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英語でさるく 那須省一のブログ

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笑える愚かさと笑えない愚かさ

 ケーブルテレビだかで公開中の映画の案内広告が流れた。大好きなイギリスのコメディアン、ローワン・アトキンソンの最新作の紹介だ。これはぜひ観たくなった。邦題は「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」(原題は “Johnny English Strikes Again”)。「ミスター・ビーン」でお馴染みのコメディアンの最新作ならばぜひ見なくてはと思っていた。
 それでそろそろ行かずばと改めて上映時間をネットでチェックすると、13日で上演終了と出ていた。あちゃ、明日で終わりかよ。それで本日、早起きして映画館に足を運んだ。上映時間の直前に上映ルームに入ったら、なんと客は私一人だけ。その後3人がポツンポツンと加わったが、これだけ閑散とした上映に居合わせたのはおそらく初めて。
 英国の諜報機関MI7の現役スパイの身元がサイバー攻撃で全員暴露され、危機に瀕した英政府が取った最後の手段がすでにスパイ活動の第一線から引退していたアトキンソン演じるとんまなスパイのジョニー・イングリッシュの再雇用。例によって至るところでドタバタの失態を仕出かすが、結果的に彼の旧式の作戦が最後には功を奏す。英首相をエマ・トンプソンが演じていて懐かしかった。とはいえ、作品自体は正直いまいちの印象を受けた。爆笑のシーンもそれほど多くはなかった。なるほど、この映画が本日で上映が終了するのも何となく理解できた次第だ。アトキンソンを起用するならもっと爆笑物ができたのはないかと思わざるを得ない。もったいない!
                  ◇
 アメリカではトランプ大統領の弾劾の可能性も急浮上しているようだ。大統領といえども、師走の風は一段と肌寒いことだろう。国際社会にとっては衝動的で予断を許さない言動に出る大統領の権威失墜は「朗報」に違いないが、打開策が見え始めたかと思われた北朝鮮情勢を考えると、少し複雑な心境にはなる。
 トランプ大統領の口から出る発言はしかし、我々英語学習者には参考になることも事実。最近の例では解任したレックス・ティラーソン前国務長官のことを以下のようにこき下ろした。“Mike Pompeo is doing a great job, I am very proud of him. His predecessor, Rex Tillerson, didn’t have the mental capacity needed. He was dumb as a rock and I couldn’t get rid of him fast enough. He was lazy as hell.” (Japan Newsより)
 ティラーソン氏は “mental capacity” がなかったと蔑んでいる。「知的能力」とでも訳すのだろうか。“dumb as a rock” や “lazy as hell” ——。辞書で改めて調べなくとも、それぞれ「岩石のように愚鈍」「信じ難いほど怠惰」などといった意味合いだろうと何となく類推できる。かくまでこき下ろされたティラーソン氏の心中や如何に。
 年内には政権の中枢、ジョン・ケリー首席補佐官が辞任する運びとか。自らの意思によるものか事実上の解任か、その両方かもしれない。ケリー氏は敏腕記者がトランプ大統領の政権内幕を描いた本の中で、大統領のことを陰で再三 “an idiot” (ばか)と呼んでいたと報じられている。ケリー氏自身はこれを否定しているが、大統領の知力や手腕を称賛する声が聞こえてこないのは不思議と言えば不思議な話ではある。

3人目のジョージ・ブッシュ大統領?

