柚のかくし味 by 柚


2004-12-17 日のあたる道

陽のあたる坂道 暖かい冬ではあるけれど、朝はやはり寒い。だから朝は、日のあたる場所を探して歩くのだが、これが意外と少ない。

子供のころ、田舎で育ったので、道路は広く、朝晩学校に通う道はどちら側かはいつも日があたっていた。あ、そうか、家々の軒も低かったからだ、と気づく。どの家も南側に窓が大きく開かれ、日のあたらない家などなかった。それがあたりまえだったのに、都会で暮らすと、道路は高いビルに囲まれ、そのビルが日をさえぎる。そんなことは歩かないとわからない。

日のあたる場所というキーワードが浮かんだ。

『陽のあたる坂道』石坂洋次郎の青春もの。ずっと昔に読んだ。これは後に映画にもなっていて、石原裕次郎と北原三枝のゴールデンコンビの共演だった。

音楽では「朝日のあたる家」ベンチャーズとアニマルズのヒット曲。実はちあきなおみのニューアルバムのタイトルでもある。

ほかに『日のあたる白い壁』という江國香織の美術エッセーもあった。

陽のあたる場所 スペシャル・コレクターズ・エディション 映画「陽のあたる場所」はモンゴメリー・クリフトとエリザベス・テイラー主演の名画。実際にアメリカで起こった事件を元に書かれた『アメリカの悲劇』の映画化だという。まさに陽にあたる場所に出るために選んだ愛と打算。人生を誤った貧しい青年の物語である。野望のために殺人を犯してしまう貧しいアメリカ青年をアロン・ドロンが演じた「太陽がいっぱい」を髣髴とさせる。

朝歩く道はどんなに選んでも三分の一も朝日はあたらない。そんな道を記憶をたどりながら歩いている。


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