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桂三枝の笑宇宙・ファイナル

  4月27日。「笑宇宙」の世界も三枝師匠のお名前で開催されるのは、これが最後です。
 文枝襲名の日(7月16日)が近づくにつれて、三枝師匠の中から余裕や貫禄がにじみ出ているように感じました。前回の最後の三枝まつり(3月4日)のときには、三枝師匠の中に故・枝雀師匠の激しさが感じられもしました。今回は春団治師匠のやわらかさ(はんなりさ)を感じました。上方落語の名人たちの霊気が今三枝師匠に乗り移ろうとしているのかもしれません。
 今日の演目は、聴衆に希望を与えてくれるようなお話でした。「商活・栄町商店街野球部」は商店街を立て直そうとする物語。「誕生日」は米寿の誕生日を祝う話です。特に「誕生日」は、なぜお祖父さんが末っ子の名前だけ言い間違えないのかというサスペンス的なところもあり、またクライマックスのどんでん返しには文学的な一面もあり、実に魅力的なお話でした。まさに文枝の名跡を襲名されようとしている三枝師匠は、落語によって「夢」を語ろうとされているのではないか。そんな気がいたしました。
 三枝師匠は、いったい幾つ創作落語を作られたのでしょうか。125作で一つの区切りをつけられてから、さらに100近い作品は作られているはずです。何とか頑張っていただいて365作作っていただけないものでしょうか。いつの日か「一日一席・六代目め文枝落語」が聴けるときが来るのかもしれません。

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