20181208-1544238264.jpg ブッシュ元米大統領(父)の国葬がワシントンで行われたのをCNNで見ようと思ったが、深夜から未明の時間帯のため、肝心要の弔辞の部分は見ずにベッドに入った。翌日に見たCNNのクリップでは現職を含め、歴代大統領が一列に坐した光景が映されていた。トランプ大統領夫妻の右隣に座ったオバマ前大統領夫妻、そのまた右隣にクリントン元大統領夫妻。トランプ大統領夫妻が来場するまではオバマ、クリントン両夫妻は仲睦まじく談笑していたが、トランプ大統領夫妻が姿を見せると、空気が一変、冷気が漂っているような印象を受けた。クリントン夫妻はトランプ夫妻とは握手さえ交わさなかったようだ。
 ブッシュ氏の地元、テキサス州で翌日行われた、身近な人々だけが集った葬儀は比較的長く見た。ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事の長男、ジョージ・P・ブッシュ氏が壇上で弔辞を読んだ。ブッシュ氏の17人の孫のうちで最年長で、先月の中間選挙でテキサス州の公有地管理庁長官の公職に再選を果たしたばかりとか。父親のジェブ氏によく似た風貌の彼はブッシュ一族では3人目の「ジョージ・ブッシュ」であり、まだ42歳の若さ。私はこの夜の葬儀で初めて彼のことを知った。"George Herbert Walker Bush is the most gracious, most decent, most humble man I will ever know." (祖父はまさに親切、優雅、かつ謙虚そのもののでした。私はこれからも祖父のような人に会えるとは思えません)。彼が好々爺の祖父と一緒に過ごした愛情あふれるエピソードを淡々と語る弔辞を聞いていて、何となくだが、彼がやがてブッシュ家の三人目の「ジョージ・ブッシュ大統領」となるのかもしれないと感じた。今の大統領よりは随分ましだろう。
                 ◇
 今聞いているNHKの語学講座「まいにち中国語」は昨夏に続く再放送だから、耳にするのは2回目となる。登場する語彙や表現は忘れていることが大半だから、「復習」と呼ぶには程遠く、文字通り、毎日が新しい勉強の日々だ。昨日は次の表現が出ていた。——谢谢你来看我。——忠実に訳すと、「あなたが私に会いに来てくれたことに感謝する」とでもなるのだろう。実にもったいぶった日本語となる。
 私は昨年7月、以下のようにブログで記していることを思い出した。
 NHKラジオの中国語講座を聞くようになって1年経過。週日はほぼ欠かさず聞いてはいるものの、上達の度合いは実にのんびり。頭の片隅には日英中韓の言語的共通性(相違性)を探りたいという思いがある。最近学んだ文章では例えば、「谢谢你来看我。」という表現。日本語訳では「会いに来てくれてありがとう」。あえて直訳すると、「あなた(你)私(我)に会い(看)に来て(来)くれてありがとう(谢谢)」となるのだろう。英語だと “Thank you for coming to see me. と言えようか。you もme もここでは絶対不可欠だ。この点では中国語は英語に近いことが分かる。日本語では「あなた」や「私」は分かり切ったことだから言う必要はない。この違いは興味深い!
 当時メモしていた語学雑記帳を改めて見てみると、後から四苦八苦の末に追記したと思われる韓国語の文章が付記してある。——만나러 와줘서 고마워요.——ここにも「あなた」や「私」という語彙はない。日韓両言語の近さを感じるのは私だけではないだろう。

