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英語でさるく 那須省一のブログ

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political vandalism

 台風15号が関東地方で記録的な暴風をまき散らし、太平洋に去っている。幸い大きな人的被害は出ていないようだ。台風は通常、沖縄や九州を襲った後、北上して日本の他の地域に爪痕を残していく。昨日以来、関東の交通網の混乱をテレビで目にしながら、福岡や郷里の宮崎のことを案じる必要のないことに安堵の念を覚えたと言えば、ちょっと度量が小さ過ぎるだろうか。
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 前回の項で大リーグ、ロサンゼルスエンジェルスの大谷翔平君が絶不調と書いた。今年はもういいから、来年、復活した二刀流で奮起して欲しいと。そうしたら急に彼が活躍し始めたようだ。日曜日(現地・土曜日)の試合で15試合ぶりにホームランも放ち、アメリカ人アナが叫ぶあの “Big fly, Ohtani-san”も久しぶりに耳にすることができた。
 大リーグのホームページを読むと、打撃フォームに手を入れたとかで、どうもそれが功を奏したようだ。翔平君にはやはりホームランが似合う。チームはプレーオフ進出は絶望的だが、残り試合、彼らしい豪快なホームランを連発して欲しい。そして来年は晴れて二刀流復活だ。彼は試合後次のように語ったとか。“I’m not only happy with the results, but the process and how I’m feeling at the plate,” Ohtani said through a translator. “I feel a lot better.”(「私は結果だけに満足してはいない。今の状態にもってきたプロセスにも、それに打席に立った時のフィーリングにも満足している」と大谷選手は通訳を通して語った。「以前よりずっと感覚は良くなっている」)。打席で投手と対峙した時の自信も戻っているようだ。それは何より。残り少ないが、これからが楽しみ。加油!
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20190909-1567991325.jpg 英国の政治が混乱している。ひっちゃかめっちゃかと形容したいほど。ネットでねんのためチェックすると、しっちゃかめっちゃかの方が標準のようだ。それにしても、英国が欧州連合(EU)から離脱するのがかくも難事とは。
 CNNのホームページを見ていたら、ちょっと刺激的な見出しが目にとまった。——Amber Rudd resigns from UK cabinet, says she can't support Boris Johnson's 'political vandalism'——。アムバー・ラッド雇用・年金相がEUからの「合意なき離脱」も辞さないジョンソン首相の強硬姿勢に異を唱えて辞任したことを報じた記事だった。
 見出しにある語彙political vandalism(政治的破壊行為)。つい最近、どこかで目にしたような語彙だ。ブログでも書いたような記憶がある。調べてみると、今年7月のブログで言及している。トランプ米大統領がイラン核合意を反故にした時に、当時の英国の駐米大使がトランプ大統領の行為を diplomatic vandalism(外交的破壊行為)だと非難したと書いている。トランプ大統領とジョンソン首相。髪の毛の色や破天荒な政治スタイルが似ていると言われる二人だが、就任早々、ジョンソン首相もvandalism という形容を奉られるとは!
 英国のEU離脱は日本が中国やアセアン諸国との関係を断ち、アメリカや欧州との交易に活路を見いだそうとするようなものだ。愚挙だろう。
 チャーチル氏やサッチャー氏が蘇ったとしたなら、あきれ、嘆くのではないか。他に追随を許さない英連邦(Commonwealth)の盟主としての栄光も陰りそうだ。

