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英語でさるく 那須省一のブログ

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『歎異抄をひらく』

20191212-1576111271.jpg 先月半ばに『歎異抄』(金子大栄校注)を改めて読もうと思い至った経緯を書いた。それでベッドで眠りに就く前に岩波文庫のまことに薄い文庫本を繰っていた。だが、これも途中で段々と気が重くなった。恥ずかしながら文意がよく理解できないのだ。
 善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。しかるを世のひとつねにいはく、悪人なを往生す、いかにいはんや善人をやと。この条、一旦そのいはれあるににたれども、本願他力の意趣にそむけり・・・。この辺りまでは私も何とか理解はできる。冒頭の一節は、「悪人正機説」として中学か高校の国語(?)教科書にも出て来た有名な文章でもある。広辞苑(電子)にも「自力をたのみとして善根を積む善人でさえ往生できるのだから、他力をたのむのみの悪人が往生できるのは当然である」とその意味するところが載っている。
 だが、その直前にある次のくだりは難解だ。自余の行をはげみて仏になるべかりける身が、念仏をまうして地獄にもおちてさふらはゞこそ、すかされたてまつりてといふ後悔もさふらはめ、いずれの行もよびがたき身なれば、とても地獄は一定すみかぞかし
 何となく分かるような気もするが、甚だ心もとない。それでブログにも記した広告の本のことを思い出した。『歎異抄をひらく』(1万年堂出版)。書店に足を運び、手に取って見た。こちらは単行本で厚みもある。上記のくだりは次のような意訳が添えられていた。「念仏以外の修業を励んで仏になれる私ならば、念仏したから地獄に墜ちたという後悔もあろう。だが、いずれの善行もできぬ親鸞は、地獄のほかに行き場がないのである」。この意訳は実に分かりやすい。
 意訳の他に要約、解説も付いており、一見して門外漢にも取っ付き易い内容・構成となっているようだ。早速買い求め、少しずつ読み始めた。今度は何とか最後まで読み通したいものだと願っている。
                 ◇
 アフガニスタンで献身的な支援活動に長年従事してきた医師の中村哲さんがテロリストの銃弾に倒れた。その無念さに思いを馳せると、言葉もない。
 世界各地でテロや無差別の銃撃事件が跡を絶たない。宇宙のかなたから(当然のことながら)人類よりはるかに高度の文明を持つ異星人が地球にやってきたら、地球の生物は何と愚かで残忍であることかと驚くことだろう。そしてもしかして抱いていた友好・共存の計画を放棄し、人類の滅亡を企図するかもしれない、などと夢想してしまう。
 ロンドンの中心部で市民2人が殺害されたテロ。BBCの記事を見ていて、事件の目撃者の証言に戸惑った。"I saw people die, I saw things that I will never be able to unsee." え、unsee とは何ぞや? 私の辞書には載っていない。ネットで調べると、unsee とはto return to a situation in which you have not seen somethingと説明されている。Once you have seen something, you can’t unsee it. という例文もあった。「それを目にしたからには、もう二度と記憶から消すことなんかできない」という意味だろう。我々にはこのような発想の英語表現はできないかなと思う。ネットには “I wish I could unsee it.” (できることなら、それを見た記憶を消したいです)という例文もあった。凄い表現だ。

