英語でさるく 那須省一のブログ
escape に注意は猛獣だけではない!
- 2016-05-20 (Fri)
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フィリピンでトランプ旋風のような過激発言をしていた政治家のロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が大統領選で勝利し、来月末に就任することになった。英字紙「ジャパンニュース」で面白い見出しの記事を見つけた。
President-elect Duterte swears he won’t swear again (次期大統領が就任後は悪態をつくことはしないと誓約)。swear の二通りの意味を活かした見出しだ。最初のswear は「誓う、誓約する」という前向きの意味であり、二つ目のswearは「ののしる、悪態をつく」というネガティブな意味だ。地元紙(Philippine Daily Inquirer)の転電記事で、本文はNow that he has emerged as the presumptive President-elect, Rodrigo Duterte has made a promise to the Filipino people – curses shall no longer escape his lips. “I need to control my mouth. I cannot be rude because I will be representing our country,” Duterte said. と続く。curses shall no longer escape his lips(唇からののしりの言葉が漏れることはない) という表現が印象的だ。普通に書けば、he would never utter curses という文章が頭に浮かぶ。 この辺りは過激発言の「本家」のトランプ氏とはだいぶ異なるようだ。
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今年2月頃にアップした項で「韓国語だけでなく中国語の独学にもゆっくりチャレンジ」と書いた。それから3か月ほど経過したが、思いはあっても現実は厳しい。今でもたまに、ケーブルテレビで中国の国営放送「CCTV」(中国中央電視台)の放送を見ているが、悲しいかな、チンプンカンプンの状態が続いている。
初歩の入門書も買い求めて読んではみたものの、韓国語と異なり、独学はかなり難しそうだ。第一、発音自体がどうも自信がもてない。そんなこんなの先日のこと、すっかり常連になった八百屋さんで買い物していたら、店の壁に一枚のチラシが揺らめいている。いつもはまともに読むことはないのだが、何やら語学教室開講のお知らせだ。英語、韓国語、それに中国語とある。地元にある私立大学系列の高校で、一般市民を対象に提供している無料の語学講座のようだ。
ムム、中国語も教えてくれるのか。それも初級講座と銘打ってある。まだスタートしていない。これはいい。早速、この高校に電話を入れてみる。電話を入れて分かったのだが、受講者募集の締め切りはとっくに過ぎていた。担当者が留守なこともあり、まだ受講受け入れの余裕があればぜひ加えて頂きたいとの伝言を残して電話を切った。果たせるかな、翌日、担当者から電話が入り、受講OKとの由。韓国語なら 다행이다!(良かった!)。다행は「多幸」。何となく意味が類推できる。中国語では何と言うのだろう? 中国語でもやがてはしっかり身に付けたい。いつか中国を旅することができるようになったら、何度もつぶやきた表現だ。英語だったら、“Thank goodness.” という表現が頭に浮かぶ。アフリカやアメリカの旅では何度も心の中で繰り返した安堵の表現だった。
机の片隅に追いやっていた中国語の入門書を再び取り上げ、初めから読み返すことにした。ざっとあらかた読んではいたのだが、記憶は飛んでいる。改めて読み返してみると、今度は幾分、私の大脳皮質の奥深いところに収まっていくような気がしている。
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異例ずくめの会見?
