『ミステリ映像の最前線 原作と映像の交叉光線(クロスライト)』
千街晶之
四六判/並製/312ページ
定価:本体2300円+税
ISBN978-4-86385-582-3 C0095
装画 久保田寛子
ミステリが映像化される際、何のために、
どのように改変されるのか。
アガサ・クリスティー、東野圭吾、横溝正史など、
名作とその映像化のもたらす化学反応の面白さ。
その秘められた意図とは?
【取り上げられた作品】
鍵のかかった部屋/オリエント急行殺人事件/氷菓/屍人荘の殺人/女子高生に殺されたい/貴族探偵/探偵はBARにいる/ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~/誰よりも狙われた男/ジョーカー・ゲーム/キングスマン/天空の蜂/帰ってきたヒトラー/アルキメデスの大戦/お嬢さん/悪魔が来りて笛を吹く/W県警の悲劇/残穢―住んではいけない部屋―/サスペリア/ナイトメア・アリー など
■著者プロフィール
千街晶之(せんがい・あきゆき)
1970年、北海道生まれ。1995年、「終わらない伝言ゲーム――ゴシック・ミステリの系譜」で第2回創元推理評論賞を受賞。2004年、『水面の星座 水底の宝石』で第4回本格ミステリ大賞および第57回日本推理作家協会賞を受賞。著書に『怪奇幻想ミステリ150選』『幻視者のリアル』『原作と映像の交叉光線 映像ミステリの現在形』など、共著に『ニューウェイヴ・ミステリ読本』『本格ミステリ・フラッシュバック』『21世紀本格ミステリ映像大全』『書評七福神が選ぶ、絶対読み逃せない翻訳ミステリベスト2011-2020』など。
<目次>
第一部 謎解きの透視図
密室とパズル―『鍵のかかった部屋』
復讐は雪の夜に―『オリエント急行殺人事件』
救済ある古典部の浄化―『氷菓』
クローズドサークルの二つの顔―『屍人荘の殺人』
操りのピタゴラ装置―『女子高生に殺されたい』
第二部 探偵たちの肖像
探偵と呼ばれる資格―『貴族探偵』
雪の街の探偵―『探偵はBARにいる』
黒い羊の出発―『ハムラアキラ~世界で最も不運な探偵~』
第三部 スパイたちの世界地図
汚水に沈む黄金―『誰よりも狙われた男』
道化師たちの貌―『ジョーカー・ゲーム』
マイ・フェア・ジェントルマン―『キングスマン』
第四部 災厄の歴史年表
予言者と群衆―『天空の蜂』
眠り男の悪夢―『帰ってきたヒトラー』
阿呆船の祭り―『アルキメデスの大戦』
第五部 ジェンダーの縮図
水銀の因果の環―『お嬢さん』
禁忌と境界―『悪魔が来りて笛を吹く』
ガラスの崖と沼の底―『W県警の悲劇』
第六部 恐怖と幻想の俯瞰図
伝染する怪異―『残穢―住んではいけない部屋―』
ドイツの秋、魔女たちの冬―『サスペリア』
地獄の門と隠れ鬼―『ナイトメア・アリー』
【掲載情報】
週刊読書人 9月15日号 評者=秦美香子さん
原作と映像化作品の表現を対等な関係で理解する
「本書を読めば、ミステリの映像化を「原作通り」かどうかだけで評価するのがいかにつまらない行為かがよくわかる。そういう点でも本書はやはり、冒頭に述べた通り、秀逸なミステリガイドブックなのだ」