二人称の悩ましさ

 先夜の懇親会で韓国語を久しぶりに口にしたこともあってか、韓国語に対する思いが少し蘇ってきたかのようだ。それでこのところ、ケーブルテレビで韓国語のドラマをまたよく見るようになった。以前にも書いたが、韓国のドラマは観ていてあまりにもベタな内容に辟易し、ずっと遠ざかっていた。ケーブルテレビで観ることができるドラマは多くが100回前後、ときには200回近いシリーズものが多い。はまれば毎回1時間近いドラマにかなりの長期間付き合うことになるので、これも遠ざかっていた理由の一つ。
 最近たまたまチャンネルを合わせたドラマは10余回の連続ドラマ。これなら付き合える。何気なく見ていて、もちろん、字幕があるから理解できたのだが、それでも、字幕がなくともだいたい意味合いを聞き取れるやり取りが少なからずあった。私も少しは韓国語の力をつけているように感じた。
 その中で次のやり取りが記憶に残った。男性の上司が部下の女性に「당신」(タンシン)と呼びかける。人称代名詞で漢字なら當身か。職場の上司が部下に呼びかけるときには「タンシン」でOKなのかと。以前に観たドラマでは年下の男性が年長の男性に「タンシン」と呼んで喧嘩になるシーンがあった。私の韓国語辞書には「당신」は「(相手を軽んじるような言い方で)あんた」「(夫婦間で)あなた」と載っている。日本人が韓国を訪れ、初めて出会う人々に対し、ゆめゆめ「タンシン」と呼びかけてはならないことが分かる。
 外国語を学ぶときには、初対面の相手をどう呼ぶかということは結構頭を悩ます。英語がその点楽なのは、youの一語で済ますことができることだ。相手が大会社の社長であれ、商店のおばちゃんであれ、youで何の問題もない。中国語も似たようなものかと思う。普通は「你」(ニィ)でOKだし、敬意を払いたければ「您」(ニン)と言えばいい。それだけのことだ。韓国語ではそうはいかない。辞書には「너(ノ)」という語も載っているが、これは実際には親しい間柄でないと使わない方が無難のようだ。それで通常、第三者は肩書きをつけて呼ぶか、フルネームに「씨(シ)」をつける。あるいは相手が男性であれば「선생님(先生様ソンセンニム)」と呼んでいれば気を悪くする人はいないだろうとどこかで読んだ記憶がある。中国語でも男性に対しては「~先生(シェンション)」と呼べば、それは「~さん」を意味するとNHKのテキストにあった。
 いずれにせよ、日本語や韓国語では第三者に礼を失することのない人称代名詞、そして適切な敬称をつけるということは常に悩ましい問題だ。だから日本語では煩わしい人称代名詞や敬称は敬遠して、用件だけを話すことの方が圧倒的に多い。初対面の人に臆することなく使える的確な二人称は日本語には存在しないのではないか。「あなた」では決してない。ずっと以前に読んだ専門書に次の指摘があった。「人称代名詞の種類では、中国語より日本語のほうが圧倒的に多いのであるが、使う頻度は中国語のほうがずっと高い。日本語の人称代名詞は、時として翻訳調である印象を与えたり、また、目上の人間を直接指すのは失礼であると考えられたりなどするので、日本語の通常の使用では、あまり人称代名詞を使わない。人称代名詞を使わずに、親族名や身分を表す語を使うか、何も使わず省略する」<『中国語と日本語』(日本語ライブラリー)(朝倉書店 編著・沖森卓也、蘇紅 2014年)>

