Home > Archives > May 2023

May 2023

再び ChatGPT

 一見、万能にも思える生成AI(人工知能)を今後どう処遇していくのかが日本を含めた国際社会の大きな問題となっているようだ。インターネット上の膨大なデータを駆使して、人が書いたような自然な文章、さらには精緻な画像を作ることができるAI。最近では対話型AIサービス「チャットGPT」が広く知られるようになっている。
 火曜日の夕刊を読むと、永岡文科相が閣議後の記者会見で、学校現場での取り扱いを示すガイドライン(指針)について、「夏前をめどに策定、公表したい」と述べたとか。夏休みには学校から作文や読書感想文といった課題が出され、生成AIが悪用される懸念もあり、夏休み前に公表したい思惑のようだ。夕刊の記事は生成AIを「作文などで悪用されると、教員らが見抜くのが難しいという指摘がある」と書いている。
 数日前のCNNの記事では米ハリウッドのシナリオライターたちの集まりである全米脚本家組合(WGA)が報酬の増額を求めてストライキに出たことが報じられていた。実は脚本家たちが憂えたことの一つに生成AIの台頭も上げられていた。生成AIが彼らの仕事の領域を「浸食」することを危惧しているからだ。AIがシナリオを書く時代が到来し、ライターが不要になるのではないかと。さらにこれまでの作品自体が生成AIの「土壌」として活用されることになり、何らかの規制・歯止めが喫緊の課題だと訴えた。
 私は3月中旬の項で「ChatGPT」について書いた。その時は英語版だった。次のような他愛ないエピソードを紹介した。私がパソコン上で “Give me a very funny joke within 100 words or so.” と求めると、最初のジョークはそうでもなかったが、二つ目、三つ目のジョークは割と面白いものが提示された。テーブルスピーチに織り交ぜることもできるような面白さだと感じた。驚いたのはそのスピード。瞬時に打ち返しがあったのだ。
 それで、日本語でも凄いのだろうなと思い、日本語版にアクセスしてみた。
 私  面白いジョークを100語以内で述べてくれますか?
 GPT ある日、おばあさんが銀行に行き、窓口でお金をおろしたいと言いました。窓口係の人が聞いた「いくら引きおろしますか?」という質問に、おばあさんは答えました。「今日はおしめ代が必要なので、5000円お願いします!」。おばあさんのユーモアのある回答に、窓口係の人も思わず笑ってしまいました。どうでしょうか?お楽しみいただけたでしょうか?
 正直全然面白くないとGPTに伝えた。するとGPTは丁重に謝罪し、この後、続けてジョークを書き送ってきたが、そのどれもが面白くもなんともない。私はあきれ果て、失礼だとは思いながら、「あなたはあまりユーモアのセンスがありませんね、正直言って」と伝えた。GPTは「申し訳ありません。ジョークのセンスは主観的なものであり、個人によって受け取り方が異なることもあります。私は人工知能であり、ユーモアのセンスは人間とは異なる場合があります。ご期待に添えず申し訳ありませんでした」と返してきた。これも瞬時に。
 まあ、他愛ない笑い話の類だったら、我々も十分GPTに抗して行けるのではないかと思うが、最新の科学的データや古今東西の数多くの文献に基づく文章を書くことが求められると太刀打ちできないのではという気がする。便利なそして恐ろしい時代の到来か!

He was nothing if not vulgar as usual.

 毎朝の日課、キリスト教の祈祷書(daily devotions)“Walking in Grace 2023” を読んでいて、次の表現に手が止まった。-- I still remember the look the gal at the bank gave me when she asked me my occupation and I proudly said, “I run cows.” -- the gal at the bank とは「銀行の窓口業務嬢」ぐらいの意味合いだろうとは推察できた。ただgal という語は久しく目にしていなかったので、念のため辞書で確認した。 
 (若くて活発・陽気な)女の子、ギャル(girl)」という意味が載っている。発音(母音)が異なるが、「カモメ」という意味のgull という語に似ていることも思い出した。
 NHKラジオの中国語講座。「国破れて山河あり」という我々日本人にもよく知られた中国・唐の詩人の言葉が紹介されていた。広辞苑には「戦乱のために国都長安は破壊されたが、その周囲の山河は昔の姿そのまま存在する、との感慨の言葉」と記してある。私はこの言葉を幾度となく目にして中国語での発音も覚えた(つもりでいた)。しかし、今回改めてそうでないことを自覚した。中国語では「国破山河在」。問題は「破」の発音。po という音は覚えていたが、声調は? ↘と下がる第四声の音であることはすっかり忘れていた。
 上記のような年齢による記憶力の劣化はいかんともし難いのだろう。乱暴にカタカナ書きすると、「グオポーシャンフーザイ」となる「国破山河在」に続く詩句を私なりに考えるとすると、以下のように続けたくなる。「我死世间续」。「私が死んでも世の中は続いていく」。「続いていく」は「继续」(継続する)と書くのが正しいことは知っているが、前の句と「釣り合い」が取れないので「续」の一字だけにした。「国破山河在。我死世间续」。まあ、これは杜甫先生でなくとも今の中国人に「こんな文章はない」と笑い飛ばされることだろう。
                  ◇
 顔も見たくない、声も聞きたくない人物が一人だけいる。面識はない人物だ。あのトランプ米前大統領だ。それでも、どうしても目にし、耳にすることになる。米社会・政治で今なお大きな影響力をふるっており、米メディアにしばしば登場するからだ。正確には共和党支持者の中でも頑迷な右派層に属している人々の間で今も人気と記すべきだろうか。
 つい最近もトランプ氏が大きなニュースになっていた。どうやら、CNNが米北東部の町でトランプ氏のタウンミーティング(対話集会)を主催、放映したらようだ。私は見たくもないので詳しくは知らないが、「信頼できる米政治のニュース源」として重宝しているニューヨーカー誌のコラムニスト氏が定期コラムで酷評していた。
 ベテランジャーナリストのスーザン・グラッサー氏のコラムの見出しを読んだだけでだいたいのことは推察できた。“Don’t say you haven’t been warned about Trump and 2024”
 私はCNNがトランプ氏に今なお彼の支離滅裂の主張を一方的にまくし立てる場を与えたことに驚いた。視聴率を狙っていたのだとしたら、CNNも地に落ちたと言わざるを得ない。グラッサー氏も “A lying liar is going to lie. Trump is nothing if not consistent in that.” と切り捨てていた。nothing if notという語句は過去に辞書で何度調べたことか。二重否定だから veryと同じ意味に戻る。「トランプ氏が嘘つきの権化であることに関しては昔も今も偽りなく一貫していた」。ほめているのではない、もちろんのこと。

