May 2021
「緊張していこう」?
- 2021-05-31 (Mon)
- 総合
週末、緊急事態宣言の延長で公民館講座の休講措置も延長されるという連絡が受講生仲間より届いた。正直に白状すると、冒頭に各自が行うショートスピーチの準備をしなくていいということでほっとした。とはいえ、生きた中国語に触れる機会としばらくご無沙汰になる。それはそれで残念。いや、どっちじゃい?と自分で自分に突っ込みたくもなる。
NHKラジオの中国語講座。初級講座でも毎日新しい単語に遭遇し、凄く勉強になっている。それは韓国語も同様。韓国語は中級講座も聴いているが、こちらはさすがに私には難解。そのため、テキストを毎月購入して聴いているが、悲しいかなあまり記憶には残らない。6月号のテキストを先読みしていて、次の表現が出てきた。「あっという間に大学入試だぞ。みんな緊張していこうな」。気になったのは「緊張していこうな」(긴장하자)という表現。「緊張」すると思わぬミスをするのではないかいな。日本語でこう言っても理解してもらえるかとは思うが、妥当なのは「緊張感を持っていこうな」という言い方だろう。
東京の新聞社の国際部に勤務していた頃、「みんな、緊張感を持ってやろう」と口癖のように言うデスクがいた。大阪で勤務していた頃もよく「緊張感を持って」と宣う編集局のお偉いさんがいた。「緊張」は韓国語では「긴장」。敢えてカタカナ表記すると「キンジャン」。中国語では「紧张」。ピンインでは「 jǐnzhāng」。乱暴にカタカナ表記すると「ジンジャン」。中国語では「紧张」は「気楽にいけよ」(不要紧张)などといった用法が普通のようだ。日本語や韓国語のような「緊張感」ではあまり使われないのではないかと私には思える。
◇
カズオ・イシグロの近作 “Klara and the Sun” を読んだことは先に書いた。読後感をブログですぐにはアップできないことも。それで思った。後日改めてブログに書こうとする時にはおそらく大半の記憶(印象)は失われてしまっているのではと。
それで日曜日。テレビで野球を見ながら、徒然なるままに、“Klara and the Sun” を再び手にして、マーカーを走らせたところを確認しながら、頭に浮かんだ思いをパソコンのワードに書き込んでいった。最終的にはA4で2枚ちょっとの分量になった。このブログは原則、A4で1枚程度の分量の文章をアップしているので、実際にアップするとなると、半分以上は削除する必要に迫られる。それは忍びないかも。もっと書き込みたいこともあるというのに。うーん、どうしよう?
◇
大リーグ。大谷翔平君は活躍してもしなくても米メディアの注目を浴び続けている。もうすでにしてスーパースターの扱いだ。それはそれでいいのだが、やはり、投打、特に打者としての活躍を見たい。次の言葉は彼が投手として投げた翌日に指名打者として活躍したゲームの後でのマッドン監督の談話。a different animal とは凄い形容だ!
“That always amazes me,” Maddon said. “I mean, to pitch whatever he did … and with the velocity that he has -- to say that he felt really good today is kind of phenomenal. And then you see the way he swung the bat, the stolen base. Just a different animal, man. It’s fun to work with.”
- Comments: 0
"American democracy isn't dead yet, but getting there."
- 2021-05-29 (Sat)
- 総合
パソコンのメルアドには連日、購読契約した米ニューヨーカー誌からニュースレターが届いている。コロナ禍で気分が塞ぐこともあって、最近は素通りすることが多い。ただし、ベテランジャーナリストのスーザン・グラッサー氏のコラムだけはできるだけ目を通すようにしている。このブログでも何回か言及したことがある記者だ。
週末に送られてきたコラムには以下の見出しがついていた。“American Democracy isn’t dead yet. But it’s getting there” (アメリカの民主主義はまだ死んではいないが、死に体になりつつある)。見出しからして気の滅入りそうな記事だが、読んでみた。
トランプ政権を打倒した民主党のバイデン政権。コロナ対策では確実に成果を上げつつある。しかし、共和党の子供じみた抵抗にあい、超党派の施策は極めて困難な状況が続いている。今年1月6日に首都ワシントンで起きたあの米議会暴動事件の真相究明もトランプ氏に忠誠を誓う共和党議員の反対で頓挫しそうだという。
驚くのは、共和党支持者の多くは今なお、昨年の大統領選で勝利したのはトランプ氏だと信じており、3分の1の支持者はバイデン政権を崩壊させるためには武力行使を是認するという指摘だ。トランプ氏自身がメディアでいまだに自分が本当の大統領であると吹聴し、それが許されている現実は到底、世界がお手本としたい民主国家とは言えない。
◇
オンラインで続けている「名作を読む英語教室」。受講生は少ないが、私にとっても勉強になっており、やりがいのある講座だ。月2回の開講で最近のプリントアウトを見ると第45回と記載されている。ということは2年近く継続していることになる。
翻訳の課題を出し、講評も手がけているので、これまでは英米の短篇小説を中心に読んできていた。コロナ禍でオンラインの教室となって以降はネットで読むことができる古典的な作品を選んでいたが、最近の作品も読んでみたいと考えるようになった。ふと頭に浮かんだのは好きな作家の一人、カズオ・イシグロ氏が近未来の社会を描いた近作、“Klara and the Sun”。それほどの長編でなかったら教室の題材となるのではないかと思った。
洋書を扱っている天神の書店に電話を入れて確認する。300頁ほどの長さだと知った。肝心なのは価格。税込みで2255円。決めた。これなら最初の月の受講料を半額(以下)にすれば、受講生に余計な負担はかけずに済む。7月から “Klara and the Sun” を読もう!