「ふたりのピアフ」

20181126-1543191610.jpg 私は音痴(tone deaf)の部類に属するかと思う。小中学時代は音楽の時間が憂鬱だった。皆と一緒に歌っている時にはいいのだが、一人だけになるとどうも音程を外してしまう。その後、音痴には2種類あって、自分が音程を外したことが分かる音痴とそれさえ分からない音痴の2種類があるのだとどこかで読んだような。本当にそういうものなのかは門外漢の私には分からないが、大学生の頃、アルバイト先でバイト仲間が口ずさんでいた歌がひどい音痴だったので、そう指摘すると、「どこがおかしいの?」と大真面目に聞かれたことがあり、私は心中「こいつは正真正銘の音痴だ」と合点が行ったことを覚えている。
 その点、私は自分で音程を外したところはだいたい分かる。それではそれを矯正しつつ歌えばいいのだろうが、残念ながらそれができない。就職するまでずっと、まともに歌えないということにコンプレックスを抱いていた。(今でも若干くすぶっている)。大学を卒業し、就職で上京した昭和50年代半ば、初任地の八王子市でもカラオケ機器を備えたスナックが増え始めていた。飲み会後のカラオケは負担に感じたが、そのうちエコーを効かせて歌うと少々の音程のずれはごまかせることに気づき、段々と人前で歌うことに慣れていった。
 前置きが長くなった。生来音痴の私は音楽コンサートの類にはあまり関心はなく、ロンドン勤務時代にはストレートプレイ(straight play)と呼ばれる、歌唱を含まない伝統的な劇を観によく出かけた。先週末、その私が珍しく、天神のライブハウスに足を運んだ。「ふたりのピアフ」と題したシャンソンと語り芝居のコンサートだ。出演者のシャンソン歌手、浜砂伴海さんは旧知の間柄で、彼女は首都圏を中心に精力的に活動している。福岡公演は3年ぶり、2回目とか。私は時々彼女のCDを聞いているが、生で聴くのは今回が初めて。
 フランスでシャンソンの女王と称されたエディット・ピアフ(1915-1963)。伴海ちゃんは福岡市在住の舞台俳優、岩城朋子さんとタッグを組み、ピアフ生誕100年の2015年からピアニスト(野田正純さん)の演奏に乗せ、ピアフの波瀾万丈の人生を歌い上げている。「語り芝居」と呼ばれる独自のジャンルで活躍している岩城さんの声色を駆使した語り、伴海ちゃんの張りのある力強い歌声が絶妙に絡まり合う。売春宿で過ごした幼少期、街中で歌ってシャンソンを学んだ少女期、恋人との死別、再三の交通事故による負傷、治療の過程で身体にしみ込んだ麻薬中毒・・・シャンソンの女王の尋常ならざる人生が二人の歌と語り芝居で鮮やかに紡ぎ出されていった。
20181126-1543191663.jpg 休憩をはさんで約2時間の公演が終わった瞬間、ライブハウスに集った約70人のお客の拍手がしばし鳴りやまなかった。私の印象は「とても面白かった」。シャンソンを聴いて「面白かった」という感想はどうかとも思うが、伴海ちゃんの伸びのある歌声の魅力を岩城さん自身の脚本による語り芝居が一段と高めていた。伴海ちゃんが歌ったのは広く知られる「愛の讃歌」「水に流して」や自分で訳した「ミロール」「バラ色の人生」など20余曲。
 シャンソンはネットで検索すると「曲よりも歌詞が重要視され、歌手は音楽的な正確さよりもその歌をどう解釈して、それを聴く人にどう伝えるかが命」といった説明がなされていた。なるほど、一昔前の演歌をエコーでごまかしつつ歌う私のカラオケソングとは所詮、ラベルがいやレベルが違うのだ!

비행기(ピヘンギ)に乗せないで!

 先週末、文学の集いで久しぶりに夜の天神に足を運んだ。出版社・書肆侃侃房が主催し、作家の角田光代さんと韓国の作家チョン・ユジョン(丁柚井)さんの対談があったからだ。私は角田さんの作品は『八日目の蝉』しか読んだことがないが、チョン・ユジョンさんは昨年の今頃、彼女の長編小説『七年の夜』を読んだばかり。(『七年の夜』については昨年11月27日付けのブログを参照あれ)
 日韓の第一線で活躍する二人の女流作家(こういう表現はまだ許されるのだろうか?)がどんなことを語るのか興味をそそられた。質疑応答を含め2時間に及んだ対談は大変面白かった。チョン・ユジョンさんは韓国文壇を代表する作家だが、角田さんともども、飾らない気さくな人柄で、その親しみやすさは語り口ににじみ出ていた。彼女が作品で一貫して追求しているのは、人間が普遍的に有している野獣性。極限の状態でそれがいかに現出するのか。綿密な取材を経て構想を肉付けしていく作家の作法が集まった人々を魅了した。
 対談終了後、近くの居酒屋に場所を移して懇親会とあいなった。残念ながら角田さんは参加できなかったが、チョン・ユジョンさんは通訳の方々と一緒に同席。私は彼女とはす向かいに坐したこともあり、親しく話をする幸運に恵まれた。もちろん、日本語が達者な韓国人の通訳の方が2人もおられたことで会話が弾んだ次第だが。
 それでも行きがかり上、何度か私も拙い韓国語でチョン・ユジョンさんたちに語りかけることを余儀なくされた。悔しいことに久しぶりに生の韓国語を話そうとしたら、なかなか言葉が出てこない。これも最近では中国語の方に精力をつぎ込んでいる付けが回って来た形だ。それでも必死になって言葉をつなぎ合わせようと努力した。韓国語と日本語は語順が同じだから頭に浮かんだ語彙をそのまま口にすればいいのだが、問題はその語彙を知らない、あるいは学んだ記憶はあるが、忘れてしまっている。
 そうしたら、チョン・ユジョンさんや連れのお友達が「韓国語の発音がいいですよ。自信をもっていいですよ」みたいなことをおっしゃる。チョン・ユジョンさんは「まるでアメリカから帰国した韓国人のような韓国語ですよ。韓国でそう言えば、信じてもらえますよ」とも言われた。私はここで思い出した。こういうときには「お世辞言わないでくださいな」という韓国語特有の言い回しがあることを。それで頭に浮かんだ「ピヘンギタジマセヨ」と言った。彼女たちは爆笑した。「あら、よくそんな表現ご存知ですね」みたいな感じだった。私がビールではなく、ウーロン茶で通していたことをチョン・ユジョンさんになぜ?と尋ねられ、「私はもう一生分を飲んでしまいました。還暦を過ぎたので新しい人生を歩みたいのです」と答えたが、これは分かって頂けたか自信がない。
 深夜帰宅した後、「お世辞言わないでくださいな」はちょっと表現が違ったかなと思い、韓国語辞書でチェックした。そうしたら、やはり少し違っていた。正しくは비행기를태우지마세요. だった。 비행기(ピヘンギ=飛行機)に태우지(テウジ=乗せないで)마세요(マセヨ=ください)と言うべきだった。「タジ」ではなく「テウジ」だった。最初と最後が一応合っているので私のヘンテコ韓国語も分かって頂けたのだろう。
 これからはまた韓国語にも少し本腰を入れよう!