「真味只是淡」

 毎年恒例の市の定期健診。安価な費用で身体の健康具合を診てくれるわけだから、退職者にはありがたい。昨年の健診結果説明会で保健師さんに忠告されたことは覚えている。体重を落としなさい。福井いや腹囲も落としなさい。週末のみの飲酒を心がけ、スロージョギングを細々と続けているのも、こうした忠告が念頭にあるからだとも言える。
 今年の定期健診。体重計に乗るのが躊躇された。前回よりもかなりオーバーしているのではないかと危ぶんだからだ。腹囲もそう。結果的には体重は少し落ちているもののほぼ同じ。腹囲は全く同じ数値。ここに書くことすら憚られる思いだ。高値安定。快眠快食だから心配はないのだが、このところの緩い短パンからズボンをはこうとして、ウエストが結構きつくなっている時など愕然とすることもある。
 今回の健診の結果説明は来月初め。その間に検査機関から自宅に送られてくる胃がんや大腸がんなどの検査結果が悪くないことを祈りつつ、結果説明の日にはまた保健師さんに同じ小言を聞かされることになるのだろう。嗚呼!
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 大リーグ。大谷翔平君がなぜか絶不調に陥っているようだ。打順3番から5番に「格下げ」され、遂にはスタメン落ちまでしている。テレビ画面で見る限り元気なようだが、どうもひところの覇気が感じられない。私はケーブルテレビの生中継で彼のゲームを見る気力も失せてしまった。来年は晴れて二刀流に復帰するのだろうから、今年はもういいか。是非来年頑張って欲しい。
 プロ野球は優勝争いが佳境を迎えつつある。セパともに3位のチームまで日本シリーズに出場できるプレーオフ制度だから、3、4位争いも熾烈になっている。この制度ができた時は優勝チームに大差をつけられた3位のチームがプレーオフで勝利して日本シリーズに這い上がってきたら、ペナントレースの意味がなくなると思ったが(今でもそう思ってはいるが)、下剋上の一つとみれば、それはそれで面白いようだ。今年は特にパリーグのロッテが3位に滑り込みそうで、優勝は固そうだがロッテに相性の悪いソフトバンクとプレーオフで対決する可能性もある。そうなればパリーグは凄く盛り上がりそう。頑張れ、ロッテ!
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 英字紙のジャパン・ニュースを読んでいたら、中国茶の深い味わいを紹介した記事が掲載されていて、“The true flavor of food is plain.” という文章が載っていた。「食べ物の真の味わいは淡白さにある」という訳文がまず頭に浮かぶ。この言葉は中国明代の古典に出て来る文章で、その書跡が写真で紹介されていた。「真味只是淡」。「淡」(dàn)は私の中日辞書では「薄い」「淡白な」「淡い」などと載っている。英語だとplain と訳されるようだ。
 ご飯にしても白米だから毎日食べても飽きない。これが毎日チャーハンだったり、五目飯だったり、釜飯だったら、やがて飽きがくるのではないか。(インド人は毎日カレーでも大丈夫とどこかで読んだような気もするが)。白米を日英辞書で引くと white rice と出てくるが、私は気分的には plain rice と訳したい。

咖啡(珈琲)から緑茶に

 つい最近まで就寝時に寝つきが良くないなあと思うことがよくあった。疲れる仕事を全然していないことも一因だろうが、それでも睡魔がやってくるまで悶々とすることも珍しくなかった。なぜだろうと考えてみた。ひょっとしたら愛飲しているコーヒーのせい? 朝目覚めてまず一杯。それから中国語の勉強などしながら2、3杯。昼食後に一杯。午後も2、3杯。夕食後に2、3杯。一日にざっと8杯前後飲んでいることになる。平日は酒(焼酎)をやらないので、その分コーヒーで埋め合わせていることもあるが、さすがにこれは飲み過ぎかな?
 それでコーヒー豆が枯渇したのを機に試しにコーヒーを一切断つことにした。よく分からない点もあるが、寝付きは随分良くなったような気がする。気がつくと(もちろん本当は気がついていないが)すっと眠りに落ちている。やはりコーヒーの飲み過ぎがたたったのだろうと思わざるを得ない。気に入っていたコーヒーミルを綺麗に洗い、自宅ではしばらくはコーヒーから遠ざかることにした。当面はコーヒーの代わりに緑茶だ。
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20190902-1567387467.jpg ネットでCNNをスクロールしていて、This is world’s safest city to visit(これが世界で最も安全な旅ができる都市)という見出しが目に飛び込んできた。写真はどうも日本(東京)のような印象だ。英エコノミスト誌の恒例の調査結果で、世界の主要60都市を治安、環境、健康、個人の身の安全など多岐にわたる観点からランク付けしている。
 3年連続で総合評価のトップに立ったのは東京。第2位はシンガポール、第3位は大阪。アムステルダム、シドニー、トロント、ワシントンなどが続いた。ベストテンのうちアジアの都市が6つを占めた。ロンドン、ニューヨークはそれぞれ14、15位。北京は31位、上海は32位。最下位の60位はナイジェリアのラゴス。
 2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、東京及び日本には追い風となる調査結果だろう。私が昨今はまっている台北は22位だった。23位のパリ、24位のブリュッセルの上にあり悪くない。  
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 居酒屋に足繁く通っていた頃は焼酎をボトルキープで飲んでいた。初めてのお店では「とりあえず一合ほど」と頼んでいた。勘定をする段にはあと二つは増えていたか。今は週末に自宅でオンザロックが楽しみ。先日ふと「一合ってどれぐらいの量」と気になった。調べてみると、一合=180mlという。私は何となく一合=100ml と思っていたが、全然違っていた。一升瓶の一升は1.8lだから、一合はその10分の1の量。私がコンビニで買い求めているのは一升の半分の量の900ml入り焼酎。
 台所にある量りは最大250ml の容器。今は200mlほどの量を量って飲んでいる。なるほど一合ちょっとの量か。道理で酔わないはずだ。一人でテレビを見ながら、考えごとをしながら飲むには200ml程度でも不満はない。ずっとこの程度で酒量を抑えていれば私の人生はおそらく違ったものになっていただろう。悲しいかな、酒量はリセットできても、人生はリセットというわけにはいかない。嗚呼!