- 2016-05-18 (Wed)
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前回の項で記した朝日新聞の記事。私が読んだのはネット版の記事だった。新聞記者時代の習性で実際の紙面を手に取ってじっくり読んでみたい思いに駆られた。コンビニで朝刊を買い求めて、記事を探す。残念ながら、お目当ての記事は実際の紙面にはなかった。その代わりに「ひと」欄に関連の記事が掲載されていた。
「ひと」欄の記事も悪くないのだが、やはり、ネット版の記事とは面白さが比較にならない。最近では出色の会見記事だった。朝日の記者の筆力が素晴らしいと述べているのではない。「素材」がいいのだ。定期購読している読売新聞でも3社面にこの会見記事は出ていてそれなりに「感じ」は出ているのだが、朝日のネット記事を読んだ後では物足りない。
前置きが長くなったが、くだんの記事は文学の話題で、三島由紀夫賞に蓮實重彦氏(80)の作品「伯爵夫人」が決まったというもの。新鋭作家に贈られる三島賞を実績のある傘寿の人が受賞するという異例さ。私は蓮實氏のことは全然知らなかったが、2000年前後に東大総長を務めたことのある仏文学者で、映画や文芸の批評の第一人者とか。「伯爵夫人」は日米開戦前夜の東京を舞台に、「帝大受験を控えた青年と元高級娼婦との交流がエロチックな描写で埋め尽くされた物語」(朝日新聞)だという。
朝日のネット版では受賞会見での記者団とのやり取りが詳しく報じられていた。ネット版ならではの扱いだろう。これを読む限り、凄まじい会見だったようだ。受賞の会見とは到底思えない、殺伐とした雰囲気さえ伝わってくる。本人も望んでいなかった受賞への戸惑い、怒りが行間から、いや、蓮實氏が放つ生の言葉からにじみ出ていた。このようなやり取りが交わされる会見は滅多にお目にかかれるものではないかと思う。
朝日のネット版から少しその発言を拾わさせて頂くと・・・。受賞の喜びを問われて————「まったく喜んではおりません。はた迷惑なことだと思っています。80歳の人間にこのような賞を与えるという事態が起こってしまったことは、日本の文化にとって非常に嘆かわしいことだと思っております」。受賞作品と自身の青春時代の関連を問われて————「それは全くありません。馬鹿な質問はやめていただけますか」。受賞作を執筆することになったきっかけを問われて————「全くありません。(作品が)向こうからやってきたということです」。今の時代が秘めている危うさとか隠された意図とかがあるのかと問われて————「申し訳ありません。おっしゃることの意図がわかりません」。作品を書いた理由を問われて————「全くありません。向こうからやってきたものを受け止めて、好きな風に好きなことを書いたというだけなんです。それでいけませんか。何をお聞きになりたかったんでしょうか」
ひょっとしたら、民放のワイドショーのような番組ではこの会見が報じられたのかもしれない。民放テレビにとっては格好のネタになったことだろう。民放テレビは野球やサッカーなどのスポーツ中継以外は見ることは皆無に近い。大リーグ中継や韓国語ドラマに付き合っている身にはこれ以上、テレビに向き合う時間はない。このところの地震頻発でただでさえNHKを見る時間が増え、最近では朝の連続テレビ小説「とと姉ちゃん」まで何となく見させられている。ヒロインの高畑充希が個性的でいい味を出している。韓国の女優さんとは趣がだいぶ異なるが・・・。
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人様のことは言えないものの
- 2016-05-17 (Tue)
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今日は晴。気持ちの良さそうな天気だ。ジム(プール)が休みの日だから、後で散歩に出て、たまに行く喫茶店でものぞこう。そこでは朝日新聞が読める。ネットで気になるインタビュー記事を見かけた。紙面を読んでみたい。実際に面白ければ、コンビニで新聞を買おう。
昨夜は午後9時過ぎ、関東でも大きな地震があった。NHKテレビを見ていて、緊急地震速報に緊張した。また熊本地震の余震かと身構えたが、茨城県内を震源地とする最大震度5弱の地震だった。幸い、大きな被害は出なかったようだ。
午後11時過ぎ、NHKテレビでは気象庁の担当官の記者会見が流れていた。よく出る課長さんで今では顔と名前を覚えてしまった。地震津波を担当している方らしい。「元」という下の名前が当初気になった。「はじめ」?「もと」?。前職の元課長が出ていると勘違いした人もいたのでは。「げん」と読むことを今では知っている。画面下に視聴者のツイッターが流れる。私はこのツイッターなるものをどうやって操るのか全然分からないが、見ているとなかなか面白いものもある。昨夜思わず笑ったのは「課長さんのお顔はもういいから、(視聴者にも会見の)資料が見れるようにして欲しい」というツイッターが流れたこと。このような「愛」のある「突っ込み」には癒される。
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図書館から借りてきた本を今読んでいる。「通訳・翻訳」に関する本で、パラパラめくっていたら、次のような指摘があったので、じっくり読みたいと思ったのだ。
その言語の話される環境の中にドボンと落とせばその言語を母語としてマスターする——これができるのは、幼児のころ、6歳までのことだとされます。その頃まで日本にいれば、いわば日本語の脳ができてしまっているのです。これ以降になったら、ただただ英語を聴かせるだけではそれをきちっと理解し、話せるようにはならない————と考えるべきではないでしょうか。
これは外国語学習における「臨界期」(critical period)と呼ばれる考え方で、私が以前に読んだ本では「言語習得における臨界期は、思春期の始まる頃、つまり12歳前後だろうと言われている。この時期を過ぎると、母語話者のレベルにまで言語能力を到達させるのはかなり難しくなる」という趣旨のことが説かれていた。今読んでいる本によると、英語に特有の「l」と「r」とか「s」と「th」の区別などは小学校に入る頃までに体得しないと無理だということになる。
それはそれとして、この本は誤字・誤植が多いので少し驚いている。私自身も「物書き」の端くれで、これまで何冊かの本を書いており、目を皿のようにしてゲラを読んでも、出版後に読者から初歩的な間違いを指摘され、愕然とすることが多い。最近では、「すっくと立つ」という表現が「すくっと立つ」となっているという指摘を受けた。正直、私はこれまでずっと「すくっと立つ」でいいと思っていた。不明を恥じるばかり。
今読んでいる本の誤字・誤植をざっと付記すると————。「喪心からお礼を申し上げます」「習金平」「Hilary Clinton」「もつとも美しかったのは」・・・。この本は昨夏に出たばかりの近著なので、版を重ねることになれば、きっと校正されていることだろう。
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an enabler って?