カミラ王妃?!

20230509-1683605042.jpg 先月末、とあるクリニックに足を運んだ。帯状疱疹の痛みが一向に収まらないからだ。発症して以降、4軒目のクリニック訪問となった。尊敬する先輩からそこでは私の症状を緩和してくれる錠剤が入手可能かもしれないと告げられていたからだ。果たせるかな、その錠剤を頂いた。
 とても親切な医師でコロナワクチン接種の危険性、接種後の数々の後遺症について色々と説明してもらった。そうしたことを詳述した書籍も何冊か頂いた。ゴールデンウィーク期間中に読ませてもらった。「目から鱗」とでも表現すべきなのだろう。多くのことを学んだ。そして今改めて思っていることは、コロナワクチンは接種する必要はなかった、いや、接種してはいけなかった、それは寿命を縮めることになるだけという疑念と悔恨だ。これからは絶対にコロナワクチンの接種は拒絶しよう!
                  ◇
 どこにも遠出しないゴールデンウィークだった。帯状疱疹の痛みを抱えたままでは致し方ない。好きな焼酎もほとんど口にしなかった。まあ、飲む気になれないから、苦ではなかった。テレビでプロ野球を見ていて、何気なくチャンネルをカチャカチャしていたら、英王室のニュースが生中継されていた。チャールズ国王の戴冠式だ。英王室だったら、BBCだろうが、CNNも熱心に報じている。CNNをだらだらと見た。
 私が新聞社のロンドン支局に勤務していた頃はチャールズ皇太子の国王即位と言えば、脳内に??が幾つか浮かんでいたことだろう。当時のそして今もまあたいして変わりないのではと思うが、多くの英国民はエリザベス女王には畏敬の念を抱いていたが、その息子にはそうは好感を持っていないのではと思う。
 CNNテレビを見ていておやっと思ったのは、カミラ夫人が Queen Camilla と表示されていたこと。CNN記者もQueen Camilla と呼んでいた。これまでは彼女の正式呼称は Queen Consort (国王の配偶者)だったのではないか。いつからQueenに格上げされたのだろう。報道によると、戴冠式を境にQueen Camilla と呼ばれることになったのだとか。
 Queen Camilla という呼称を目にし、耳にすれば、当然のことながら、英国民はいや世界中の人々はチャールズ国王の前妻、亡きダイアナ妃のことを思い浮かべるだろう。ダイアナ妃との離婚を招くことになったチャールズ皇太子(当時)とカミラ夫人の不倫関係がダイアナ妃の悲劇の死の遠因となったと見なすことも可能だろう。本来なら自分がそう呼ばれるべきだったQueen の称号がカミラ夫人に与えられていることを、ダイアナ妃は草葉の陰でどう感じているのだろう・・・。まあ今さら詮無きことではあるが。
 CNNテレビを見ていてもう一つ感じたことはウィリアム皇太子の弟であるヘンリー王子が戴冠式で皇太子の列から離れた列に座らされていたこと。妻のメーガン妃が参列していなかったことも目を引いた。さらに、ヘンリー王子は王室から離脱しているから何の不思議でもないのかもしれないが、戴冠式の式典終了後のバッキンガム宮殿でのバルコニーからのお披露目にもその姿が見られなかった。ヘンリー王子一家が安らぐ場所は英国ではなく、居住地に定めたアメリカになるのだろうか。まあこれもどうでもいいことだが・・・。

More...

Home > Archives > May 2023

Search
Feeds

Page Top