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『謎解きはディナーのあとで』考④

(東川篤哉さん『謎解きはディナーのあとで2』第一章「アリバイをご所望でしょうか」の核心部分に言及しますのでご注意ください。)
  この話における影山の推理の最重要ポイントは、次の点です。お嬢様のお知りになりたいことは、「犯人探し」なのか、「アリバイ崩し」なのか。まさに、この一点です。実は人は、自分は何を知りたいのか(得たいのか)、よく整理できていないうちに考えたりしています。単純なことのようですが、目的を定めて思考することは意外に難しいのです。何を知りたいのかを定めるためには、何がわかっているのかという軸をしっかりさせなければなりません。この場合とて、決して100%犯人が分かっていたわけではないのですが、一応犯人を想定して(これを仮説というのか?)、その軸を動かさずにアリバイ崩しに臨んでところが解決への道になっていました。加えて、嘘をつくのは必ずしも犯人の側ではないという発想の転換も生きていますが、ともかく思考の目的と軸を定めるということが基本中の基本だといえるでしょう。
  原作の「2」の方が、すでにドラマ化されているわけです。書籍の発売からドラマ化までのスピードがずいぶん早くなっているように思われます。月刊「きらら」(小学館)の連載も続いていますし、3月27日にはスペシャルなドラマが放映されるそうで、まだまだ楽しみです。
 

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