for the opening of this year’s summer games, which open Friday. She is set to serve a four-year term running up to the 2020 games. 小池新都知事がリオに駆けつけるのは開会式ではなく、閉会式だ。
◇
韓国語を学んでいて、語感が日本語と似ているなあと感じることがある。それは日本も韓国も中国の漢字文化圏に属しているのだから当然と言えば当然のことであるが、漢字とは離れたところで、例えば、語尾のところでそう感じることがある。例えば、「・・・
なぜ、この「지」にこだわるかと言えば、我が宮崎では語尾に「・・じ」と言う人たちがいるからだ。県庁所在地である宮崎市の人たちだ。40年以上前のこと、宮崎大学に入学して、県内外の学生と初めて触れ合った時のこと、私には宮崎市内出身者が例えば「それは俺のやじー」(それは俺のものだよ)などと言うのが強く印象に残った。私の出た西都市ではこういう「じー」という語尾は聞いたことがなかった。それで、韓国語の「ため口」でこの「・・・지」に出合うたびに、不思議な懐かしさを覚えてしまうのだ。
今月末に久しぶりに釜山を訪ねる予定だが、私がこの「・・・지」を実際に使うことはないだろう。何しろ「ため口」だからだ。よほど親しくない限り、口にすることはないと思う。それでないと相手に「この男、無礼な人だ」と思われてしまうだろう。逆に言うと、早くこういう物言いができる親しい友人ができるといいのだが、この年になるとそう上手くは運ばないだろうことぐらい承知している。私は当面は「・・・지요」で十分だ。
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回文とは異なるが・・・
- 2016-08-01 (Mon)
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先週の金曜日。また中洲の歓楽街を歩いた。人恋しくなったわけではない。高校時代の同級生から暑気払いでもしようとメールがあったからだ。それで落ち合うのに便利の良い中洲で落ち合った次第。先週のぞいたお店にまた足を運んだが、生憎予約客で満室とか。それで友人が行ったことのある西中洲の小料理屋に行った。
久しぶりの再会だった。先週末にも少し飲んでいるので、この夜は勘弁してもらい、もっぱらウーロン茶をあおった。彼が美味そうに生ビールを干すのを見ても気持ちがざわつくことはなかった。ささやかな宴の最中、連絡が遠のいた同級生O君の話になり、O君の携帯に電話。O君は定年退職後はどうやら好きなゴルフを中心にした優雅な生活らしい。電話に出たO君は「那須君、君のブログたまにのぞいているが、俺には難しすぎて・・・」と宣う。
英語に加え、最近は韓国語、中国語の雑学的要素も加わった。まあ、私には「備忘録」的なブログだから、O君、許してたもれ。別に気取って書いているわけではない。私にはそれでも同級生のO君がブログをたまにのぞいてくれているだけで嬉しかった。
◇
O君には悪いが、英語に関する記述が楽しみという「読者」もおられるようなので、いつも読んでいる米インターネット新聞「ハフィントンポスト」の記事を紹介したい。これは何とも興味深い漫画(cartoon)だ。
この漫画を読んで最初に頭に浮かんだのは日本語の「回文」という、上から読んでも下から読んでも同じ文意になる巧妙な文章だ。この漫画の文章の面白さは普通に読むと左のドナルド・トランプ氏の主張となるが、逆から上に読み上げていくと、右のヒラリー・クリントン氏の訴えとなるというもの。文章を区切る句点(ピリオド)がないところがみそか。
トランプ氏の主張と思って普通に読み進めれば、“It’s getting worse. So don’t try to convince me that the future is bright in America because, when you take a closer look, there’s anger and hate, even if it’s not who we are as a nation. But you should be scared (of) crime, terrorists, illegals. We need to do something. Believe me, fear is greater than hope. Because we can’t be optimistic and you’ll never hear me say America needs bridges not walls.”
ヒラリー氏の主張と思い、下から逆に読むと、“America needs bridges not walls. And you’ll never hear me say we can’t be optimistic, because hope is greater than fear. Believe me, we need to do something. Crime, terrorists, illegals. You should be scared. But it’s not who we are as a nation, even if there’s anger and hate. Because, when you take a closer look, the future is bright in America. So don’t try to convince me that it’s getting worse.”
しばし考えさせられた。これは何を意味するのか。考え方の出発点が異なるということか。それとも庶民とはかけ離れた階層に属す二人の主張には所詮大差がないということか?
