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トランプの家

「傾城阿波の鳴門」の謎

 本日(1/31)は西宮北口のプレラホールでセミナー「文楽に遊ぶ」がありました。
 今回は文楽の大道具さん(岡本義秀さん)のお話。東京と大阪では色の塗り方が違うという、面白く貴重な話もうかがうことができました。
 めったに拝聴することができない文楽の裏話を聴かせていただけるこのセミナー、是非続けていただいきたいものだと感じ入りました。
 義太夫=竹本相子大夫さん、三味線=鶴澤清丈`さん、人形=吉田和生さんら演じる「傾城阿波の鳴門」の「順礼歌の段」も見せていただくことができました。豊竹英大夫さんが浄瑠璃解説でする「ととさんの名は十郎べえ、かかさんはお弓と申します」の実演には何度も参加させていただいていたのですが、演目として鑑賞するのは久しぶりでした。
 はたして娘「おつる」は、お弓が実の母親だと気がついていたのでしょうか。そうだとすれば、その後の展開にも別の意味付けができそうな・・・。
 ところで六甲カナディアン・アカデミーの先生方が何人か鑑賞にいらっしゃってました。日本の学校の先生方も多数このようなセミナーに足を運べばいいのにと感じた次第です。
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「勧進帳」の謎

 本日(1/29)の夜、NHKで中村富十郎さんが弁慶を演じる「勧進帳」が放映されてました。富樫は吉右衛門、山伏に染五郎、段四郎・・・幾たびも観てきた演目ですが、これだけの豪華メンバーが出演されていると、新たな鮮度を感じつつ味わうことができました。
 義経を演じる鷹之資(たかのすけ)君が愛らしかったです。鷹之資君のお名前は清酒「白鷹」さんに由来しているとか。(あくまで河内厚郎先生説)。
 ところで、弁慶が読む勧進帳を覗き込んだ富樫は、その時点で山伏が偽者であることに気がついたのでしょうか。そうだとすれば、その後、延々と続く「山伏問答」は何のために行われていたのでしょうか。
 あまりにも有名な古典芸能。サスペンスフルな演目ですが、ミステリアスなものを感じさせる作品でもあります。
幻想 安宅の関―『勧進帳』に夢を見た

「論語」は踊る

 慶應義塾高校で教鞭をとられていた佐久協先生の新著が出ていました。
 『世界一やさしい「論語」の授業』(ベスト新書)です。先生の『高校生が感動した「論語」』(祥伝社新書)は10万部のベストセラーになったとか。今日、それだけ多くの人が「論語」に関心をもっている理由も謎といえば謎です。
 そういえば、先生の『日本一愉快な 国語授業』(祥伝社新書)に、次のような面白いクイズが出ていました。ヒットラー、ヘス、ゲーリング、ゲッペルス、ヒムラーが乗った飛行機が墜落した。いったい誰が助かったのでしょうか? さて答えは・・・。

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落語の中の算術

 桂三枝師匠の創作落語「宿題」には「つるかめ算」などが登場します。師匠の創作の凄いのは、話の中で「つるかめ算」の解法が見事に(しかも面白おかしく)説明されていることです。
 『やわらか頭「江戸脳」を作る和算ドリル』によると「つるかめ算」のルーツは、中国にまでさかのぼることなるようです。
 そういえば古典落語にも「壷算」という演目がありました。一坪だけ買える代金で二坪買えてしまうという不思議な算術が登場します。どうすれば、こんな無茶な計算が成り立つのでしょうか?
 落語の中にも算術(和算)の教養が充分に入り込んでいたのかもしれません。
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ゲーム「源氏香」もあるよ

 計算ではないのですが、江戸時代のお遊びに「源氏香」というものもあります。
 五本の香に順番に火をつけ、同じ匂いのもの当てるというものですが、答えるときに「夕顔」「若紫」などのように「源氏物語」の帖名で解答を示すのです(例えば五本とも同じ香りがしたときは五十三帖「手習」というように)。
 五本の香の答えの組み合わせは、五十六になるそうで、ちょうど「源氏物語」の総帖数より二つ少なくなります。どうやって計算したのでしょうか?
 ちなみに神戸そごうにも入っている「源氏物語ゆかりあられ」を発売している「京都宇治式部郷」のマークは、この「源氏香(浮船)」をかたどったものです。
やわらか頭「江戸脳」をつくる和算ドリル (講談社+α新書)

小町算とは?

 江戸時代に生まれた数学パズルに「小町算」というものがあります。これは吉田光由の『塵劫記』という書物に記されています(江戸時代のベストセラーだそうです)。
 例えば、1+2+3+4+5+6+7+8×9=100のように1から9まで並んだ数を加減乗除して、ちょうど100にするという遊びです。
 これは謡曲「卒塔婆小町」の中の「一夜二夜三夜四夜。七夜八夜九夜、十夜の明の節会にも、九十九夜になりたり」という詞章に由来してます。
 合わせて162通りの答えがあるそうなんですが、現代数学では、如何にしてその組み合わせを計算して割り出すことができるのでしょうか。
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七小町とは?

 また謡曲には七小町といわれる作品があります。
 関寺小町・鸚鵡小町・卒都婆小町・通小町・草子洗小町
雨乞小町(高安小町)・清水小町の七つです。
 廃曲になっている作品もあります。もともとは七作品以上あったそうです。
 何故この七つだけが残ったのか。
 これまた一つの謎です。
 小野小町は舞う―古典文学・芸能に遊ぶ妖蝶

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