私は幸い、新聞の読書欄などに出ていたこの作品(邦題『クララとお日さま』)の書評は読んでいないので、内容に関しては何の知識も持たず、虚心坦懐に本に向かうことができた。面白かった。英文も分かりやすかった。2005年の “Never Let Me Go” (邦題『わたしを離さないで』)と似た読後感を抱く読者も多いのではないか。大団円のところでは素朴な疑問も生じたが、それをここで書くのは控えたい。教室の受講生に「書評欄などは一切読まずに真っ白な気持ちで読んでください。読み進めるうちに葉っぱや木々がやがて森が見えますから」と説いていた。受講生がひょっとしてこのブログを読む可能性もある。今詳述すると、この本を読む楽しさを奪うことになる。教室で読破するのはおそらく秋頃か。その頃に私の読後感をこのブログできちんと記したいと思う。
- Comments: 0
無失点に異議あり!
- 2021-05-27 (Thu)
- 総合
大リーグ。二刀流のスター、大谷翔平君の評価がうなぎ登りだ。大リーグのホームページをのぞくと、連日、翔平君の活躍に対する称賛や今後のさらなる飛躍に期待する声が載せられている。
25日(日本時間26日)のゲームでも目の覚めるような15号ホームランを右翼に放ち、チームの勝利に貢献している。いやはや凄い選手だ。私はこの日は小倉の文化センターでの英語教室の仕事があり、生では見られなかった。教室終了後にスマホで確認した。
活躍しているのはもちろんロサンゼルスエンジェルスの翔平君だけではない。サンディエゴパドレスのダルビッシュ有投手は投手では最高の栄誉、サイ・ヤング賞が視界にくっきりと入る成績を残しつつあるし、シアトルマリナーズの菊池雄星投手もチームのローテーションの要となる好投を続けている。巨人からボストンレッドソックスに移籍した沢村拓一投手も大切な場面で中継ぎの役目を担い、そこそこの働きを見せている。
その沢村投手が25日の本拠地での一戦で6回表、2死1、2塁のピンチで中継ぎ登板した。この時点でチームは2対1でリードされている。追加点は許したくないところだ。残念ながら最初の打者に手痛い二塁打を打たれ、相手チームに1点を献上してしまった。後続は抑え、翌7回は三者凡退に切り取った。私はこれを帰宅後にパソコンを開いて知った。
夕刊を開いた。夕刊の下の方の小さいスポーツ欄で「沢村無失点」というベタ記事が載っていた。凄い違和感を覚えた。確かに1、2塁の走者は先発投手が残したもので、自分は二塁打を許し、追加点を与えたものの、記録上は自責点はつかず、無失点となるようだ。だが、試合の流れから言えば、相手チームに3点目を許し、逆転に向かう勢いをそぐ1点となったことは間違いない。これを「無失点」と見出しでそして本文で表現するのはいかがなものか・・・。
野球に関心のない人にはどうでもいいようなことに思えるかもしれないが、野球大好きな私には見過ごせないことだ。
◇
コロナ禍で公民館の中国語講座も休講措置が続いている。毎回のショートスピーチの準備をしなくていいのは気が楽だが、まだ芽生え始めたばかりの中国語脳が日々衰えるのが悲しい。中国語の辞書をひく頻度も格段に減少した。それでなくとも語彙力は貧弱だ。NHKラジオの中国語講座で「ユージャ」という語が出てきた。何のことやら全然分からなかった。「ヨガ」だった。簡体字では「瑜伽」(yújiā)。英語のyogaの発音を似せた語だと説明を受けたような。公民館講座でも何回か出てきていたが、すっかり失念していた。
◇
今月から小倉駅前のセントシティというビルの11階にあるカルチャーセンターで、「普段着の英語」と題した英語教室を開講している。中学・高校で学んだ平易な英語で深い表現ができることを教えることを狙っている。毎月第1、3水曜日の午前10時半から正午の時間帯。
興味のある方は次のサイト(https://kokura.mcv.jp/fudangi_eigo/)をご覧ください。
- Comments: 0
ワクチン接種予約完了
- 2021-05-23 (Sun)
- 総合
金曜日に新型コロナウイルスのワクチン接種の予約ができた。コールセンターへの電話がなかなか通じないのでネットでトライした。こちらは簡単にたどり着いたが、私のやり方がまずかったのか2回目の予約がなかなかできない。1回目は近くの会場で予約ができたので、その時に2回目を予約すればいいのだろうかと推測してもみたが、どうにも気になるので、その後もセンターへ電話をかけ続けていたら、ひょこっとつながった。事情を説明すると、私が予約したのは2回目の摂取であることが分かった。なんてこった、テラコッタ!と叫びたくなった。1回目を通り越して2回目を予約できるとは!