九州北部豪雨に思う

 九州がまたもや豪雨に見舞われている。今度は佐賀県や長崎県、福岡県などの九州北部だ。私が住む福岡市東区もしつこく雨が降り続けているが、大きな川は近くには流れておらず、水害の心配はとりあえずない。住宅地では取り急ぎ、大小河川の氾濫を防ぐ手立て、防げなければせめて床上浸水を阻止する効果的な対策を見いだすことが急務だ。
 私は昨年7月にこのブログで以下のように書いている。——何という災難だろう。にわかには信じられないような水害が西日本各地を襲った、いやまだ続いている。広島、岡山は特に被害が甚大なようだ。被害総額は最終的にどれだけになるのだろう。私の住んでいる福岡市の東区は特段のこともなかったが、久留米市の方は住宅の浸水被害が深刻だとか。「数十年に一度の大雨」とか「これまで経験したことのない豪雨」などといった形容が耳に残っている。しかし本当に怖いのは、今回のような水害がこれからはそう珍しくない時代に突入しているのではないかという疑念があることだ。太平洋から襲来する台風の気圧をネットで見ても、915ヘクトパスカルなどといった猛烈な気圧となっていたりする。スーパータイフーンとでも呼ぶのだろう。現代に生きる我々日本人は、南海トラフ大地震など未曽有の天変地異を覚悟せよとも言われる。何とも心がふさがる。——
 このブログで何度か書いているが、地球温暖化のゆえかかつてなかったような凄まじい規模の豪雨が襲来するようになっている。私は南太平洋の熱帯・亜熱帯地方のような雨が日本で今降っているのではという気がしてならない。門外漢ゆえにそれを裏づけるものは何も手にしていないが。豪雨に象徴される異常気象が日本の日常の光景となりつつあるのではと危惧する。英語だと Abnormal is now kind of normal, I’m afraid. とでも表現するのだろうか。
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 雨が降るので香椎浜でのスロージョギングもお休みの日々となっている。正直に書けば、心中ほっとしている部分もあるのだが、でも走りたい気持ちもないことはないので複雑な心境だ。ジョギングは中国語では「跑步」(pǎo’bù)と「慢跑」(mànpǎo)という二つの語があるとか。「慢跑」の「慢」は「遅い、のろい」、「跑」は「走る」という意味だと辞書に載っている。私の場合「スロージョギング」だから「慢跑」の方がぴったりの感じだ。
 明け方まで結構激しく降っていた雨が今は上がっている。天気予報だとこれから先もずっと雨マークが見える。間隙をついてぱっと外に出て走るしか手はなさそうだ。
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 ふと気づくと、ケーブルテレビで毎日のように楽しんでいた韓国語と中国語のドラマをこのところ全然見ていない。韓国のドラマは一度はまると全100回とか150回といったロングランのものに付き合わされることになるから覚悟が必要だが、中国のドラマはそう長いものはないからはまっても構わないと思っている。とは言え、最近は食指が動くものに出合っていない。
 台北ではまったアニメの「それいけ!アンパンマン」(麵包超人)の中国語版が放送されたら、毎日でも見たいのになあと思うこの頃だ。

"He went out laughing."