再び『三体』

 先週のこと。公民館の中国語講座の忘年会に初めて参加し、楽しいひとときを過ごした。飲み放題ということで、勧められるままに焼酎をあおった。その後、誘われてもう一軒立ち飲み屋みたいな場所に立ち寄った。結構飲んだようで、朝目覚めると、久しぶりに二日酔いだった。明け方に喉の渇きを覚えたが、寒そうなので、我慢していた。それが良かったのか悪かったのか。いずれせよ、午前中はだらしなくベッドに伏していた。
 受講生の方々と会食するのはこれが初めてだった。二軒目にその一人と立ち寄った時に世間話に花を咲かせていたら、私が現役の時に時々のぞいていた天神のスナックが話題となり、その人もどうも常連客だったことが判明した。私はアフリカを旅した時、うかつにも携帯電話を盗まれていた。それで多くの友人・知人、取材先とのコンタクトを消失していた。そのスナックのママさんもその一人。私がアフリカに発つ前後の頃にお店を畳まれており、連絡の術がなく、夜の天神を歩いている時などに、時々思い出していた。
                  ◇
 最近、パソコンにニューヨークタイムズの紙面案内が毎朝届くようになった。記憶はないのだが、いつか間違ってまたどこかのボタンをクリックしたのかもしれない。さすがにニューヨークタイムズだけあって、深みのある記事が連日目白押しだ。
 あまり熱心にフォローしているわけではないが、見出しに思わず引き寄せられるときがある。“How Chinese Sci-Fi Conquered America” という見出し。ひょっとしたら、少し前に読んで強く印象に残っている中国人SF作家の本のことが書いてあるのではと思い、スクロールして読んでみると、まさにその通りだった。劉慈欣(Cixin Liu)の『三体』。記事は『三体』を中国語から英語に翻訳した米国在住の中国系作家かつ翻訳家、ケン・リュウ(Ken Liu)へのインタビューを交えながら、中国の躍進著しいSF界の姿を紹介していた。
 興味深かったのはリュウ氏が『三体』を “The Three-Body Problem” として英訳本として翻訳した時に、物語の時系列を組み替えたことを明らかにしていたこと。リュウ氏が原作者の劉慈欣氏に了解を求めると、劉氏は即座に快諾。“That is how I wanted it originally.” と答えたとか。
 私が読んだ日本語版はリュウ氏の英語版の翻訳だ。道理で読み易かったはず。導入部で中国人民を恐怖に陥れた文革(1966-76)の嵐が吹き荒ぶシーンが容赦のない文体で描かれている。私はよくぞこのような冒頭の描写ができたものぞと驚きながら、物語に魅せられていった。記事では中国の当局を刺激しないために、元々の中国語版ではこの冒頭のシーンはあまり目立たない中ほどに置かれたことが明らかにされている。なるほど。
 近未来の社会や架空の国を描くことで中国のSF作家たちが表現の自由を模索していることも垣間見えた。そうした「制約」には関係なく、彼らが秘めている力は目を見張るものがあるように思える。2020年代は文化・芸術の分野でも中国の底力を身近に感じることになるのかもしれない。遣隋使、遣唐使、ずっと昔にもそういう時代があったような・・。
 参考までにこの記事のサイトは:https://www.nytimes.com/2019/12/03/magazine/ken-liu-three-body-problem-chinese-science-fiction.html