それでとりあえず、2回目の接種を可能にする1回目の接種ができる会場を探してもらった。幸い、近くではないが、キャナルシティ方面の医院で1回目の接種ができることが分かり、そのように調整してもらった。1回目が6月18日、2回目が7月11日。これで一安心だ。期日を手帳にしっかり記入した。忘れるな! Don’t forget! 不要忘记!잊지마!
◇
NHKの衛星放送だかどこかのチャンネルで、英国のダイアナ元皇太子妃にまつわる英BBCの世紀のスクープ番組の裏舞台を報じていた。あのスクープの裏側にはBBCらしからぬ低級なだましが工作されていたと告発していた。1995年11月に放送されたこのインタビュー番組で、ダイアナ元妃は夫のチャールズ皇太子の不倫に言及しただけでなく、自分自身の熱愛(不倫)を認め、世界中に衝撃を与えた。
ダイアナ元妃の信頼を得ようと番組の制作者が王室関係者の元妃への裏切り行為の情報を偽造し、それをダイアナ元妃と側近に見せ、元妃に取り入ったようだ。BBCも不正があったことを認め、20日に公式に謝罪している。この番組で一躍脚光を浴びた記者は同日に健康状態を理由にBBCの編集の要職を辞したとか。
私は当時、新聞社のロンドン特派員でまさにこのインタビューを支局のテレビで見て、急ぎ、東京の国際部に原稿を書き送った。当時、このようなブログでもあれば、取材後記か何かできちんと思いを残しておいただろうにと残念に思う。とここまで書いてきて、ふと思い出した。東京から福岡に転勤した直後に地域版で連載したコラムでこの後日談を書いていることを。拙著『英語でさるく』(2008年)にも収録している。
「ダイアナ妃 adore は love より深く」と題した項で次のように書いている。話題が元近衛将校との関係に及ぶと、ダイアナ元妃は伏し目がちながら、不倫関係にあったことをあっさりと認めた。“I adored him.” (私は彼のこと、大好きだったの)。love よりさらに愛情の深さを示す adore という表現だった。私はダイアナ元妃の正直さにびっくりというより「そこまで言うか」とあっけにとられた。番組を見終え、ワープロに向かって夕刊用の原稿を打ち始めた。その記事は夕刊1面の順トップ扱いだった。
そう、“I adored him.” には参った。「不倫なんかじゃないわ。本当に彼のこと、愛していたんだから!」とでも主張するかのような。この告白でダイアナ元妃とチャールズ皇太子との不仲は決定的になったのだろう。不正な手段がなかったとしたなら、ダイアナ元妃はインタビューを受けなかったのだろうか、そうではないのではないかと思わないでもない。
- Comments: 0
新しいパスポート、ICレコーダー
- 2021-05-20 (Thu)
- 総合
新型コロナウイルスのワクチン接種券が私の元にも届いた。水曜日(19日)から電話予約ができるとネットで知り、該当番号に電話をかけているが、いつも話し中。いつになったら予約ができることやら。全然焦ってはいないが、まあ、そのうち打てるようになれば有り難い。このブログは備忘録みたいなものだから、このこともきちんとここに記しておきたい。
◇
新しいパスポートを手にした。写真も問題ないようだ。古いパスポートの写真は自らバリカンで頭を刈り上げ、文字通りの禿げ頭だった。旅先でも泳ぎ、髪の毛を乾かす手間暇を不要にするための苦肉の策だった。ホテルの浴室で二週間に一度はバリカンを頭に当てていた。少し髪の毛が伸びると印象が違ったようで、オランダかどこかでパスポート審査の係官からパスポートの写真と実物の私をしばし凝視されたこともあった。バリカンを携行しない今はそういうこともないだろう。
新しいパスポートは表紙のデザインも色合いも同じだが、査証(ビザ)や出入国の記録を記す欄が何だか格調高くなっている。あの有名な「富岳三十六景」が旅情豊かにあしらわれている。このパスポートが実際に使えるのは果たしていつのことか。年内は無理だろうか。まあ、有効期間は向こう10年間だから時間はたっぷりあるとはいえ・・。
◇
ずっと以前から入手したいと考えていたものがあった。ICレコーダー。昨年末にこのブログで以下のように書いている。アフリカの特派員時代からずっと使ってきていたカセットテープレコーダーが遂に動かなくなった。ひょっとしてまだ修理可能ではと一縷の望みを抱いてメーカーのお客様相談センターに電話してみた。優良製品を世に出しているのだからメーカー名を書いてもいいだろう。ソニー社製だ。
