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英語はリズムで

  • 2016-05-07 (Sat) 10:33
  • 総合

 この連休期間中に読んだ本で有益だったものを二冊記しておきたい。語学学習者にはとても参考になる書だ。私には大いに参考になった。
 最初の一冊は英語学習に関する『英語は「リズム」で9割通じる!』(青春出版社)という本。著者は英語教育に明るい竹下光彦氏で、2013年の発行。竹下氏は英語の発音や文法にあまり拘ることなく、むしろ心がけるべきは「正確なリズム・アクセント」であり、それを正すだけで驚くほど英語の会話力がアップすると訴えている。
 例えば、can, can’tという助動詞の入った文章。著者は次のように指摘する。——注意することは、can の場合、会話では「キャン」という発音が「クン」のように聞こえるケースもあるということです。ゆっくり発音するときは「キャン」となりますが、日常会話の速さで話されるときは、ほとんど「クン」と聞こえます。一方、「できない」という意味のcannot「キャノット」、can’t「キャーント」は、いつでも強くはっきり発音されます。ですから、「アイ・キャーン・カム」のように聞こえたら、それは I can’t come.(来られません)の意味であることが多いのです。逆に、「アイ・クン・カム」のように、canがはっきり聞こえないときは、I can come.(来られます)の意味であることがほとんどです。——
 上記の指摘は実際に日本人がよく戸惑うことだ。著者はまた英語を話す際には「腹式呼吸法」での発声を推奨する。——日本人の発声法はどちらかというと胸式呼吸をする人が多く、歌でいえば鼻歌のように聞こえる話し方をする人が大半です。この場合、どうしても調音点(音を作り出す器官の部位)での音階が高くなり、自信を持って話しているように聞こえません。英語のネイティブの発声を聞いていると、腹式呼吸の人が多く、音程も低いので、とても自信たっぷりに聞こえます。——。私も全く同感だ。ディープな発声の英語を聞いていると、内容がたいしたことがなくとも、聞き入ってしまう。私は腹式呼吸の発声はできない。
 もう一冊は韓国語の学習関連書で『韓国語をいかに学ぶか 日本語話者のために』(平凡社)。著者は大学の先生で野間秀樹氏。2014年の発行だから最近出された書と呼んでいいだろう。例えば「丁寧な表現」に関して次の指摘。著者は「―//―이요イヨ」という韓国語で頻出する文末の語を「丁寧化のマーカー」と呼んでいる。
 韓国語と日本語では表現に次のような差(丁寧化のマーカーのこと)があることになる。そしてこの違いは、実際の<話されたことば>では大変な頻度で現れているわけである。日本語に見られない、韓国語に特有の、この丁寧化のマーカー ―요/―이요 は、学習にあたっては、その圧倒的な使用頻度の点に鑑みても、日本語との表現の違いに鑑みても、当然のことながら、初級の早い段階で導入するのがよい。<話されたことば>の実際の言語場において自然なやりとりができるかどうかの、決定的な肝となるものである。
 この説明で疑問点が解消した。韓国語のテレビドラマを見ていて、「정말이요チョンマリヨ?」(本当?)という表現を何度も耳にするのだが、そういう「丁寧化のマーカー」については認識していなかった。この他、これも頻出する間投詞のチョ(あのう)とか저기요チョギヨ(あのう、すみませんが)などの大切さも詳述されていた。著者はこうした間投詞を「前置き表現」として呼んでいるが、既存の韓国語の学習書ではおろそかにされている事柄だという。

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