我工作不忙

 カズオ・イシグロ氏の小説 “The Buried Giant” に言及した際に次のように記した。—— ビートリスが “We’re two elderly Britons …” というくだりでは、Briton は今では「英国人」という意味でも使われるため、少なからず脳内が混乱した。ここでのブリトン人とはアングロサクソン系民族が移住し、現在の英国を構成する以前の先住民であるケルト系の人々を指す——。
 水曜日のジャパン・ニュース紙(JN)にこのBriton という語が見出しに踊っているのを見た。—— Prince Andrew sex scandal accuser calls for Britons to back her —— 英王室のアンドリュー王子(59)にまつわるセックス・スキャンダルの記事だ。英米のメディアでは大扱いされている。私自身はあまり興味もないが、アンドリュー王子が富豪のアメリカ人の友人にかつて便宜を図ってもらい、未成年のアメリカ人の少女と性交渉を持ったという疑惑だ。現在は30歳代半ばのこの女性がメディアで実名、顔を曝して告発している。水曜日のJNの記事では彼女は2001年、17歳の時にロンドンに連れて行かれ、王子と初めて性交渉を持ち、翌年にかけて計三度にわたって相手をさせられたという。
 彼女が「私は真実を語っている。英国の人々は私を信じて欲しい」と訴えたのが上記の見出しの記事。アンドリュー王子はBBCとのインタビュー番組で疑惑を真っ向から否定し、火消しに躍起となったが、今のところ、逆効果となっているようだ。この醜聞の渦中にいる、いやいたのが、富豪の故ジェフリー・エプスティーン氏で、彼自身が未成年の少女を性的目的で人身取引した罪で逮捕、収監され、今年8月に獄中で自殺した。エリザベス女王のお気に入りの息子(次男)と言われるアンドリュー王子が地に落ちつつある世評を回復するのは並大抵のことではないという気がする。
                  ◇
 NHKラジオの初級中国語講座の再放送が3か月目に入った。近頃はちょっと歯応えのある内容となっていて「苦戦」し始めた。初歩的な語彙も一度は学んだはずなのにすっかり忘れてしまっている。美丽(美しい)や英俊(ハンサムな)迷人(魅力的な)酷(かっこいい)・・・。発音(ピンイン)となるとことごとく怪しい。
 「象長い」という主述述語文がまた出てきて、いい復習になった。「他工作很忙」(彼仕事忙しいです)。日本語と語順は全く同じだ。私は改めて思う。こんな感じの文章を身につけていけば、いつか中国語の達人になれるのではないかと。いや、なれないかな?! いずれにしても、こういう時には私と中国語の距離はぐっと狭まる。韓国語でも上記の文章は「그는일이바빠요」と日本語と酷似している。
 先日、近くの郵便局に行ったら、小包の受け付けは本日は終了したことを告げるお知らせが張り出されていた。外国人客も多いからだろうか。だが、英文はかなり怪しいものだった。職員さんがスマホか何かの翻訳機能を使って英文をこさえたようだ。
 スマホの翻訳機能がAIを駆使して長足の進歩を遂げれば、外国語(中韓)を学習する必要はなくなるのだろうか。いや、そうなったとしても、外国語を学ぶ意義(喜び)は消滅しないだろうと思う。思いたい。

ゴキブリは蟑螂

20191202-1575269963.jpg 日曜日。久しぶりに香椎浜をスロージョギングした。このところ、何だか熱っぽく感じて走らない方が無難と思っていたからだ。それで体調が戻った日曜日、走った。香椎浜を1周3キロ程度走るつもりだったが、結局2周走った。帰途、香椎の国道3号線で大勢の人垣に遭遇した。そうだ、この日は福岡国際マラソンの日だ。香椎が折り返し地点となっている。
 急いで自宅に戻り、デジカメを手に折り返し地点に戻った。沿道では多くの人たちが声援を送っていた。残念、トップは外国人選手だ。私はあの川内優輝選手が歯を食いしばって駆け抜けるのを見届けて帰宅した。同じ走るでも雲泥の差!
                  ◇
 NHKラジオの中国語講座で次の文章に出くわした。车站旁边有一家拉面店。店里没有客人。桌子上有一只蟑螂!(駅のそばにラーメン店が1軒あります。店の中にはお客さんがいません。テーブルの上に1匹のゴキブリが一匹いる!)
 考えようによってユーモラスな文章だ。客はいないが、ゴキブリはいるラーメン店。食べたくなるようなお店ではない。私が住む福岡はラーメンの美味さでも知られる。大半はトンコツラーメンのような気がする。私も嫌いではないが、あまり食指は動かないので、ラーメン店に足を運ぶことはほとんどない。宮崎に戻るとよくのぞくラーメン店があるが、あそこはトンコツ系ではない。とすると私はあまりトンコツ風味が好きではないのかもしれない。
 東京・千駄木に住んでいた頃、よく通っていた飲み屋街にラーメン店があった。いつ通ってもお客が入っていることは稀だった。当然、一度もお店に入ったことはない。上記の文章を読んでいてそのお店を思い出した。懐かしくはない。週末、ケーブルテレビを見ていたら、「街中華やろうぜ」みたいなタイトルの番組をやっていた。タレントが東京の下町などで長く営業している中華のお店を紹介する番組で、確かに美味そうな品々が目白押し。
 そのうちに千駄木のお店が出てきた。富山出身のご主人が60年以上も営んできた中華のお店だった。私は店名を聞いた時にすぐに分かった。飲み屋街の近くにあったお店でよくその前を通っていた。入店したことは一度あるかないか、なかったかもしれない。新聞社に入社した時、店名と同じ名前の同期がいたので、妙に記憶に残っているのだ。
 番組ではそのお店が間もなく閉店することを伝えていた。80歳を超えたご夫婦が体力の限界を訴え、お店の味を壊す前に引退を決意したという。閉店を惜しむ馴染みの客が次々に訪れていた。お人柄があふれた笑顔のご夫婦を見ていて、しまった、こういうお店だったのか、私も何度も足を運んでおくべきだったと少し悔いた。
 冒頭の中国語に戻ろう。车站旁边有一家拉面店。店里没有客人。桌子上有一只蟑螂!このような中国語がさっと頭に浮かぶようになりたい。ところで、ゴキブリが蟑螂(ジャンラン)。とても覚えられそうにない漢字だが、章郎という名前に虫偏がついたと考えれば何とか記憶の端に引っかかりそうな気がしないでもない。小中学時代に章郎という名の同級生がいたら、「おい、お前は中国に行ったら、ゴキブリだぞ!」などとからかうことができただろうが、当時は中国語は思いもつかない遠い世界の言葉だ。漢字はともかく、蟑螂のピンイン(発音)は例によって厄介だ。

