書籍

『日曜日の散歩者 風車詩社とその時代 精選版』陳允元・黄亜歴編 鳳気至純平訳

『日曜日の散歩者 風車詩社とその時代 精選版』
日曜日式散步者―風車詩社及其時代
黄亜歴・陳允元編 鳳気至純平訳


A5判並製コデックス装、320ページ
定価:本体3500円+税
ISBN978-4-86385-740-7 C0098

装丁 100KG
装画 ウジェーヌ・アジェ〈Le Moulin Rouge〉1911

編者黄亜歴がゲストキュレーターをつとめる企画展が、東京都現代美術館で開催予定!(9/4-12/13)
共時的星叢──時を共にした星たち 越境する芸術のまなざし

いま甦る台湾モダニズム

1930年代、日本統治下の台南に現れ、
初めてシュルレアリスムの詩風を台湾に持ち込んだ
モダン詩人団体「風車詩社」とは――

本書は、ドキュメンタリー映画『日曜日の散歩者』を原案とし、台湾で刊行された『日曜日式散步者(全二冊)』より、主要な詩作および論考を中心に編纂した日本版選集である。

一瞬前の出来事は繰り返されず、次の一瞬には歴史となる。――黄亜歴

 

1945年の終戦後、国民政府による虐殺、白色テロ、それに伴う言語の断絶、死亡、絶筆によって、このシュルレアリスムの風が、戦後も吹き続けることはなかった。次世代のモダニズム運動に直接影響を与えることはなく、一度は歴史の地層に埋もれた、いわば琥珀のような存在となった。1970年代末、風車の詩人たちが再度発見された時、透き通った固形状の液体には、1930年代の若々しい時代のエスプリが輝いていた。(「序:前衛の反響」より)


2026年9月発売

<目次>

日本語版 序文

第一部 瞑想する火災:作品/解説

序 陳允元「前衛の反響」

一、現実の傾斜で発光するオーロラ:風車詩社作品選
楊熾昌「日曜日の散步者」(全18篇) 略歴/詩/小説/評論
李張瑞「恋愛詩」(全28篇) 略歴/詩/小説/評論
林修二「黄昏」(全17篇) 略歴/詩
張良典「星のない夜」(全5篇) 略歴/詩
戸田房子「風車の庭」(全6篇) 略歴/詩
福井敬一「風車の友」 略歴/作品

二、閲読の複数ルート
楊佳嫻「尖塔のつむじ風:中国文壇とシュールレアリスムの出会い」
施 淑「風車の左」
印 卡「人を惑わす空気のような果実──風車の環境界について」
港千尋「越境する蝶――水蔭萍から立石鐵臣へ」

第二部 世界からの電波:思潮/時代/反響

一、連続発信される高強度の信号、「時代形/声」
(一)先鋒の声
マリネッティ「未来派宣言」
トリスタン・ツァラ「ムッシュー・アンチピリンの宣言」
アンドレ・ブルドン「シュールレアリスム宣言(一九二四年)」
平戸廉吉「日本未来派宣言運動」
北園克衛、上田敏雄、上田保「A Note December 1927」
無署名(春山行夫)「『詩と詩論』創刊号後記」
北川冬彦「新散文詩への道」

(二)蜿蜒なる銀河:ヨーロッパ・日本のアヴァンギャルド詩選
ギョーム・アポリネール、マックス・ウェーバー、ポール・エリュアール、アンドレ・ブルトン、ジャン・コクトー、林修一、楊熾昌、神原泰、萩原恭次郎、高橋新吉、上田敏雄、西脇順三郎、安西冬衛、北川冬彦、春山行夫、北園克衛、竹中郁、瀧口修造、山中散生、村野四郎

二、時代の形/声
方婉禎「文学/脳髄を燃やす火種」
岩本憲児「映画/戦前日本の欧州アヴァンギャルド映画」
張世倫「カメラ/新興写真のモダニティリフラクション」
謝仲其「音声/風車詩社と戦前音響芸術」

三、反響:ドキュメンタリー映画『日曜日の散歩者』
陳平浩「コクトーの手、水蔭萍の脚──黄亜歴『日曜日の散步者』におけるドラマ部分と再現について」
孫松栄「死して再び咲く花:『日曜日の散步者』のモンタージュ思想」
黄亜歴「後記 片隅の瞳」

年表

<編者プロフィール>

陳允元(チン・インゲン)
1981年台南生まれ。国立台北教育大大学台湾言語・文化学科副教授。専攻は日本統治期台湾文学、台湾近現代詩、台湾跨語世代文学、台湾文学ドキュメンタリー等。共編著に『日曜日式散歩者:風車詩社及其時代』、『文豪曾経来過:佐藤春夫与百年前的台湾』、『共時的星叢:風車詩社与新精神的跨界域流動』、『陽光升起的所在:向陽研究十八論』、『暗房与光:台湾白色恐怖詩選』等がある。

黄亜歴(ホアン・ヤーリー)
台湾インディペンデント映画プロデューサー。映像と音声の関係、延伸性に関心を持つ。近年は過去の台湾をテーマとしたドキュメンタリー制作に取り組んでいる。歴史の探求、検討を通じて、ドキュメンタリーの解釈の可能性について考えながら、台湾とアジア、世界との関係について省察を試みている。初の長編ドキュメンタリー作品は『日曜日の散歩者』。

<訳者プロフィール>

鳳気至純平(ふげし・じゅんぺい)
1979年横浜生まれ。国立成功大学台湾文学科博士、現在は国立高雄科技大学応用日本語学科助理教授。専攻は日本統治期台湾文学、台湾近現代史、台湾漫画研究等。著書に『日治時期在台日人的台湾歴史像』、共著に『台南文学史』、訳書に『日本統治期台湾野球史のアルケオロジー:「国球」誕生前記』(日本語)、『物見台湾:再版台湾史料集成』、『高雄史料集成第八種 躍進高雄全貌』、『日本政治史:形塑現代日本的力量』、『台湾原住民族音楽的研究:比較音楽的考察』、『台湾蕃政志』、『我的体育生活:張星賢回憶録』他多数。