結論から書くと私が愛用してきた製品はもう今は製造しておらず、修理は不可能とのこと。私のテープレコーダーは1998年に製造開始ということを知った。ということは発売開始直後に購入したとしたなら20年ちょっとの使用期間となる。十分元を取ったと高評価に値するだろう。今ではソニーも小型のカセットテープレコーダーは発売しておらず、メモリーカードレコーダーが主力とか。次に買うとすればそれか。
パスポート更新で天神に出かけたついでにICレコーダーを見せてもらおうと、天神にあるソニーショップに足を運んだ。話だけ聞くつもりだったが、見せてもらったものをすっかり気に入り、値段も思っていた以上に安かったので早速買い求めた。驚いたのは値段もそうだが、超軽いこと。これなら旅行のたびにその重さに悩まされることもないようだ。当然のことながらかさばるカセットテープも不要。私はまだ使いこなせていないが、きっと驚くような便利な機能が隠れているのだろう。「記念」に①役目を終えたテープレコーダー②昨年末購入したが、重さが半端ないテープレコーダー③購入したばかりのICレコーダーを一緒に写真に収めておこう。
これから旅した先々で現地の人々の声をICレコーダーに収め、中国語、韓国語の生きた言葉を録音し、この身体に取り入れていきたい!
- Comments: 0
干し昆布届く
- 2021-05-17 (Mon)
- 総合
「友あり、遠方より送物届く、また嬉しからずや」とでも書くべきだろうか。岩手・釜石に住む年長の知己、Sさんから干し昆布が大量に届いた。私の好物だ。有り難い。早速お礼の電話を入れた。だが私の口から出た言葉は「昆布」ではなく「ワカメ」だった。過去にワカメをもらったこともあり、私は正直、昆布もワカメも違いがよく分かっていない。「いや、あれはワカメではなく昆布ですよ」とやんわり諭された。
広辞苑で「昆布」をひくと「褐藻類コンブ属藻類の総称。寒海の岩礁に着生・・」とある。「ワカメ」は「褐藻コンブ目チガイソ科の海藻・・」とあり、以下説明文が続いているが、どうもよく分からない。ネットで両者の違いを調べてみる。大きな違いがあることが分かった。大事な違いだ。「昆布」はタンパク質やカルシウム、鉄、ヨウ素が多く、うまみ成分のグルタミン酸をたくさん含み、ビタミンも豊富とか。これに対し、「ワカメ」は栄養価は高くなく、うまみ成分も少ないが、低カロリーゆえにダイエットに用いられている。
私は何となくワカメも栄養価があり、健康食品の一つとして考えてきていたが、どうやら昆布ほどではないようだ。Sさんは近くの海で自ら昆布を取り、干したとか。好きな日本酒の肴としてだけでなく、コーヒーに入れて楽しんでおられることも知った。私はコーヒーに昆布の切れ端を入れて味わったことまではない。これから早速実践してみよう。
◇
大谷翔平君がまたまたどでかいことをやってのけたようだ。日本時間では月曜日未明の時間帯のゲーム。私はさすがに寝ていたので朝目覚めスマホを開いて知った。敵地ボストンに乗り込んでの試合。9回表、レッドソックスに5対4で1点のリードを許し、2死ランナーなしの絶体絶命。そこから2番トラウト選手がヒットで一塁に。3番に座った翔平君が相手クローザーの初球を思い切りよく振り抜き、打球は右翼に飛び込む逆転ホームラン。その裏を何とか0点で抑えたエンゼルスが5連敗を免れ、一矢を報いた。
大リーグのネットでこのホームランシーンを何度も見たが、もう少し右にそれればファールとなる一打だった。手痛いホームランを喫した相手クローザーの次の一言が翔平君の凄さを物語っている。“I personally think he's the most physically gifted baseball player that we've ever seen. I don't know that you're ever going to see somebody who can throw 101 and hit the ball 600 feet. So, I mean, he's a special player. He's incredibly talented and, you know, hopefully he stays healthy and has a long career.”