“The Buried Giant”

20191201-1575187314.jpg 先日、宮崎から上福(こんな語あるのか?)した妹と天神に出た際、暇があったので、書店をぶらついていたら、洋書のラックがあったので、手ごろな本がないかなと探すと、この本が目に入った。カズオ・イシグロの小説 “The Buried Giant”(邦訳『忘れられた巨人』)。一昨年にノーベル文学賞を受けたこの日系英国人作家の作品はほとんど読んでいるが、2015年刊行のこれは読んでいない。寝しなにでも少しずつ読もうと買い求めた。
 英国及びイングランドが今の国家となる以前の六世紀始めと思われる時代を背景に、ogre(人食い鬼)や小妖精が跋扈する怪異な社会が描かれている。主人公はブリトン人(Briton)のアクセルとビートリスの老夫婦。伝説的なアーサー王が没した後、ブリトン人の王国とサクソン人(Saxon)の王国が緊張をはらみながら共存していることがうかがえる。
 新聞社のロンドン支局に勤務していた頃は英国やアイルランドの歴史をかじらざるを得ず、少しは分かっていたつもりだが、物語の冒頭近く、ビートリスが “We’re two elderly Britons …” というくだりでは、Briton は今では「英国人」という意味でも使われるため、少なからず脳内が混乱した。ここでのブリトン人とはアングロサクソン系民族が移住し、現在の英国を構成する以前の先住民であるケルト系の人々を指す。スコットランドやアイルランドの人々がケルト系だ。嗚呼、ややこしい!
 物語はブリトン人とサクソン人の確執を軸に、この世のものとも思えないドラゴン(竜)や奇怪な獣も交えながら語られる。ドラゴンの吐息がミスト(霧)となり、人々は集団的健忘症にかかり、過去の異民族虐殺も忘れている。サクソン王の命を受け、ドラゴン退治にやって来たサクソン人の戦士が同胞の少年にブリトン人への報復を誓わせる場面が強烈だ。“Should I fall and you survive, promise me this. That you’ll carry in your heart a hatred of Britons.” “What do you mean, warrior? Which Britons?” “All Britons, young comrade. Even those who show you kindness.”
 この幻想的な小説の印象は読者によってまちまちだろう。民族(国)がいがみ合う現代の国際情勢を絡めながら読むべきなのだろう。forgiveness(許し)よりも hatred(憎悪)や vengeance(復讐)が幅を利かせている現実を想起せざるを得ない。この小説が世に出た時はまだ「アメリカ第一」いや近頃では “me first” しか念頭にないように見えるトランプ米大統領はまだ政権に就いていなかったが。日韓関係を考えるまでもなく、forgiveness が vengeanceのかなたに追いやられる時代は悲しい。
 読者はやがてお互いの身をいたわり合う主人公の老夫婦も心の闇を抱えていることを知る。ドラゴンの死と共にミストが消滅し、昔の記憶が蘇るからだ。二人には思い出したくない記憶だったかもしれない。もっとも、現代に住む我々も皆、そうした記憶の一つや二つは抱えているのではないか。
 この不可思議な小説を(私には縁がない)夫婦愛や、老いることに焦点を当てて読むことも可能だろう。いずれにせよ、私はちまちまと読み進めるつもりだったが、熟練の作家が紡ぐ幻想的世界に引き込まれ、幾晩か深夜まで付き合わされ、一気に読了した。嗚呼、しばらくの間、睡眠薬代わりにするつもりだったのに・・。