 “I had a wonderful alone time with him.” という英文を見たら、私はおそらく違和感を覚えるだろう。“I had a wonderful time alone with him.” と直した方がいいでのはないかと思ってしまう。でもネイティブスピーカーではないので自信はない。英字新聞などでこうした文章を目にすれば、あ、こういうのでもOKなのかと納得するしかない。
 映画俳優のピーター・フォンダ氏が死去したというニュースをジャパン・ニュース紙で読んでいて、上記の表現に出合った。姉のジェイン氏が次のように弟の死を悼んでいた。“I am very sad. He was my sweet-hearted baby brother. The talker of the family. I have had beautiful alone time with him these last days. He went out laughing.”(私は悲しみに沈んでいます。私にとっては優しくて可愛い弟でした。家族で一番のおしゃべり好きでした。最期の数日間は二人だけで素晴らしいときを過ごしました。弟は笑いながら旅立ちました)
 なるほど beautiful に alone を重ねてもOKなようだ。何となく形容詞を重ねる時にはand を間に入れたくなるが、そうしなくても良さそうだ。
 ピーター・フォンダ氏はヘンリー・フォンダ氏を父親に持ち、姉のジェーン氏とともに華麗なる芸能一家の一員。享年79歳。映画「イージー・ライダー」の主演で人気を博した。偉大なる父親との若い時の確執が知られるが、映画監督としても数々の作品を制作し、俳優としても長く活躍を続けた。姉の言葉にあるように「笑いながら旅立った」という死に際は羨ましいと思う。
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 手元の「中国語・韓国語雑記帳」が2冊目に入った。ぜひ覚えておきたい事柄を小さいノートにメモ書きし始めたのが2016年12月だから、2年と8カ月で一冊目が一杯になったことになる。まことに遅遅とした歩みだ。時々読み返しているが、忘れていることが多い。これ一冊だけでも頭に叩き込んでいれば、相当の力がついているはずと思わなくもないが、悲しいかな、そうではない。最近は中国語のメモ書きが目立ち、韓国語はあまり目立たない。日韓関係の冷え込みは全く関係がない。中国語がそれだけ面白い、刺激的だからだ。
 最近の書き込みを紹介すると。他说的话我一直记着。(彼の言ったことはずっと覚えている)。中国語の語順と日本語の語順は全く同じ。日本語では「私」と言う必要はないが、中国語では「我」を明記する必要がある。中国語をすべからく日本語の語順で話せるならこんなに楽なことはないが、そうもいかないのが現実。それでもこのような文章に出合うと気が随分楽になる。発音の世界はまた全く別の話だが。
 NHKラジオの中国語講座。我会游泳。(私は泳ぐことができる)。これまでこの游泳がどうも苦手だった。発音もyóu yǒng でこれまで何度辞書で確認したか分からない。似たような語が並んでいることや日本語とそっくりなことも「災い」したように思う。今度は覚えたかと思っている。「游」は「油」と同じyóu だ。敢えてカタカナ表記すれば「ィオウ」だ。努力してできるようになれば、「会」(huì )という助動詞を使う。能力があってできるのであれば「能」(néng)を使い、我能游五百米。(私は五百㍍泳ぐことができる)。このケースだと「游泳」は使わず、単に「游」とだけ言う。この辺りは私には説明がつかない。

瓢箪から駒?

 ほぼ毎日のようにネットでのぞいているアメリカのトークショーがある。スティーブン・コルベアという才気あふれたテレビタレント(TV personality)がホスト役の番組で、彼の歯に衣着せぬブラックユーモアにはいつも感心しながら楽しませてもらっている。
 最近の例を紹介すると————。どうやらニューヨークのある通りを改名する運動が起きているとか。有名な五番街の56丁目から57丁目にかけての通り。ここをバラク・オバマ前大統領の名前を取り、President Barack Obama Avenue と改名すべく、署名活動が進められているという。面白いのはこの通りにはあのトランプ大統領のトランプタワーがあり、もし改名の手続きが成就すれば、トランプタワーの住所は 725 President Barack Obama Avenue となる運びとか。トークショーのスタジオに集まった反共和党、反トランプ層と思われる聴衆からは一斉に拍手喝采が起きた。
 この改名キャンペーンは一人の女性が冗談(joke)として始めたものだったとか。コルベア氏は次の言葉でその女性に語りかけるように締め括っている。“Careful…some things that start as a joke, end up as president.” (気をつけて。冗談として始まったものが場合によっては大統領となってしまうこともあるんですよ)。トランプ大統領の大統領選出馬も当初は冗談として見る向きも多かったが、米国民が気づいた時には手遅れで、彼は大統領に選ばれてしまったことを痛烈に揶揄っている。「おーい山田君、座布団1枚!」いや “Give him a floor cushion.” か。
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 このブログで少し前に大リーグを見る熱意が失せつつあると書いた記憶がある。大谷翔平君を筆頭に日本人プレーヤーの調子が今一つだったからだ。特に西武ライオンズからシアトルマリナーズに鳴り物入りで移籍した菊池雄星君はこのところポカスカ滅多打ちにされ、哀れな惨状を呈していた。日本時間月曜未明に彼が投げる試合がケーブルテレビで放送されることを知った。どうせまた打たれるのだろうと思ったが、松山英樹選手の調子がだいぶ上向いている米ゴルフの生中継もあったので、チャンネルを合わせた。
 そうしたら、西武時代を彷彿させるかのように生き生きとした表情で彼がマウンドに立ち、堂々の投球を見せている。球数も少なく、9回を96球で投げ切り、奪三振8個の完封劇を演じた。チームも7点を挙げて援護。もちろん、この一試合だけで彼の評価が急激に上がることはないだろうが、少なくともチーム内での評価は好転したようだ。サービス監督は次のような言葉で菊池投手をほめたたえた。彼がこの日のような素晴らしい投球がこれからもできる才能にあふれた投手であるという評価だ。そうであればいい。
 “Yusei is a very talented pitcher, and we know that. He has the ability to have outings like this. There’ll be rough ones along the way, like anybody has, but I’m really happy and proud of him.” 
 日本のプロ野球は悲しいかな、巨人が調子いいと、やはり見てしまう。浮世の些細な楽しみ事に過ぎないことは分かっている。黄泉の国ではもっと崇高な楽しみ事があるのだろうかと考えてしまう。もっとも地獄ではなく、天国に行けたとしたらの話だが。

