書籍

『オビ―』キム・ヘジン

Woman's Best 11 韓国女性文学シリーズ9
『オビー』어비
キム・ヘジン 著
カン・バンファ ユン・ブンミ 訳

四六、並製、248ページ
定価:本体1,800円+税
ISBN978-4-86385-433-8 C0097

装幀 成原亜美(成原デザイン事務所)
装画 宮岡瑞樹

 

この本には、社会への扉がある。
仕事をし、金を稼ぎ、かすかな繋がりの中で会話を交わす。
それは、あなたかもしれないし、私かもしれない。
文学は、社会活動だ。
――山崎ナオコーラ(小説家)

 

『中央駅』『娘について』のキム・ヘジン、待望の短編集。

巨大な物流倉庫の職場で出会った、自分本位で他人と関わろうとしないオビーと、同調することばかりを考える自分との違いに心乱される「オビー」、チキン配達で出会った自殺願望のある男とのやりとりを滑稽に描いたデビュー作「チキン・ラン」、彼女にふられ、あてもなく訪れた公園で老人に誘われ始めたなわとびで、別れた彼女との気持ちを少しずつ整理する「なわとび」、スランプを抱えて筆が進まない語り手と、英語教室で出会った異国の人ワワとの心の触れ合いが行き着く先を描いた「ドア・オブ・ワワ」など、今を生きる不安定な若者たちの仕事や社会との関わりを描いた9編を収録。
 



『オビ―』は、デビュー後の4年間に発表された9つの短編を一冊にまとめた、キム・ヘジン初の短編集である。デビュー作である「チキン・ラン」をはじめ、2016年に「今年の問題小説」の一つにも選ばれた「オビ―」、ハンギョレ出版社の文学ウェブマガジンで連載されていた「真夜中の山道」、ハンギョレ新聞で連載されていた「ドア・オブ・ワワ」などが収録されている。
そこに登場するのは、フライドチキンの配達人や日雇い労働者、露天商や大学生など、もしかしたらどこかで偶然すれ違ったことがあるかもしれない、私たちの周りにごく普通に暮らしていそうな人物たちだ。彼らは、それぞれが常に「何か」をしている。彼らにとってはそれが世界の中心であり全てであるのに、ことあるごとに他人から「何をしているのか?」と訊かれ、「何をしてるんだろう」と自問自答する。彼らは答えを見つけ出そうと、また、自分の置かれた状況から抜け出そうともがき苦しむが、他者からすれば、それは目の端にも留まらないちっぽけな人生に過ぎず、読み手の心をもどかしくさせる。
(訳者あとがきより)

2020年11月下旬全国書店にて発売。
 

【目次】
オビ―
アウトフォーカス
真夜中の山道
チキン・ラン
カンフー・ファイティング
広場近く
なわとび
ドア・オブ・ワワ
シャボン玉吹き
著者あとがき
訳者あとがき


【著者プロフィール】
キム・ヘジン(金恵珍/김혜진)

1983年大邱生まれ。2012年、東亜日報の新春文芸に短編「チキン・ラン」が当選しデビュー。2013年、『中央駅』が第5回中央長編文学賞を受賞、2016年、表題作「オビー」が 「今年の問題小説」に選ばれる。2018年、『娘について』で第36回申東曄(シンドンヨプ)文学賞を受賞。

【訳者プロフィール】
カン・バンファ (姜芳華)

岡山県倉敷市生まれ。岡山商科大学法律学科、梨花女子大学通訳翻訳大学院卒、高麗大学文芸創作科博士課程修了。大学や教育機関、韓国文学翻訳院などで教える。韓国文学翻訳院翻訳新人賞受賞。日訳書にチョン・ユジョン『七年の夜』『種の起源』、ピョン・ヘヨン『ホール』、ペク・スリン『惨憺たる光』など。韓訳書に児童書多数。

ユン・ブンミ (尹朋美)
島根県生まれ。1996年韓国外国語大学ロシア語科卒業後、日本語講師として働くかたわら翻訳の仕事も手掛ける。韓国文学翻訳院翻訳アカデミー特別課程を修了、同院アトリエ10、11期生。『オビー』(カン・バンファとの共訳)が初の訳書となる。