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こういう like の使い方も

  • 2015-11-28 (Sat) 18:11
  • 総合

 韓国のドラマを見ていて、時々あまりにも日本語と酷似した発音の語(表現)が出てきて驚くことがある。最近では「有酸素運動」(유산소 운동)という熟語。これは字幕を見るまでもなくすぐに理解できた。私の耳には「ユゥサンソウンドン」と聞こえたからだ。いや韓国語は정말 재미있어요.チョンマル チェミイッソヨ(本当に面白い)と思わざるを得ない。
 ドラマも面白い。面白いのだが、同じ俳優がしょっちゅう出てくる印象だ。それも子供が赤ん坊の時に入れ替わったりとか、別れ別れになった子が成長後に実の父(母)と知らずに運命の出会いをするといった似通った筋立てのものが多く、またあまりにも「出来過ぎた」設定に辟易することもあるが、それでも見入ってしまうから不思議だ。
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 上田秋成(1734-1809)の『雨月物語』を読んだ。タイトルがいい。以前からずっと読んでみたいと思っていた作品だった。時々手にしている日本の名著を推奨した解説本『大人のための日本の名著50』(木原武一著)にも読むべき50冊の一つとして挙げられている。現代語訳がついてはいたが、原文だけでも大方は推測しながら読み進めることができた。この夏に読んだ平安時代の『伊勢物語』は古文の専門家の現代語訳がなければ歯が立たなかったが、江戸時代も18世紀後半に下るとさすがに現代日本語に近くなるようだ。
 『雨月物語』は9編から成る怪異小説集だ。印象に残っているのは「菊花きくくわちぎり」。出雲の国(島根県)の武士が病に倒れた播磨の国(兵庫県)で清貧の武士の世話になる。兄弟同様の友人となった出雲の武士は再会を約して帰郷するが、ある事情から囚われの身となり、約束を果たせそうにない。そこで彼が選んだのは自刃だ。「人、一日に千里を行くことあたはず。魂よく一日に千里をも行く」との教えを信じたからだ。冒頭に「交はりは軽薄の人と結ぶことなかれ。楊柳茂りやすくとも、秋の初風の吹くに耐へめや。軽薄の人は交はりやすくして、また速やかなり。楊柳いくたび春に染むれども、軽薄の人は絶えて訪ふ日なし」とある。一読、すっと腑に落ちる文章だ。これほど真摯な友がいる人は幸せ者だろう。
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 前回の項で、“English as a Second Language” という本について書いた。その後ネットで調べると、私のように感じた人は少なくなかったようだ。 “God, this book was horrible.” “Simply put, it's terribly written.” などといった手厳しい書評が目についた。まあ、私もかつて出した紀行本などがどう読者に受け取られているか自信はない。そういう意味では、上記の本の著者にいささか同情の念を禁じ得ないこともないが・・・。
 なお、この本に感謝していることがないではない。次のような文章に出くわし、あ、これは大学の授業で学生に説明する格好の材料となると考えたからだ。その文章とは “Like you could get into Oxford,” Evan said dismissively. というもの。オックスフォード大学の大学院に留学を考えていると語るヒロインに、エバンという名の元カレが嫉妬もあり、このように冷たく言い放つのだ。こういう文章がすっと「腑に落ちる」人の英語力は頼もしいかと私は思う。(解説は続で)

 この like は日本人には少しやっかいな like だと思う。 “Like you could get into Oxford,” Evan said dismissively. で説明すれば、「お前さん、オックスフォード大に留学できるのがいとも簡単にできそうに言ってるが、私にはとてもそうは思えないんだよね」という感じのlikeだ。As if でも同じニュアンスが出せるかと思う。次のようなやり取りが頭に浮かぶ。
 A: “How was the food at the new restaurant?”
  (新しいレストランでの食事どうだった?)
 B: “Oh, it was terrific.(凄く美味かったよ)
 A: “Really? I’d like to go there sometime in the future.”
  (本当? 私もいつか行きたいわ)
 B: “I’d take you anytime if you wish.”
  (いつでも連れていってあげるよ。行きたければ)
 A: “Like you could do so easily. You could eat there because your father was with you.”(あら、偉そうに言ってるわね。あなたは父親のご馳走になっただけのことでしょ)

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