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“スワッテクダサイ!”

  • 2021-05-07 (Fri) 11:43
  • 総合

 四月末のブログで大谷翔平君の活躍について次のように記していた。大リーグ関係者が口をそろえて称賛し、監督をして、「彼の今日のプレーを見て楽しいと思わなければ、果たしてあれ以上の何を見て野球を楽しむのだろうか」と言わしめることも凄い。現地のアナウンサーが翔平君のプレーに感動し、日本語で何か絶叫していたが、発音が怪しくとっさには理解できなかった。アメリカの野球に日本語の語彙がますます浸透していくのだろう。
 昨日彼が出場しているテレビを見ていて、上記の絶叫が理解できた。思わず、笑ってしまった。それは「サンシン。スワッテクダサイ」という言葉だった。咄嗟には??だったが、意味合いは類推できた。場面は大谷翔平君が苦労の末に相手打者を三振に切って取ったところ。野球に詳しいアメリカの友人によると、大リーグのゲームでは観客席のファンから敵チームの打者に対し、“Sit down” というヤジがよく飛ぶらしい。
 明らかに翔平君贔屓の米国人アナはこの “Sit down” を「翻訳」して使っていたようだ。乱暴に訳すと「お前になど打てやしない。早くベンチに戻りやがれ」。「スワッテクダサイ」とは何と丁寧な物言いか!日本人野手がホームランを放つと、「サヨナラ」と叫ぶ米国人アナがいる。「サンシン」も耳にしたことがあるような気はする。さすがに「スワッテクダサイ」はない。これから大谷投手が奪三振の山を築いていったら「スワッテクダサイ」がやがて大リーグで普通に聞かれる日本語由来の外来語となるのだろうか。まさか?!
 スカイプを利用した英語教室で現在読んでいる短編小説に野球に関係した表現が幾つか出てくる。タイトルからして “The Catbird Seat” という作品で、今もこうした表現がよく使われるのかどうか知らないが、辞書には「優位な立場」と載っており、“You are (sitting) in the catbird seat.”(君は優位な立場にいる)という例文が紹介されている。“The Catbird Seat” の中では次のような記述があった。–“sitting in the catbird seat” meant sitting pretty, like a batter with three balls and no strikes on him –。スリーボール、ノーストライク(昔風に言うなら、ノースリー)で打席に立つバッターが凄く優位な立場にあることは理解できる。
 今、この項をアップしようとしていて、目の前で翔平君が目の覚めるような大ホームランをかっ飛ばした。今シーズン10号。いやはや、どこかの国でホームランテラス席にやっとこさ飛び込むような情けないホームランとはラベルがいやレベルが違う!
                  ◇
 韓国語の語彙をチェックしていて「顔が広い」という表現に遭遇した。もちろん、これは日本語独特の表現でこれをそっくり韓国語に「移す」ことはできない。韓国語では「顔」ではなく「足(발)が広い」と言えば、「顔が広い」(발이 넓다)という意味になるらしい。なるほど。中国語ではいかなる表現かと調べてみると、こちらは日本語の感覚でいいようだ。「脸大」あるいは「面子大」という表現が「顔が広い」という意味らしい。「脸」も「面子」も「顔」という意味だ。
 英語では日中韓のようなユニークな表現はないようだ。私には単に “He knows a lot of people.” とかあるいは “He is well-connected to some influential people.” などといった何の変哲もない表現しか思い浮かばない。

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