柚のかくし味 by 柚


2004-04-07 痴呆がすすんだ母のこと

珍しく早く帰れたので、NHKの「ためしてガッテン」というテレビ番組をみた。脳の鍛え方についての話だったけど、このなかでとくに心に残った事柄があった。「痴呆の老人」は例外なく前頭前野の活動が衰えていることだ。番組によれば、前頭前野の仕事とは、「判断」「計画」「割りふり」が出来ることだという。痴呆がすすんだ末に亡くなった母は、まさにこの番組で医師が指摘したように、「痴呆がすすむ方向」にまっしぐらという感じだった。日々のささやかなことがどんどん出来なくなっていった。というよりはする必要がなくなっていったといったほうがいいのかも知れない。それが痴呆にすすむ可能性があることなど、そのころは誰も知らなかった。

・ 買い物

・ 電話の取次ぎ

・ いわゆる読み書きそろばん  読書、新聞を読むこと、手紙を書くこと

・ 料理、洗濯、掃除などの家事全般

・ 縫い物 元々、和裁が得意だったのに、洋服を着るようになって、その必要がほと んどなくなった

夫婦二人の暮らしをやめて、子供のところに同居するようになって、これらはことごとく、母の辞書から消えた。引越しをしてから痴呆が始まる人が多いのは、こんなところに原因があるのかも知れないと妙にナットクしたりする。

別に都会に移ったわけではないが、近所づきあいをイチから始めるのは億劫だったのか、人との付き合いもガタッと減った。その前はもっと田舎暮らしだったから、隣人との付き合いはそれなりにあって、毎日人と会話していたのだから。元々苦手だった料理は全くしなくなったし、きっとそのことも災いしたのだろう。

痴呆にならないための教室

これだけ、脳の研究が進んだら、そのうち「痴呆外来」とかができて、痴呆の兆しがみえたら、すぐに外来に行き、自分の「痴呆度」を調べてもらって、脳を鍛えることを始めたら、「痴呆」はもっと減るかも知れない。いや、外来などという病院ではなく、「痴呆にならないための教室」みたいなものがあって、色々試してみるのもおもしろいだろうに、というようなことが頭に浮かんだ。学校時代の秀才が意外にダメで、苦労してきた人のほうが脳が元気だと証明されたりするといいのに。これは、たぶん「デイケア」とは発想が違うだろう。

と、なんかそんなことを考えたりした。


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