敵チームの主力プレーヤーから末永く健康をそして活躍を願われる選手はそうはいないだろう。翔平君は今週木曜日(現地水曜日)には再びマウンドに立つ予定とか。今シーズンどこまで日米の野球ファンを楽しませてくれるのか。嗚呼、私は仕事が手につかない!
ところで翔平君の放った一打は日本流に言えば、「起死回生の逆転2ラン」。「起死回生」はともかく「逆転ホームラン」は和英辞書をひくと “a come-from-behind homer” という訳が載っている。今回の翔平君のホームランは大リーグの記事では単に “the go-ahead homer” となっていた。この表現では「勝ち越しホームラン」の意味はあっても「逆転」のニュアンスは薄いように思えた。
- Comments: 0
「有朋自远方来,不亦乐乎」
- 2021-05-14 (Fri)
- 総合
「友あり、遠方より来たる、また楽しからずや」という論語の文章を思い出した。福岡から千葉県に転居された親しい先輩が私の元を尋ねてきた。久しぶりに焼酎を飲み交わし、楽しい一夜を過ごした。中国語ではどういう表現だったのかよく分からないのでネットで調べてみると、次の文章が出てきた。「有朋自远方来,不亦乐乎」。前段はまあ良し、後段のくだりが我々日本人には分かりづらいかと思う。
普段ならスーパーで刺身や肴を買ってきてテーブルに並べるが、最近時々のぞくレストラン(居酒屋?)に前もってオードブルを注文していた。これが正解だった。焼酎にも合って座を盛り上げてくれた。先輩にも喜んでもらえた。語らった内容をここに記したいところだが、よしとこう。携帯で写真を撮った。自分の写真をブログにアップするのはあまり好まないが、写真から私の心の「乐」(楽しい、嬉しい)がにじみ出ているように思えたのであえて掲載。とこの項をパソコンで打っている今日は金曜日。週末だ。先輩は朝早く拙宅を立たれた。今宵はいつものように一人で焼酎を頂こう。これもまた「乐」だ。
◇
韓国語も中国語も語彙が日本語と似通っていることがあり、理解の助けになることが多いが、意味合いが微妙に食い違っている場合も少なくない。NHKラジオの(初級)韓国語講座で「インセンドゥラマ」(인생 드라마)という語が出てきた。「インセン」とは「人生」だなとすぐに合点が行った。「人生はドラマ」ということかな? 講師の次の説明で誤解を免れた。「人生が変わるぐらい面白いドラマ」「これまでで最高のドラマ」という意味とか。「인생 영화」(インセンヨンファ)ならば「人生が変わるぐらいの面白い映画」ということになる。面白い表現だ。残念ながらそういうドラマや映画には出合ったことがないかと思う。いや過去にはあったのかもしれない。記憶と感動が失せているだけのことかもしれない。何か思い出さないか、ちょっと沈思黙考してみよう・・・。
頭に浮かんだ映画はあった。「人生が変わるぐらいの面白い映画」とまでは言わないが、いい作品だったことは間違いないと思う。日本でも人気のある日系英国人作家、カズオ・イシグロ氏のベストセラーを映画化した作品だ。“The Remains of the Day”(1993年)(邦訳「日の名残り」)。エマ・トンプソンの演技も良かったし、アンソニー・ホプキンスの執事役も素晴らしかった。胸に秘めた思いを押し殺し、人生の夕暮れに向かう姿に自分の行く末を見たように感じたような・・・。
もう一言。私には難し過ぎて聞き捨てるだけのNHKラジオの「ステップアップ ハングル講座」のテキストに次の文章があった。「自撮り写真の加工・修正アプリなどのフォトレタッチ・・」。「レタッチ」って何? 私にはちんぷんかんぷんだった。「フォトレ」と「タッチ」が合体したのかなとさえ思った。悪戦苦闘の末、これはもともと英語の retouch であることを知った。確かに広辞苑などでは「レタッチ」と掲載されている。
