書籍

『惨憺たる光』  ペク・スリン

Woman's Best 9 韓国女性文学シリーズ6
「惨憺たる光」참담한 빛
ペク・スリン 著
カン・バンファ 訳

四六、並製、280ページ
定価:本体1,800円+税
ISBN978-4-86385-367-6 C0097


光は闇の中でのみ煌めくという

苦しみが癒えることはなく、孤独を抱え、それでも、
日々、生きていかなければならない。
光と闇、生と死。心は彷徨いながら揺れ動く。
心のよるべなさを丁寧に掬いあげた初邦訳作家の短編集。

2019年7月上旬全国書店にて発売。

角田光代さん

「すれ違うだけの他者に向けてしか発信できない思いや言葉があることに気づかされる。その言葉と思いとは、理不尽な別れであり、消えないかなしみであり、拭えない恐怖であり、どこに向けていいのかわからない懺悔だ。(……)国籍も年齢も関係なく、私たちのだれもがいかに不安な時代を生きているのかと気づかされるのである。だからこそ、この小説の語り手の決断に安堵するのだし、同意もする。そしてやっと本作のタイトルを深く理解する

(「婦人之友」2019年10月号)

川口晴美さん

繊細な場面の描写や、鋭さを潜ませながらも滑らかな言葉の連なりは詩のようで、カン・バンファの訳文も素晴らしい

(「読売新聞」9月9日)


帯より
私たちの内側はどうしてこんなにも、一寸先も見えない闇なのだろう。
まるで誰も住む者のいない、がらんどうの木の洞(ルビ:うろ)のように。――「ストロベリーフィールド」
私はその明かりが怖くてぎゅっと目を閉じた。そのころ、闇より怖いのは光だったから。――「夏の正午」
先輩の浅黒い手に、白くてもろい雪が静かに、そして永遠のごとくゆっくりと舞い落ちた。――「初恋」
ロベールを送り出してから初めて泣いた。子どものように。
湖畔のただ中、かすかな光のまっただ中で。――「惨憺たる光」

光と闇、生と死。心は彷徨いながら揺れ動く。初邦訳作家の十の短編。


著者プロフィール
ペク・スリン(白秀麟)
1982年仁川生まれ。延世大学仏文科卒。西江大学大学院、リヨン第2 大学で仏文科博士課程修了。短編小説「嘘の練習」(2011年京郷新聞新春文藝)でデビュー。2015年、2017年、2019 年文学村若き作家賞、2018 年文知文学賞、李海朝文学賞。短編集に『ポール・イン・ポール』『惨憺たる光』、中編小説に『親愛なる、親愛なる』がある。

訳者プロフィール
カン・バンファ(姜芳華)
岡山県倉敷市生まれ。高麗大学文芸創作科博士課程修了。韓国文学翻訳院翻訳新人賞受賞。訳書にチョン・ユジョン『七年の夜』『種の起源』、ピョン・ヘヨン『ホール』がある。

 

 

目次
ストロベリーフィールド   
時差   
夏の正午   
初恋   
中国人の祖母   
惨憺たる光   
氾濫のとき 
北西の港   
途上の友たち   
国境の夜

著者あとがき   
訳者あとがき


 

書店員さんからのコメント

「文章がめちゃめちゃ格好いい。どの作品のどこを切り取ってもキマっていて、痺れる。

それぞれの物語の中で等身大にもがきながら、淡々と日常を生きていく彼らの心象は深く、暗い。

その闇が一体どこに向かっていて、希望をどこに見出せばよいのか。考えさせられる短編集」

(文教堂書店青戸店 青柳将人さん)

書評

「統一日報」2019年7月18日 
《著者は「異邦人はどこかに属することができず、人間本来の姿がよく現れる状態」なのだという。その言葉通り、登場人物の内面には微かな震えが常に存在する。〔……〕それでも人は光の中へ出て行こうとする。なれない光に顔をしかめながら。そこに逆説的な著者の希望を見たような気がした》

 

「読売新聞」2019年9月9日 評者=川口晴美さん
《どこにいても異邦人のように寄る辺なく、薄闇に似た悲しみを抱えて生きる人々の心を丁寧に掬い取る10篇。〔……〕繊細な場面の描写や、鋭さを潜ませながらも滑らかな言葉の連なりは詩のようで、カン・バンファの訳文も素晴らしい》

 

イベント情報

『惨憺たる光』(書肆侃侃房)刊行記念 

ペク・スリンさん×柴崎友香さんトークイベント

「文学は光になりうるか 日韓における文学と他者」 

日時:2019年10月5日(土)15:00〜17:00(14:30開場)

場所:本屋B&B(東京都世田谷区北沢2丁目5−2 下北沢ビッグベンビル)

http://www.kankanbou.com/news/archives/63