柿食えば・・

20191129-1574997263.jpg 宮崎の山間部で育った私は山の幸には恵まれていた。秋の柿もその一つ。私の家は決して分限者(この語が分かる人は少数だろうか)ではなかったが、柿の木は家の近くにも、遠く離れた山にもあった。柿の枝をむしり取りやすいように先が分かれた長い竿を伸ばして柿を取ったことを覚えている。冬には両親や姉たちが渋柿をむいて「吊るし柿」を作っていた。
 そういう記憶があるからか、社会人になってからは柿を買って食べることは何となく気が乗らなかった。郷里ではただの柿をお金を出して食べることに複雑な思いがしたからだろうか。先日、大家さんから柿を頂いた。食べてみたら、ことのほか美味かった。よく利用する八百屋さんの店頭に並んでいる柿とそっくりだ。一山(4個)250円。買って食べてみた。これも美味い。食後のデザートとして癖になりそうだ。実際そうなった。
 それでふと思った。自分が子供の頃、庭先や山で気の向くままに取って食べていたあの柿はこんなに美味くなかったのではと。あの柿の味は実は覚えていない。正直に書くと、そう美味くはなかったような気もしないでもない。野イチゴや山桃、あけびは美味かったという記憶がある。いや、あの柿を今食べたら、これは美味いと感嘆するのかもしれない・・。いや、どうだろう?
                  ◇
 女子プロゴルフが熱い。賞金女王争いが熾烈なデッドヒートを繰り広げている。賞金女王が決まる最終戦が宮崎のゴルフ場で始まり、日曜日まで鈴木愛、申ジエ(韓国)、渋野日向子の賞金ランク3人がしのぎを削っている。
 私はミーハーかもしれないが、今年彗星のごとくゴルフ界に登場したしぶこちゃんに魅せられているゴルフファンの一人。弱冠21歳の彼女が最終戦にも勝利すれば、現在ランクトップの鈴木選手の成績によっては賞金女王になる。注目の大会だけに、ケーブルテレビでは朝から生中継しており、私も付き合わされている。うーん、他にやることはあるのだが・・。
                  ◇
 お気に入りの米風刺番組をネットでのぞいていたら、俳優ロバート・デニーロ氏がゲスト出演していた。マフィアを描いた映画に数多く出演している彼は歯に衣着せぬ政治的な発言で話題を呼んでもいる。
 デニーロ氏は反トランプ大統領派の立場を鮮明にしている。この番組でもホストのスティーヴン・コルベア氏に大統領のことを問われると、“He is a fake President.” とあっさりこき下ろし、スタジオの聴衆の拍手喝采を浴びていた。CNNテレビでは進行中の大統領弾劾の動きについての世論調査結果を報じていたが、私の記憶が正しければ、女性回答者の61%、男性回答者の40%が大統領解任を支持していた。女性の間で大統領への反発が強まっていることを物語っている。
 来秋に迫った米大統領選。野党民主党の大統領候補の一人として、また新しい候補者が名乗りを上げた。前ニューヨーク市長の富豪マイケル・ブルームバーグ氏。デニーロ氏もブルームバーグ氏のことを評価していた。かつては共和党に属していたブルームバーグ氏が民主党の先行している各有力候補を破るのは並大抵ではないだろうが、果たして・・。

