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類は友を呼ぶ?

  • 2017-07-30 (Sun) 11:34
  • 総合

 トランプ米政権の中枢部が大揺れに揺れているようだ。今度はChief of Staffと呼ばれる大統領首席補佐官のラインス・プリーバス氏が辞任した。報道によると、事実上の解任だとか。首席補佐官は大統領の最側近として政府内の調整や議会対策を取り仕切る要職。
 背景にはホワイトハウスの新広報部長に任命されたばかりのアンソニー・スカラムチ氏との確執があると報じられている。スカラムチ氏はニューヨークのウォール街で巨万の富を得たビジネスマンであり、大統領とは肌が合うようだ。スカラムチ氏はプリーバス氏が政権内部の極秘情報をメディアにリークしている張本人であると非難した上で、プリーバス氏の人格を痛罵した。プリーバス氏が “f------ paranoid schizophrenic”(精神分裂症の偏執狂的なくそ野郎)であり、“The fish stinks from the head down. I can tell you two fish that don’t stink, and that’s me and the president.” (奴は魚同様、頭から腐る。腐ることのない魚は私と大統領だけ)と。いやはや、凄い広報部長のご登場だ。
                 ◇
 『中国語のしくみ』(白水社 池田巧著)を読んでいる。新書版で150頁に満たない本なので図書館ですっと手が伸びた。これまで独学してきたことが改めて確認でき、興味深く読み進めている。その中でこれはぜひメモしておかなくてはと思った個所があった。「判断する文のしくみ」と題した項で基本的動詞の「是」の働きを説明した次のくだりである。
 さてこの‘是’は「AはBである」の「~である」に相当することばですが、面白いことに‘是’を使った文は、話し手の判断による叙述なので、内容は必ずしもA=Bという等価の関係にあるとは限りません。他是庆应大学,我是立教大学。「彼は慶応大学で、僕は立教大学です」。僕と立教大学は等価の関係ではありませんが、こんな言いかたも可能です。日本語と似ていますね。
 上記の言い方は日本語では「ウナギ文」と呼ばれるものだ。学生が英語を学ぶ上で戸惑うポイントでもあり、私は授業では次のように語っている。
 日本語は中国語や韓国語と同様に、「話題優越型言語」(topic-prominent language)であり、文頭に主語がくることもあれば、主題あるいは話題がくることが多いという特色がある。特に「~は」という場合は主題であることが多い。いわゆる「ウナギ文」がその典型だ。レストランで食事を注文する時に、「僕はウナギだ」と言う場面。この文章をそのまま “I am an eel.”と表現したら、奇妙なことになってしまう。同様に、「私はビール」という注文を “I am a beer.” と言ったら驚かれるだろう。レストランなどで食事を注文する時に、「僕はウナギだ」と言う場面でもこの「僕」は主語ではなく、主題である。「僕はと言えば、ウナギを注文する」という意味だ。だから英語に訳したとしたら、“As for me, I’ll have eel.” や “As for me, eel please.” であり、「私はビール」ならば、 “As for me, I’ll have beer.” とか“As for me, beer please.” となるだろう。皆さんが英語を話そうとして、「私は・・・」 (“I …” )と始め、言葉に詰まったら、“I …” の直後に “As for me, …”と続ければ、おそらく自然な英語の文章になるかもね。
 嗚呼今日も暑そうだ。机の温度計は早朝から30度を上回っている。そういえばウナギ、久しく食べていない!

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