しかしながら、英語の発音では「レタッチ」ではなく、「リタッチ」だ。意味の上からも「リタッチ」の方がベターだろう。外来語は最初にどう呼ぶかが決まってしまえば、後からそれを覆すのは至難の業。「レタッチ」もその典型的例か。
- Comments: 2
みたび緊急事態宣言
- 2021-05-12 (Wed)
- 総合
福岡県が今日12日から3度目の緊急事態宣言に入った。もう何度目かもよく分からないが、とにかく窮屈な生活を余儀なくされることは間違いない。感染者に対処している医療従事者の苦労を思えば、文句など言えない。宣言により、公民館の中国語講座はしばらく休講となった。昨年も5月前後の3か月間、休講措置が取られたような記憶があるが、再びそうなるとは・・・。最近時々立ち寄る居酒屋さんはアルコールの提供ができないので午後5時で店を閉めるとか。大変だろうなあと思う。
そういえば、私の元にもワクチンの接種券が届いた。19日から予約の電話を入れることができるらしい。東京の友人からは予約を取り付けるのが大変だというラインメールがあったが、こっちもそうだったら気が重い。まあ、なるようにしかならないだろう。
◇
新聞の広告欄にノートの広告が載っていた。「みんなのツバメノート」とうたっている。私もずっと愛用している。しかし、知らなんだ、そう呼ばれているとは。私がツバメノートを愛用している理由はある人から頂いた手作りのノートケースにこのノートがぴったりと収まるからだ。広告ではA5というサイズが紹介されていたが、私が愛用しているのはそれよりずっと小さいように思える。背表紙には「ツバメノート株式会社謹製」と記してある。表表紙には NOTE BOOK と印字してあり、その下に Specially Prepared in Tokyo と書かれている。ノートというよりメモ帳といった印象だ。
私はこのノートがいつか製造中止になるのでは危ぶんでいたが、広告文には「クラシカルな定番ノート」という文章も見える。私の愛用しているノートとは別物だが、「みんなのツバメノート」という愛称が流布しているなら、これからも長く使うことができそうでほっとしている。
◇
大リーグ。大谷翔平君が好投した。7回を投げて4安打1失点10奪三振。失点はホームランの1点だ。試合は例によってリリーフ陣が打ち込まれ、5対1で敗れたが、翔平君には負けはつかなかった。打っては4打数1安打。8回はライトの守備にもついた。エンゼルスはこのゲームも拙守が目立ち、相手が好投手だったとはいえ、打てず守れずだった。チームの応援はほどほどにしておき、翔平君の個人記録にだけ注目した方が良さそうだ。
敵将、アストロズのダスティ・ベイカー監督は “Boy, he’s some athlete.”(彼は凄いアスリートだ)と評していた。この場合の some athlete は並大抵ではない誉め言葉だろう。
とはいえ、野球はやはり団体スポーツ。いくら活躍してもチームが勝てないようでは応援のボルテージは上がらない。今シーズンは日本人選手が所属するチームではダルビッシュ有投手がいるサンディエゴパドレスがナリーグ西地区で勢いがある。エンゼルスと同じ地区にいるシアトルマリナーズで菊池雄星投手も頑張っている。その雄星投手は12日のゲームで6回3分の1を投げ、11奪三振の好投で勝ち投手の権利を手に降板したが、これも例によってリリーフ陣が打たれ、チームは逆転負け。勝ち数を重ねられなかったのは悔しいことだろう。まあせめて7回、できれば8回ぐらいは投げ切れということか!
- Comments: 0
“スワッテクダサイ!”