- 2016-05-11 (Wed)
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熊本地震は震度1以上の余震がやまない。NHKテレビでは依然、「今後も当分は最大深度6弱程度の激しい揺れに警戒して」という気象庁の警告を伝え続けている。我々庶民には分からない地下の動きがあるのだろう。彼らがそう言い続けているのは単に万が一の可能性を考えてのことか。駅やデパートなどのエスカレーターでの「手すりにおつかまりください」という程度の警告と考えたくなるのだが、こと地震に関してはそうもいかない。NKKテレビからこの不気味な警告が早く消える日が来ることを願いたい。
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韓国語のドラマを楽しんでいる。しかし、今日はさすがに途中でチャンネルを切り替えてしまった。なぜか。あまりにストーリーが「露骨」だったからだ。見ていたドラマは、韓国語学習のために、時々つまみ食いのように見ているもので、全体のストーリーは承知していない。別れ別れに育った姉妹が中心にいるドラマで、美人で気立てのいい妹が憎くてたまらない姉が色々意地悪するのだが(この種の筋立てがあまりに多くて私は辟易気味)、展開があまりにステレオタイプでさすがに見続けることができなかった。
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アメリカ大統領選の候補者選び。共和党の指名をほぼ確実にした不動産王のドナルド・トランプ氏の動静が依然賑やかだ。早く化けの皮がはがれないものかと思っているが、彼は英語の勉強にはいろいろと題材を提供してくれる。最近の報道では、彼が民主党の有力対抗馬、ヒラリー・クリントン氏に悪罵を浴びせている言葉に辞書を引かされた。彼はヒラリー氏を次のように非難したと報じられた。“She was an unbelievably nasty, mean enabler, and what she did to a lot of those women is disgraceful,” he thundered, offering no evidence.
もちろんこれは、夫のビル・クリントン大統領(当時)のかつての賑やかな女性関係を背景に、妻のヒラリー氏が夫のそうした女性遍歴を「助長」したという非難だ。enable(可能にさせる)を名詞化したenabler という語には普段あまり出合わない。私の電子辞書には「(アルコール依存症・薬物依存症などの人を)精神的に支える家族や知人、エネイブラー」と記載されている。トランプ氏は「(悪事を黙認する)助長者」のような意味合いでこのenabler を使っている。
少し前までよくのぞいていたアメリカの風刺番組に「デイリーショー」というのがあった。今でもあるのだが、司会者が変わったので今は全然見ていない。前の司会者はジョン・スチュアート氏。そのスチュアート氏がネット新聞「ハフィントンポスト」に載っていた。その記事に付記されていたビデオで久しぶりにスチュアート氏の毒舌を楽しんだ。
記事の見出しは “Jon Stewart says Donald Trump can’t be President because he’s a ‘man-baby’” というものだった。彼は次のように痛烈にトランプ氏のことを揶揄っていた。“I don’t know that a man-baby can be president. Character is destiny, and he is the most thin-skinned individual.”(大人でありながら赤ん坊のような気質の人が大統領になる資格があるのだろうか。性格は今さらどうしようもないものである。彼ほど自分に対する批判に激しやすい人はいない)。私は全くもって同感だ。
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英語はリズムで
- 2016-05-07 (Sat)
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この連休期間中に読んだ本で有益だったものを二冊記しておきたい。語学学習者にはとても参考になる書だ。私には大いに参考になった。
最初の一冊は英語学習に関する『英語は「リズム」で9割通じる!』(青春出版社)という本。著者は英語教育に明るい竹下光彦氏で、2013年の発行。竹下氏は英語の発音や文法にあまり拘ることなく、むしろ心がけるべきは「正確なリズム・アクセント」であり、それを正すだけで驚くほど英語の会話力がアップすると訴えている。
