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笑える愚かさと笑えない愚かさ

  • 2018-12-13 (Thu) 19:51
  • 総合

 ケーブルテレビだかで公開中の映画の案内広告が流れた。大好きなイギリスのコメディアン、ローワン・アトキンソンの最新作の紹介だ。これはぜひ観たくなった。邦題は「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」(原題は “Johnny English Strikes Again”)。「ミスター・ビーン」でお馴染みのコメディアンの最新作ならばぜひ見なくてはと思っていた。
 それでそろそろ行かずばと改めて上映時間をネットでチェックすると、13日で上演終了と出ていた。あちゃ、明日で終わりかよ。それで本日、早起きして映画館に足を運んだ。上映時間の直前に上映ルームに入ったら、なんと客は私一人だけ。その後3人がポツンポツンと加わったが、これだけ閑散とした上映に居合わせたのはおそらく初めて。
 英国の諜報機関MI7の現役スパイの身元がサイバー攻撃で全員暴露され、危機に瀕した英政府が取った最後の手段がすでにスパイ活動の第一線から引退していたアトキンソン演じるとんまなスパイのジョニー・イングリッシュの再雇用。例によって至るところでドタバタの失態を仕出かすが、結果的に彼の旧式の作戦が最後には功を奏す。英首相をエマ・トンプソンが演じていて懐かしかった。とはいえ、作品自体は正直いまいちの印象を受けた。爆笑のシーンもそれほど多くはなかった。なるほど、この映画が本日で上映が終了するのも何となく理解できた次第だ。アトキンソンを起用するならもっと爆笑物ができたのはないかと思わざるを得ない。もったいない!
                  ◇
 アメリカではトランプ大統領の弾劾の可能性も急浮上しているようだ。大統領といえども、師走の風は一段と肌寒いことだろう。国際社会にとっては衝動的で予断を許さない言動に出る大統領の権威失墜は「朗報」に違いないが、打開策が見え始めたかと思われた北朝鮮情勢を考えると、少し複雑な心境にはなる。
 トランプ大統領の口から出る発言はしかし、我々英語学習者には参考になることも事実。最近の例では解任したレックス・ティラーソン前国務長官のことを以下のようにこき下ろした。“Mike Pompeo is doing a great job, I am very proud of him. His predecessor, Rex Tillerson, didn’t have the mental capacity needed. He was dumb as a rock and I couldn’t get rid of him fast enough. He was lazy as hell.” (Japan Newsより)
 ティラーソン氏は “mental capacity” がなかったと蔑んでいる。「知的能力」とでも訳すのだろうか。“dumb as a rock” や “lazy as hell” ——。辞書で改めて調べなくとも、それぞれ「岩石のように愚鈍」「信じ難いほど怠惰」などといった意味合いだろうと何となく類推できる。かくまでこき下ろされたティラーソン氏の心中や如何に。
 年内には政権の中枢、ジョン・ケリー首席補佐官が辞任する運びとか。自らの意思によるものか事実上の解任か、その両方かもしれない。ケリー氏は敏腕記者がトランプ大統領の政権内幕を描いた本の中で、大統領のことを陰で再三 “an idiot” (ばか)と呼んでいたと報じられている。ケリー氏自身はこれを否定しているが、大統領の知力や手腕を称賛する声が聞こえてこないのは不思議と言えば不思議な話ではある。

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