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「アイ シンク」では「沈んで」しまう!

  • 2016-06-20 (Mon) 10:59
  • 総合

 先週末、新聞社勤務時代の後輩が東京から出張して来た。夕刻に中洲で会食した。久しぶりに再会した後輩は逞しい中年の男になっていた。断酒中の身とはいえ、こういう再会の場では酒を共にするのが礼儀というものだろう。彼が注文した焼酎のロックを私も2杯ほど傾けた。五臓六腑にしみた。もつ鍋をつついて、仕上げに炊き込みご飯のようなものを頂いた。これがことのほか、美味だった。普段の食事が貧相なことの裏返しか。いや、福岡の食事の美味さを物語っているのだろう。割り勘のつもりだったが、気のいい彼が先にレジに立って支払ってくれた。ありがとう。
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 日曜日。読売新聞にさっと目を通す。暮らしの面みたいなところで手がとまった。座って本を読め、かつ、ビールや焼酎を飲んでもOKというユニークな書店が増えているという記事だった。今の私には「ノー・サンキュー」だが、集客作戦としては悪くないかもしれないと思いながら読んだ。手がとまったのは飲みながらの読書のユニークさではなく、紹介されていた書店の名前ゆえだった。
 最初に目についたのがメインの写真。ゆったりした雰囲気のフロアでお客が飲みながら読書している写真が添えられている。『ビールや焼酎を飲みながら本を読むことができる「リシンク ブックス」(福岡市・天神で)』という説明文が見える。本文を読まなくても、書店名は英語の「rethink」という語から命名したのだろうと推測できた。
 本文では果たせるかな、冒頭に書店名が「Rethink Books」と英語での表記も紹介されていた。rethink は「再び考える、再検討する」という意味。記事の中でも「本を通して身近なことや世界のことを捉え直してほしい」との思いから、書棚に並べる本の選書をしているという。さて問題は店名のカタカナ表記。私にはリシンクのシンクが気になって仕方がない。あの台所の「流し台」が頭に浮かんでしまうのだ。こちらは英語だと sink 。think と sink は意味も発音も異なるが、カタカナ表記では区別が難解。sinkは正確にはスィンクの方がベターだが、think の語頭の音は日本語にはない発音だから、始めからカタカナ表記には無理がある。そんなこんなを改めて考えさせられた。
 最近では小学校からの英語教育の波を受け、多くの新聞社が普段の紙面で児童向けの英語に関する紙面を作っているようだ。その際、発音の参考にはカタカナ表記が用いられているかと思う。カタカナ表記が「諸刃の剣」とならなければいいがといつも思っている。
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 韓国語はこのところ、『新・至福の朝鮮語』(野間秀樹著・朝日出版社)という入門書にお世話になりながら、学習を続けている。第1章の朝鮮語(韓国語)の特質の解説の中で、ともに膠着語である韓国語と日本語の類似性が記されている。この両言語は「(飲食店で)ぼくはうどんだ」などと表現できる「驚くべき類似」性を有しているとの由。なるほどと合点した。レストランで「私はビール」という注文の類を “I’m a beer.” などと英語に直訳しても、日本人にしか通じないジョークとなる。韓国語でも実際にそう言えるのだという。ここまで似ているのなら、学び甲斐があるというものだ。

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