- 2021-05-07 (Fri)
- 総合
四月末のブログで大谷翔平君の活躍について次のように記していた。大リーグ関係者が口をそろえて称賛し、監督をして、「彼の今日のプレーを見て楽しいと思わなければ、果たしてあれ以上の何を見て野球を楽しむのだろうか」と言わしめることも凄い。現地のアナウンサーが翔平君のプレーに感動し、日本語で何か絶叫していたが、発音が怪しくとっさには理解できなかった。アメリカの野球に日本語の語彙がますます浸透していくのだろう。
昨日彼が出場しているテレビを見ていて、上記の絶叫が理解できた。思わず、笑ってしまった。それは「サンシン。スワッテクダサイ」という言葉だった。咄嗟には??だったが、意味合いは類推できた。場面は大谷翔平君が苦労の末に相手打者を三振に切って取ったところ。野球に詳しいアメリカの友人によると、大リーグのゲームでは観客席のファンから敵チームの打者に対し、“Sit down” というヤジがよく飛ぶらしい。
明らかに翔平君贔屓の米国人アナはこの “Sit down” を「翻訳」して使っていたようだ。乱暴に訳すと「お前になど打てやしない。早くベンチに戻りやがれ」。「スワッテクダサイ」とは何と丁寧な物言いか!日本人野手がホームランを放つと、「サヨナラ」と叫ぶ米国人アナがいる。「サンシン」も耳にしたことがあるような気はする。さすがに「スワッテクダサイ」はない。これから大谷投手が奪三振の山を築いていったら「スワッテクダサイ」がやがて大リーグで普通に聞かれる日本語由来の外来語となるのだろうか。まさか?!
スカイプを利用した英語教室で現在読んでいる短編小説に野球に関係した表現が幾つか出てくる。タイトルからして “The Catbird Seat” という作品で、今もこうした表現がよく使われるのかどうか知らないが、辞書には「優位な立場」と載っており、“You are (sitting) in the catbird seat.”(君は優位な立場にいる)という例文が紹介されている。“The Catbird Seat” の中では次のような記述があった。–“sitting in the catbird seat” meant sitting pretty, like a batter with three balls and no strikes on him –。スリーボール、ノーストライク(昔風に言うなら、ノースリー)で打席に立つバッターが凄く優位な立場にあることは理解できる。
今、この項をアップしようとしていて、目の前で翔平君が目の覚めるような大ホームランをかっ飛ばした。今シーズン10号。いやはや、どこかの国でホームランテラス席にやっとこさ飛び込むような情けないホームランとはラベルがいやレベルが違う!
◇
韓国語の語彙をチェックしていて「顔が広い」という表現に遭遇した。もちろん、これは日本語独特の表現でこれをそっくり韓国語に「移す」ことはできない。韓国語では「顔」ではなく「足(발)が広い」と言えば、「顔が広い」(발이 넓다)という意味になるらしい。なるほど。中国語ではいかなる表現かと調べてみると、こちらは日本語の感覚でいいようだ。「脸大」あるいは「面子大」という表現が「顔が広い」という意味らしい。「脸」も「面子」も「顔」という意味だ。
英語では日中韓のようなユニークな表現はないようだ。私には単に “He knows a lot of people.” とかあるいは “He is well-connected to some influential people.” などといった何の変哲もない表現しか思い浮かばない。
- Comments: 0
I've had it.
- 2021-05-06 (Thu)
- 総合
トランプ氏が米政治の表舞台から去って以来、CNNでニュースを読むことが少なくなったが、連休期間中に何気なくCNNの記事を眺めていて、気になるニュースに遭遇した。共和党の指導者の一人で反トランプ派のリズ・チェイニー下院議員が窮地にあるらしい。
彼女は下院共和党のナンバー3の座にある。その座を共和党の右派層の連中が追い立てようとしているとか。その中心にいるのがトランプ氏に今も忠誠を誓っている下院共和党の指導者、ケビン・マッカーシー下院議員(院内総務)。1月6日に暴徒が米議会を襲撃した事件では暴徒を非難し、トランプ氏と距離を置く発言をしたものの、党の岩盤支持層が前大統領から離反していないことを知ると、すぐに発言を「撤回」し、トランプ氏と仲良く写真に収まるなど信念も節度も持ち合わせていない政治家であることを露呈した。そのマッカーシー議員の標的になっているのがチェイニー議員。
CNNは彼がトランプ氏支持で知られる右派のフォックステレビに出演した際、マイクがオンになっている状況でのうっかり発言を次のように報じている。Speaking to a Fox host off air, McCarthy was caught on a hot mic giving a more blunt assessment of Cheney's future. "I think she's got real problems. ... I've had it with her. ... I've lost confidence." Asked if there'd be a vote, he said, "Well, someone just has to bring a motion, but I assume that," before he was interrupted by cross talk.