例えば、can, can’tという助動詞の入った文章。著者は次のように指摘する。——注意することは、can の場合、会話では「キャン」という発音が「クン」のように聞こえるケースもあるということです。ゆっくり発音するときは「キャン」となりますが、日常会話の速さで話されるときは、ほとんど「クン」と聞こえます。一方、「できない」という意味のcannot「キャノット」、can’t「キャーント」は、いつでも強くはっきり発音されます。ですから、「アイ・キャーン・カム」のように聞こえたら、それは I can’t come.(来られません)の意味であることが多いのです。逆に、「アイ・クン・カム」のように、canがはっきり聞こえないときは、I can come.(来られます)の意味であることがほとんどです。——
上記の指摘は実際に日本人がよく戸惑うことだ。著者はまた英語を話す際には「腹式呼吸法」での発声を推奨する。——日本人の発声法はどちらかというと胸式呼吸をする人が多く、歌でいえば鼻歌のように聞こえる話し方をする人が大半です。この場合、どうしても調音点(音を作り出す器官の部位)での音階が高くなり、自信を持って話しているように聞こえません。英語のネイティブの発声を聞いていると、腹式呼吸の人が多く、音程も低いので、とても自信たっぷりに聞こえます。——。私も全く同感だ。ディープな発声の英語を聞いていると、内容がたいしたことがなくとも、聞き入ってしまう。私は腹式呼吸の発声はできない。
もう一冊は韓国語の学習関連書で『韓国語をいかに学ぶか 日本語話者のために』(平凡社)。著者は大学の先生で野間秀樹氏。2014年の発行だから最近出された書と呼んでいいだろう。例えば「丁寧な表現」に関して次の指摘。著者は「―
韓国語と日本語では表現に次のような差(丁寧化のマーカーのこと)があることになる。そしてこの違いは、実際の<話されたことば>では大変な頻度で現れているわけである。日本語に見られない、韓国語に特有の、この丁寧化のマーカー ―요/―이요 は、学習にあたっては、その圧倒的な使用頻度の点に鑑みても、日本語との表現の違いに鑑みても、当然のことながら、初級の早い段階で導入するのがよい。<話されたことば>の実際の言語場において自然なやりとりができるかどうかの、決定的な肝となるものである。
この説明で疑問点が解消した。韓国語のテレビドラマを見ていて、「
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これも無理を承知で
- 2016-05-05 (Thu)
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本日は子供の日。窓の外は明るい陽光が降りそそいでいる。この二三日、押し入れの布団や毛布をベランダで干している。気分もいい。これで地震の憂いがなければチェゴ(최고:最高)なのだが・・・と思っていると、久しぶりに揺れを感じた。震度1かな?
『ペリー提督日本遠征記』(“Narrative of the Expedition of an American Squadron to the China Seas and Japan”)について追記。幕末が迫っていた19世紀半ばの日本の社会が、幕引きの要因ともなった米艦船・黒船を率いたペリー提督側の視点から描かれていて、「お歯黒」など当時の風習が興味深く書かれていることなどは既述した。追記したいのは、明治維新の陰の原動力ともなった幕末の志士、吉田松陰の密航の企てが言及される場面。松陰が弟子の金子重之助と一緒に、下田に投錨していた米艦船に乗り込み、密航を試みるものの失敗に帰する経緯だ。
もちろん、ペリー提督たちにこの二人の素性が詳しく分かっていたわけではない。それでも、二人の青年のたたずまいが強く印象に残ったことは間違いないようだ。次のように記されている。「彼らは教養ある人物であり、標準中国語を流暢かつ端麗に書き、物腰も丁重で非常に洗練されていた。提督は彼らの来艦の目的を知ると、自分としても何人かの日本人をアメリカに連れていきたいのはやまやまだが、残念ながら二人を迎え入れることはできない、と答えさせた。(中略)提督の回答に二人は大変動揺して、陸に戻れば首を斬られることになると断言し、とどまることを許してもらいたいと熱心に懇願した」
鎖国体制を辛うじて維持していた幕府は外国への旅を企図する民は誰であれ極刑に処していた。ペリー提督にとっても幕府の不信感を招く行動に出るわけにいかなかったことは理解できる。しかし、もしペリー提督が有為のこの二人を匿い、アメリカへの帯同を許していたならば、明治維新期の日本はどうなっていたのだろうかと思わざるを得ない。いまさらこのような「たられば」は詮無きこととは分かってはいても。