二人称について

20191125-1574656378.jpg 公民館の中国語講座で「爱人」(アイレン)という語が出てきた。日本語ではドキッとする語だが、中国語では「夫」や「妻」を意味する普通の呼称。ただ、今ではこの呼称は古めかしくなってしまい、夫は「丈夫」(ジャンフ)、妻は「妻子」(チーズ)と呼ぶのが一般的らしいと教わった。
 日常会話の場で相手に対する適切な呼称を選択するのはなかなか難しい。私が中国語を学んでいて楽に思うのは、初めて会った人をどう呼ぶかについてあまり悩まずに済ませられることだ。普通は「你」(ニィ)という語で何の問題もない。相手が自分より年長者なら、敬意を込めて「您」(ニン)とすればよい。「你」は英語ではyou に当たり、英語ではあらゆる場面でyouを使えるが、「你」も同様で、この点だけでも中国語と英語はよく似ている言語だと思う。日本語には「あなた」があるが、これは「你」やyou のようにあらゆる場面で広く使える語ではない。だが、韓国語はもっと「窮屈」な気がしないでもない。
 先のソウル訪問で再会した友人の韓国人のJさん、Pさんと二人称について議論した。私は韓国語には日本語の「あなた」のように比較的多くの場面で使える二人称はないのではないかと尋ねた。結論はそのようだということに落ち着いたかと記憶している。例えば韓国語では男性に呼びかける場合には課長とか係長とか肩書きを付けて呼ぶのが一般的だ。肩書きが分からない場合は「선생님」(先生様・ソンセンニム)という敬称を付けて呼ぶ。女性を呼ぶ場合はさらに面倒なようだが、それはまたいつか記したい。
 日本語ではしかし「あなた」という呼称は、見知らぬ、あるいは初めて会った年長者にはなかなか使えない語だ。場合によって相手が年下であっても、いきなり「あなた」と呼びかけるのは憚られる。空気を読みながら使うのが無難だ。
 電車の中で年配のご婦人が席を立ち、下車する際にハンカチを落とした場面に遭遇した。私は「ハンカチ、落とされましたよ」と思わず声をかけた。ご婦人は振り返り、頭を下げてハンカチを拾い、下車された。英語なら “Excuse me. You dropped your handkerchief.” とでも声をかけたことだろう。you で何の問題もない。中国語なら「你」を使えばよい。日本語では「あなた」を見ず知らずの年長者にいきなり使っていいものか迷う。だから、主語を省略することになる。それで日本語として成立する。
 なお、冒頭の「爱人」は中国語の簡体字なので「爱」の字は日本語の「愛」とは若干異なる。日本語の「愛人」の意では「第三者」という語もあるそうだ。「二奶」という語も教わった。「お妾さん」という意味。日本語の「二号さん」を想起した。
 以前にこのブログで日中韓の二人称について書いたことがあり、参考になりそうなので、続の項で再録しておきたい。
                  ◇
 日曜日。知己のシャンソン歌手、浜砂伴海さんと一人芝居の岩城朋子さんのコンサート「ふたりのピアフ」が今年も催された。会場は今年は中洲のレストランで、コンサート後の食事会で私は隣席の初対面の男性と楽しく語らったが、相手の名字を知った後は「〇〇さん」と呼びかけ、失礼のない二人称に気を遣うことはなかった。

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