書籍

『食人だけが私たちをひとつにする オズワルド・デ・アンドラーデとブラジル・モダニズム』居村匠

『食人だけが私たちをひとつにする オズワルド・デ・アンドラーデとブラジル・モダニズム』
居村匠

四六判、上製、246ページ

予価:本体2,300円+税

ISBN978-4-86385-747-6 C0095

装丁 木下悠

 

食人の思想を介して〈私たち〉がひとつになることは可能か?

1822年にポルトガルから独立したブラジルだったが、20世紀初頭の時点でも意識の上ではいまだ西洋に従属していた。そんななか、オズワルド・デ・アンドラーデらブラジルのモダニストたちは先住民(トゥピナンバ)によるかつての食人儀礼を呼び起こすことで精神の隷属的な状況の刷新を試みる。その思想はアートをはじめとして、のちのブラジル文化に多大なる影響を与えることになる。〈私たち〉のありうべきイメージを自ら創造し、植民地主義的な構造を食い破る画期的著作。

 

「それぞれの特異性を保持したまま、非全体主義的なかたちでひとつになること。私たちはオズワルドとブラジル・モダニズムの歴史的意味を明らかにしたうえで、食人の思想の現代的な意義をも提示する。たかだか修辞にすぎない食人が、私たちに働きかけ、変化させ、ひとつにするような地点を見つけること。本書はその可能性を読み解いていく」(「はじめに」より)

 

2026年12月刊行予定です。

 

【目次】

はじめに

第1章 ブラジル・モダニズムとは何か その範囲と対象

第2章 モダニズムの導火線 「アニータ・マルファッティ モダン絵画展」をめぐって

第3章 ブラジル・モダニズムの「始まり」 近代芸術週間とモダニズム雑誌

第4章 ネイティブであること ブラジル再発見の旅から「パウブラジル詩宣言」へ

第5章 生の抑圧に反対して 三つの視点から見る「食人宣言」

第6章 カライバと「閾に立つ」食人者 「食人宣言」における「私たち」

第7章 《黒人女》から《アバポル》へ タルシラ・ド・アマラルにおける人種・階級・ジェンダー 

第8章 「ナショナル言語」の構築 マリオ・デ・アンドラーデにおける実用的アクション

第9章 「機械」としての食人者 オズワルド晩年の食人の思想

おわりに 

付録 「ナショナル絵画のために」「パウブラジル詩宣言」「食人宣言」(オズワルド・デ・アンドラーデ)
 

【著者プロフィール】

居村匠(いむら・たくみ)

1991年生まれ。秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科助手。神戸大学大学院人文学研究科博士課程修了。論文に、「オズワルド・ヂ・アンドラーヂ「食人宣言」分析 三つの分類と法概念を中心に」(神戸大学『美学芸術学論集』15号)、「オズワルド・ヂ・アンドラーヂの批評におけるブラジル性について」(『美学』70巻2号)、「食人者のスタンス オズヴァウヂ・ヂ・アンドラーヂにとって宗教とは何か」(『表象』16号)など。