『遠征記』は次のような記述もある。「この事件は、知識を増すためなら国の厳格な法律を無視することも、死の危険を冒すことも辞さなかった二人の教養ある日本人の激しい知識欲を示すものとして、実に興味深かった。日本人は間違いなく探求心のある国民であり、道徳的、知的能力を広げる機会を歓迎するだろう。(中略)この日本人の性向を見れば、この興味深い国の前途はなんと可能性を秘めていることか、そして付言すれば、なんと有望であることか!」。そこまで感じていたなら、連れて行ってくれたなら良かったのに! 松陰は安政の大獄に連座し、江戸で刑死。金子重之助はその前に牢死している。
時代劇のドラマを見ていて、時として憤りを覚えるのは、お殿様や上役の逆鱗に触れた下級武士が切腹を命じられるとか、主君の死を受け、臣下が殉死することがごく当然の義務と見なされた、といった理不尽な行為がまかり通っていたことだ。士農工商というあこぎな身分制度は言わずもがなだ。今の世の中はそれに比べれば格段にいいと思う。とはいえ、例えば100年後の人々が2016年前後の日本を見て、「ああ、昭和から平成という時代を生きた人々は何と愚かで不幸だったことよ」と哀れに思うことはないのか? 地震台風の災害は別としての話だが。まあそんなことを夢想してみてもこれも詮無きことなのだろう。
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無理は承知で
- 2016-05-02 (Mon)
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世はゴールデンウィーク。こちとらはほぼ毎週ゴールデンウィークだ。などと軽口をたたいている世情でもない。熊本地震は相変わらず、深度1から3の余震が絶え間なく続いている。NHKテレビによると、気象庁は依然「最大深度6弱程度の激しい揺れに警戒」と言い続けている。震源地から距離のある福岡に住んでいても不気味な警告だ。震源地周辺に住んでいる人々にとっては、NHKテレビの定時のニュースを見るたびにストレスがたまる一方だろうことは想像に難くない。
前例のない地震ゆえに予測や説明が困難であることは分かる。それでも何か、もっと他の言い方はできないものかと思う。第一、私はこれまで本震に続く余震は段々とエネルギーを放出していくのであり、大きな地震が起きることは当面はないと思ってきた。どうも今回の地震はそうではないらしい。被災地を再び「深度6弱」の地震が襲えば、どれほどの(人的)被害が出るのか想像だにしたくない。もっと被災者の側に立った分かりやすい説明(警告)が欲しい。それができないのが現状かもしれないが、憤りにも似たもやもや感が募る・・・。
◇
オバマ米大統領が恒例のホワイトハウス記者会主催の夕食会で披露したスピーチが話題となっているようだ。主賓となるのはこれが最後となるオバマ大統領がジョークのターゲットとしたのは想像通り、低次元の中傷合戦となっている野党共和党の大統領選指名争い。読売新聞によると、オバマ大統領は来賓として出席していた共和党全国委員長の姿を見つけると、「すばらしい選挙戦になっておめでとう。この先もぜひその調子で」と声をかけ、共和党指名争いの混迷ぶりを皮肉ったという。
大統領選の指名を争っている候補者で夕食会に出席していた唯一の人物は民主党のバーニー・サンダース上院議員。サンダース氏はヒラリー・クリントン前国務長官との指名争いで劣勢に立つが、オバマ大統領はサンダース氏の奮闘を称賛した上で、しかし次のような軽口を放った。サンダース氏にとってはブラックユーモアと映ったかもしれない。朝日新聞のネット版では次のように報じていた。————「来年のこの時期は、ほかの人がこの場所に立つだろう。『彼女』が誰であるか、だれも予想できない」と述べた。後任に、現在唯一の女性候補であるクリントン前国務長官が就くだろうと示唆した形だ————
面白い文章だ。幾分唐突に出てくる印象の————『彼女』が誰であるか、だれも予想できない————。私はこのくだりを読んで、オバマ大統領の実際の発言を確認したくなった。CNNのネット版に跳ぶと、次のような文章に遭遇した。He also weighed in on the speculation surrounding the 2016 race, joking, “Next year at this time, someone else will be standing here in this very spot. And it’s anyone’s guess who she will be.”
なるほど。普段から代名詞が重要な要素となる英語ならではのジョークだろう。日本語のスピーチならば、「来年のこの時期は、ほかの人がこの場所に立つだろう。その人が誰であるか、だれも予想できない」といった文章が頭に浮かぶが、「その人」では全然このジョークは成立しない。上記の記事(翻訳)でおかしみは十分伝わるが、話し言葉となった場合はどうだろう。私はなかなかすっきりした言い回しを見つけられずにいる。
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