「対岸の火事」か否か?

 少し肌寒くなってきた。日中は青空がのぞき、気持ちがいいときもあるが、冬の到来を感じることの方が多い。このブログで何回も書いているかと思うが、秋が四季の中で最も好きな季節だ。しかし、どうも近年は四季の中で最も足が速いのも秋のような気がしてならない。ふっと気づくと、すぐにコートを羽織る時節になっていたりする。この秋の短さ、まさかあの地球温暖化(global warming)と関係があるのだろうか?
 寒くなると悩ましいことがもう一つある。いやあったと書くべきかもしれない。今年はまだ悩まされていないからだ。それは、手の指のひび割れ。台所で食器洗いをしていて、手の指の爪の生え際などが割れ、毎冬、痛い思いをしてきていた。お湯を使ってもだ。
 去年の今頃はもう悩まされていたかと思う。「痛いなあ」と感じ始めていた。そうした不快感で一冬中悩まされていたのだが、今秋は今のところ大丈夫だ。違いはゴム手袋。少なくとも食器洗いの時には両手にゴム手袋をしっかりとしてやっている。功を奏してか手の爪の生え際の割れもなく、手荒れもない。嗚呼、ゴム手袋や有難しである。やはり知らないということは悲しいことだ。
                  ◇
 今回のジョギングを始めた当初、実は普段着ているジーンズのまま走っていた。少しだぶつくがそんなに気にはならないから、まあいいやという感じでとぼとぼと走っていた。だが周囲で走っている人を見ると、だいたいジョギングに適した身軽な服装だ。それで私もきちんとしたランニングウェアを買おうと思った。だが、よく考えると、だいぶ以前に買ったものがあるような気がした。確か、はるか昔の盛岡支局勤務時代だかに買ったような。探してみるとあった。両足首のジッパーがだめになっていたものの、走る分には全然問題ない。それでこれをはいて走ってみた。軽快! やはり全然こちらの方がいい。ランニングシューズにウインドブレーカー。「形」が整うと気分も乗ってくる。
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 日本のメディアではあまり報じられていないような気もするが、アメリカの西海岸、カリフォルニア州で猛威をふるっている大規模な山林火災は相当な被害をもたらしているようだ。CNNだかで空から撮影した被災地(住宅地)の様子を見たが、まるで空爆を受けたかのような悲惨な光景だった。地元の住民が復興にどれだけの期間・資金が必要か見当もつかないと嘆いていたが、その通りだろう。日本でこのような規模の山火事が起きていたら、政権基盤をも揺るがしかねない問題になっているのではないかと思えるほどだ。
 ネットで数日前にこのニュースをチェックしていたら、現地のカリフォルニア州のジェリー・ブラウン州知事がトランプ大統領を強く批判した記事があった。山火事も大統領がその脅威の存在を一蹴している地球温暖化によってより深刻な被害となっているという批判だ。ブラウン知事は昔は小規模な山林火災で済んでいたのが、今では夏の異常な猛暑や旱魃により “our whole way of life”(私たちのすべての生活)を脅かすものになっていると断じた。猛暑や旱魃が地球温暖化でますます深刻化しているとの主張だ。日本でより脅威を増しつつある夏秋の台風や水害を考えると、文字通り、「対岸の火事」ではないかと思う。