私が注目したのは “I've had it with her.” という言葉。久しぶりに目にした気がする。「彼女にはもううんざりだ」(我慢の限界に来た)という感じだろうか。私に言わせてもらえれば、票が欲しさにトランプ氏にべったりを続けている彼の方にふさわしい表現だと思う。共和党の体たらくを嘆き、党を立て直すにはトランプ政治から決別するしかないとの信念から行動しているチェイニー議員に敬意を表したい。
チェイニー議員のような良識の人が冷遇される共和党などどうなっても構わないが、米政治、ひいては米社会そのものが今後ますます「劣化」していくのではないかと危ぶまれてならない。まあ、私が心配などしてもどうにもならないことだが・・。
◇
大谷翔平君。評価が高まるばかりだ。敵チームからも称賛の声が聞こえる。3日のゲームでエンゼルスを破り、4勝目をあげたタイラー・グラスノー投手は大谷選手を次のように評していた。“He's very impressive. Carries himself well. Ginormous human being,” Rays ace Tyler Glasnow said. “He's a good player, for sure."
ginormous とはあまり目にしない語彙だ。かつて辞書を引いたことがあるだろうか。覚えていない。ないのではないかと思うが、記憶に残っていないだけのことかもしれない。辞書を引くと「途方もなく巨大な」という意味が載っている。enormous と似た意味か。体格の立派さだけをほめた表現ではないだろう。パワーやスピードさらにはたたずまいをも含めて並外れたプレーヤーであることに敬意を表した言葉だろう。
この項をアップしている木曜日の今、テレビでは大谷翔平君がマウンドに立ち、コントロールに苦しみながらも好投を続けている。このゲームはピッチングに専念するようだ。
- Comments: 0
「圧迫感」に「压力」と「プレッシャー」
- 2021-05-04 (Tue)
- 総合
動くに動けない Not so Golden Week! 早朝・午前の大リーグ生中継がそうした憂き身を癒やしてくれている。日本人離れしたスーパースター、大谷翔平君の活躍が楽しみだ。
好事魔多しという故事成語を思い出した。翔平君が前日の試合で右肘に投球を受け、絶叫した。4日(現地3日)の試合でマウンドに立つ予定だったが、痛みが消えず、登板を回避することになった。幸いDHとしての出場は大丈夫なようだ。打棒に期待しよう!
◇
韓国語を学習していて助かると思うのは日本語のように主として英語由来の外来語を比較的多く取り入れていることだ。ショッピング、チェックアウト、インターネット・・・。話す場合にも楽だし、聞いていてもだいたい理解できる。日本語の発音とは微妙な差異があるものの、似てはいる。外来語の音に頼らず自国の語彙で「翻訳」して外来語を取り入れようとする中国語との違いは際だっているように見える。
韓国語の読本を読んでいて、「~してさしあげます」という意味合いの表現について一つ二つ学んだことがある。例えば目下の者が目上の者に「飲み物を買ってきてさしあげましょう」というケース。韓国語では何の違和感もなく、むしろ推奨される物言いだが、これをそっくり日本語に置き換えて連発して表現すると、日本人には「圧力」に感じられるという指摘が載っていた。読本では「圧力」と表現されていたが、要するに「プレッシャー」だ。「プレッシャー」は日本語の日常会話で十分に市民権を得た表現になっているかと思う。
ネットで調べてみると、「プレッシャー」に対する表現は韓国語では「圧迫感」に当たる「압박감」という言い回しが使われていた。日本語のように何から何まで外来語を易々と受容しているわけではないということか。中国語では「压力」(yālì)という表現が「プレッシャー」の訳語として辞書に出ていた。日本人には簡体字に違和感はあっても理解はできる。
上記の文章。「飲み物を買ってきてさしあげましょう」は韓国語では「음료수를 사다 드리겠습니다」となると載っていた。韓国語を話す場合にはこの「~してあげます」の形式が推奨されるが、こうした「~してさしあげる」という物言いを連発すると日本人にはプレッシャーとなるので、日本語では「飲み物を買ってきましょうか」といった普通の疑問文の形式で尋ねた方がベターとの指摘はその通りだろう。この辺りは机上の学習だけではなかなか分かりづらい。間違いながら学んでいくしかないが、独学の身では間違いを指摘してくれる第三者がおらず、これは頭の痛いところだ。
NHKラジオの中国語講座を聴いていたら、アシスタント(中国語ネイティブ話者)の一人が番組の終わりに日本語で次のような趣旨のことを尋ねていた。もし次の二つの魔法の内、一つができるとしたなら、どちらを選びますか?一つは飛べること、もう一つは人の心が読めること。日本語が堪能なアシスタントは「(皆さん)飛べたいですか?」と尋ねていた。これはもちろん正確には「飛びたいですか?」だ。だが、流れから聴取者は問題なく理解できたことだろう。
願わくは自分が口にする中国語、あるいは韓国語がせめて「飛べたいです」程度には高く飛び上がって欲しいものだ!
- Comments: 0