故郷のお墓

20190818-1566129087.jpg 20190818-1566129120.jpg青島のホテルには3泊した。温泉に何度も浸かり、鬼の洗濯板で有名な青島神社にも歩いた。ホテルを離れ予定通り、山里の実家を訪ね、お袋や父親、長兄、次姉が眠るお墓にも手を合わせた。父親と長兄が好きだった焼酎をお墓にかけた。お袋と次姉のためにはお袋が好きだった健康飲料をかけた。古里の名産品をお土産として沢山買い求めもした。気持ちがいい好天の故郷はこの日は明るく輝いて見えた。
 最後の夜は西都の幼馴染のいとこの家に泊めてもらった。いとこ夫婦と私の妹との4人でビールに焼酎を飲みながら、楽しく歓談した。居間でカラオケも楽しんだ。音楽の才のあるいとこは歌がうまい。私は足元にも及ばないが、それでも久しぶりに私の演歌を耳にしたいとこは昔よりずいぶん上手くなったとほめてくれた。
 今、特急にちりんの座席に身を委ねながら、多少二日酔い気味のぼぉーとした頭でパソコンのキーボードを叩いている。色々な思いが頭に浮かぶが、とりとめのないことが多く、ここに記すのは憚られる。私にはすでに両親はなく近しい肉親も相次いで黄泉の国に旅立っている。現世のはかなさは承知している。宇宙の無限・広大さに比べれば1個人の人生など取るに足らない刹那的なものに過ぎないだろう。
 だから、故郷に拘泥することはあまり意味のないことかもしれない。この地球でさえ未来永劫存続するものかどうかも分からない。そういうことを受容した上で、私は思う。ずっと故郷、あるいは故郷に近い土地に住み続ける人は幸福だ。もちろん彼らには彼らの苦労があるだろうが。
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 青島。私が泊まっていたホテルから別のホテルが見えた。以前に泊まったことがあるような気がしていた。そうだ、宮崎大学時代の恩師、バタワース先生の歓迎会をした時、私は福岡から来てそこに泊まったような。ひょっとしたら過去にブログでそのことを書いているかもしれない。そう思ってスクロールしてみたものの、記述はない。今のブログは英国の旅を終え、福岡に再び落ち着いた2012年11月からスタートさせている。どうもその前のことのようだ。
 過去のメールを確認すれば、分かるかもしれない。古いメールをチェックすると、分かった。2012年3月下旬に上記の歓迎会がもたれている。バタワース先生を驚かすために私の参加は内緒にされていたようだ。日本人の恩師2人に卒業生2人が中心となり、そのグループに私が飛び入り参加する形でサプライズ歓迎会となったようだ。その時の歓迎会の宴の場となり、宿泊先となったのが目の前のホテルだったことが分かった。
 そうか、あれからもう7年近く経っているのか。ついこの間のような気がしていた。バタワース先生とは今も時々メールのやり取りをしている。彼が宮崎をまた再訪したく思っていることも知っている。先年奥様を亡くされた。再度彼をアメリカから宮崎に招待することを考えてもいいかもしれない。袖振り合うも他生の縁とか。そうした縁のある人とはできうる限り、袖を振り合わせて生きたいものだ。そうしたくてもできないでいる、かつての友人たちも少なくないが。

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