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ヒラリーの決意
- 2016-07-29 (Fri)
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暑い。大学の前期最後の授業。最後だから珍しくスーツを着て、駅から大学へ歩く。すぐに汗びっしょり。サラリーマン時代には毎日こんな苦労をしていたのか。遠い記憶。この日朝足を通したズボンはお腹回りがぎりぎりだった。もう少し普段の運動の負荷を増やさないといけなそうだ。悲しくなる。
郷里の先輩のメールでらっきょう酢にハーブを入れているとあった。そうか、そういう手があったか。よし、スーパーに行き、ハーブを買い求めることにしよう。それをゴボウ、ニンジンの瓶とゴーヤのタッパーに入れてみよう。どんなに香しいピクルスに変貌することだろうか。今から楽しみだ。お腹回りの引き締めにも役立ってくれるといいのだが・・・。
◇
米民主党の党大会。この国の歴史上初めて主要政党の大統領候補となったヒラリー・クリントン氏が受諾演説を終えて閉幕した。女性に対する壁としてはおそらく世界で最も強固なものの一つであろう「ガラスの天井」を打破したヒラリー氏。彼女のスピーチを端的に表現すると、アメリカをさらにより良い国にしようという “a strong commitment”(強い決意)だろうか。党大会会場のフィラデルフィアが舞台となった独立宣言起草の歴史に言及しながら、先人は小異を捨てて団結し、世界中の国々がモデルと仰ぐ国を育んできたのだと訴えた。共和党候補のドナルド・トランプ氏が豪語するように一人の個人の力で変革はもたらされるものでもなく、“We are stronger together.” と国民の融和の大切さを強調した。
私には前日にジョー・バイデン副大統領がヒラリー氏を激賞したスピーチも印象に残っている。彼はトランプ氏を痛烈に批判した。例えば次の文章。“He’s trying to tell us he cares about the middle class. Give me a break. That’s a bunch of malarkey.” 私は最後の語は初めて耳にした。電子辞書を引くと、「たわごと」(nonsense とか silly things)と載っている。「トランプ氏は自分がミドルクラスの人々を大切に思っていると私たちに信じさせようとしているが、冗談も休み休み言ってもらいたいものだ。彼の言っていることはたわごとのオンパレードだ」ぐらいの意味合いだろうか。
アメリカに帰国した私の恩師によると、このmalarkeyという語は彼が若い時には何度か耳にしたことがあるが、今ではすっかりすたれた語彙で、こうした語を使うと、揶揄の対象となる可能性がある。しかし、労働者階級を含めたミドルクラスを代表するバイデン氏がこの語を使っても誰も彼を揶揄ったりすることはないだろう。それは彼がこの語を堂々と使う資格があるからだという。なるほど。バイデン氏はそういう人物だったのだ。
ところで、上述の通り、昨日は前期の最後の授業。前期は私の力不足からか、学生からはあまり手応えが感じられず少々がっかりしながら、大学のロビーでスクールバスを待っていた。学生が一人近づいてきて、「先生、私のこと覚えていますか?」。去年教えた成績の良い学生だった。彼女は最近洋画を見ていて、登場人物が “Give me a break!” と叫ぶシーンで私のことを思い出したという。彼女が受講していた講座では何度もこの表現を説明していた。強烈な不満や時に憤りを口にしたい時の口語表現だと。「先生、あ、あの表現だとすぐに分かりました」と彼女は嬉しそうに語った。私も嬉しく思ったのは言うまでもない。
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屋根が抜け落ちるほどのスピーチ
- 2016-07-27 (Wed)
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サブリミナル効果からか、韓国語ドラマの食事場面に誘われたかのように、コンビニでカップラーメン(라면)を買ってしまったことを書いた。一か月ほど前のことだ。特売コーナーにあって、229円のものが180円となっていた「博多とんこつラーメン大盛」。
このカップラーメン、ずっとテーブルの上に置いていたのだが、本日お昼過ぎ、遂に熱湯をそそぎ食した。昼は抜くことが多いのだが、たまにはいいかと開封した。この暑さなので汗をかきかき・・・。味はまあまあだった。でも、また買って是非食べたいという類のものでなかったことも確かだ。
◇
ヒラリー・クリントン氏が有力な大統領候補として脚光を浴びる米民主党の党大会が東海岸のフィラデルフィアで開幕し、ヒラリー氏が正式に指名獲得にこぎつけた。CNNテレビの生放送からも大会会場の熱気が伝わってくる。
初日にはファーストレディーのミシェル・オバマ夫人や指名をヒラリー氏と最後まで激しく競ったバーニー・サンダース上院議員らが登壇し、ヒラリー氏を応援するスピーチを行った。共和党の党大会に比較して、民主党の演者はどれも論旨が明快で排他的でもなく、党大会だけで判断すれば、圧倒的に民主党の勝利と私には映った。
初日のスピーチの中でも際立ったのがミシェル夫人のそれだった。彼女のスピーチの素晴らしさは、米メディアの一つで見た “Michelle Obama Bring The House Down At DNC” という見出しが物語っていたかと思う。bring the house down(満場の大喝采を浴びる)とはいい成句だ。聴衆の拍手喝采で屋根が抜け落ちるからこの表現だという。
8年前の候補者選びではオバマ大統領と激しく争ったヒラリー氏をミシェル夫人は絶賛した。例えば次の表現。“I trust Hillary to lead this country because I have seen her lifelong devotion to our nation’s children. Not just her own daughter, who she has raised to perfection, but every child who needs a champion.”(私はヒラリーが生涯を通してアメリカの子供たちのために働き続けていることをこの目で見てきており、彼女がこの国の良き指導者となるのを信じて疑わない。彼女は自分自身の娘を完璧に育て上げているが、この国のすべての子供たちが彼女のような存在を必要としているのだ)
次のようなくだりも最大級の賛辞と言えるだろう。“What I admire most about Hillary is that she never buckles under pressure. She never takes the easy way out. And Hillary Clinton has never quit on anything in her life.”(私がヒラリーについて最も尊敬の念を抱くのは、彼女はいかなる切羽詰まった状況下においても白旗を揚げることは決してないことだ。彼女は易きに流れることは断じてしない。彼女は人生においてそれが何であれ、途中で匙を投げたことなど一度もないのだ)
世論調査では共和党候補のトランプ氏との支持率は拮抗していると報じられている。ヒラリー氏が現時点で伝統的な民主党支持層の支持をがっちり抑えているとも言えないようだが、11月の大統領選でヒラリー氏が勝利するようなことになれば、私は後々、ミシェル夫人のこの日のスピーチが分水嶺と見なされるような気がしてならない。
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