トランプ氏に思う

20181109-1541729934.jpg スロージョギング。休み休みだが、何とか続けている。長年のプール通いを切っただけに帳尻は合わせなくてはならない。とにかく普段は「座った姿勢での生活」(sedentary lifestyle)だから、健康に全然良くないことは百も承知、二百も合点だ。来年3月にはまた南大隅町の恒例の稲尾岳参拝登山が待っている。いつも青息吐息で登っている。これからスロージョギングで足腰を鍛えておけば、稲尾岳参拝にも役立つ。そう思い始めてもいる。
20181109-1541729957.jpg 最近ではこれまでバスを使っていた距離もできるだけ歩くように変えた。万歩計をいつもポケットにしのばせ、夕刻自宅で取り出せば、少なくとも1万歩は歩くように心がけている。日曜日をのぞけばの話だが。
                  ◇
 トランプ米大統領に対する審判が注目された米議会の中間選挙。上院は与党共和党が何とか過半数を維持したものの、下院では野党民主党が8年ぶりに過半数を奪還するねじれの結果となった。主要メディアの報道を読む限り、トランプ政権下で米政治・社会の分断・両極化は今後、ますます激化し、融和の精神とは程遠くなるという悲観的見方が大勢のようだ。「米国第一主義」のトランプ外交にもさらに拍車がかかり、混迷の度を深める危険性をますますはらんでいくとも。
 中間選挙終了直後のトランプ大統領の共同記者会見の模様をネットで見た。大統領の棘のある敵意に満ちた受け答えがなかなか面白かった。私の印象に残ったことを一つだけ記しておくと————。トランプ氏の態度に米大統領にあってしかるべきと思える度量・余裕が全くと言っていいほど、感じられなかった。まるで独善的でナルシストのヒステリックな高齢者の印象しか残らなかった。彼には21世紀の米国をそして世界をどう導いていきたいのか、そうした信条・理念が微塵もないように見えた。彼のことを買いかぶる必要はさらさらないとの思いをさらに強くした。
 以前にCNNだかで見たテレビの討論番組でアメリカの識者がトランプ氏は先の大統領選で自分が勝利するとは思ってもいなかったし、大統領に実際になりたいとも願ってもいなかったと語っていたが、私も今は実際そうであったかもしれないと思い始めている。共和党の大統領候補として終わればそれで十分彼の虚栄心(vainglory)を満足させ、その後は大統領候補だった「実績」に相応しい処遇を受ければ十分だったのではないか。だから、クリントン女史を破ってまさか大統領に当選するとまでは彼自身も考えていなかったのではと。そうだとしたら、彼が打ち出す外交方針が「常識外れ」であることに合点は行く。日本にとっては北朝鮮の核問題があるだけに由々しき事態ではあるのだが・・・。
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 中国語を学んでいて、日本語の語彙はかなりの部分、中国語から取り入れたのだろうなあとつくづく思うことがある。もちろん、明治維新以降はその逆の流れがあることも承知しているが。例えば「太意外了」という表現。字面を見れば、おおよその意味は推測がつく。「たいへん意外だ」という意味。音声はだいぶ異なる。敢えてカタカナ表記すれば、「タイ・イーワイ・ラ」となる。「意外」が「イーワイ」。似ていると思えば、思えなくもない。

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