柚のかくし味 by 柚


2004-03-26 花冷えの街で

花冷えで毎日、なんだか寒い。風邪の治りは徐々にといったところ。それにしても今年の桜の咲き方はいつもとちがう。山桜系は確かに早い。こちらは葉がいっしょに出るので、ちょっと野性的な味わい。でも花だけがぱっと開く桜は幽玄の美を思わせ、心が少し震える。どちらが好きかはそのときの気分次第といったところ。でも、桜の季節になると毎年、季節のほうがどんどん先にいってしまうようで心もとない。

ときどき会う出版関係の人と久しぶりに会って、久々に思いっきり出版の話をした。そのなかで二人で本当にそうよねえ、と一致したことがあった。本の企画をするとき、「どう考えてもこの企画は売れそうにないよなあ」と思ったときはやっぱり売れない。本を出したいと思う人は、「自分の本はぜったいに売れる」と思っている。思っているだけでなく思い込みが激しい人が多いので、そこのところがいちばん苦労する。だけど、「うーん、どうだろう。売れるか売れないかどっちかなあ」と思ったときは、たまに売れる本になることがある。この分かれ目がわからない。だから本づくりがやめられないということでもあるのだ。

本づくりは、ああだ、こうだと企画している時がいちばん楽しい

福岡から見た昭和史(山本 巌)

今まで100冊以上の本の編集をしてきたけれど、長い間受身だった。はじめて心底本づくりを楽しんだのは、『山本巖ブックレット』のシリーズ6冊。このときから自分の出版社で自分が作りたい本を作ろうという気になったのだから、やはり、あれはありがたかった。本づくりが趣味ですなんて言ってみたい気分になれたのも、この本の編集のおかげだろう。

いま、いくつか企画をあたためているので、今年は自分らしい本をたとえ一冊でもいいから作っておきたい。


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