- 2025-08-10 (Sun) 14:55
- 総合
霧島神宮温泉郷のホテルには結局二泊した。線状降水帯による豪雨で日豊本線の電車がストップしたからだ。バスも動かなかった。タクシーを確保するのも絶望的だった。それで本来なら宮崎に出る日は近くの霧島神宮を参拝してホテルに引き返し、終日、温泉に浸かり、ぼおーと過ごした。霧島神宮は近くといってもそう近くはなく、小雨の降りしきる中、たっぷり30分以上歩かされた。
ホテルは山の中の一軒家といった風情で近くにはコンビニや飲食店はなく、陸の孤島といった印象さえ抱いた。ホテル自体の居心地は悪くなく、泊まり客が自由に使える共通の書斎といった感じの広い部屋もあった。よく事情は分からないが、悪天候が災いしたのだろうか、泊まり客は私の他にはあまりいないようで、温泉をほぼ独り占めできた。こんな経験は初めてのこと。私ごときにはもったいないとさえ感じた次第だ。
そして昨日朝、頼んでいたタクシーで霧島神宮駅に立ち寄った。ひょっとしたら日豊本線が復旧しているのではと願っていたが、だめだった。残る選択肢は一つ。各駅停車の電車ならば走っているというので隣県の都城駅までタクシーを走らせた。料金は12,000円。運転手さんがよくしゃべるお方で、都城駅まで退屈しなかった。
都城駅から宮崎駅への電車はスムーズに動いた。宮崎駅前のカフェでしばしくつろぎ、妹の車に乗って西都の山里深く抱かれた郷里に戻った。実家のお墓に手を合わせ、両親や兄姉に心の中で声をかけた。本来なら懐かしき家の畳に寝転がり、両親の遺影を見上げながら惰眠を貪りたいのだが、事情があってそれはできない。
宮崎市内に戻り、いつも泊まっているホテルにチェックインした。このホテルの大風呂は温泉ではないが、鉱泉湯で電気風呂もあり、私は凄く気に入っている。福岡のアパートの近くにこんな感じの銭湯があるなら、毎日でも利用するのにと思うが、福岡は残念ながら、銭湯文化はない。さて、宮崎にいるのだから、楽しみにしていたホルモン焼きに出かけたいところだが、この一週間以上、美食を重ね、おまけに運動(散歩)不足もあり、体重がちょっと恐ろしくなりつつある。先ほどホテルの大風呂に行き、鏡の前に立ったら、美味そうに肥えた豚が2本足で立っている。驚いて思わず後ろを振り返った。誰も何もいない。鏡をよく見ると、オマガ! 私ではないか。やばいぜよ。そろそろ節制せねば!
それでいつものホルモン焼き店には行かず、疲れていたこともあって、ホテル一階にあるレストランで我慢した。宮崎には3泊ぐらいして別府経由で帰福したいと考えているが、ホルモン焼き店を素通りしていいものか、そんなことができるのか、悩ましい。ホルモンを食べれば当然のことながら、生ビール1杯に焼酎のロック2杯ほどは欲しいところ。ますます豚化が進むではないか。アルコール抜きも可だが、それなら、何のためにホルモン焼き店をのぞくのか。
かくして煩悶しながら、今この項を打っている。世俗の垢にまみれた小人の悩み事。少しは見習いたいと願った山頭火先生に申し訳ない、などと思い、句集を開くと、次の句が見えた。イラストには遊郭とおぼしき所に立つ女が見える。この句は何を意味するのか?
水をへだてて をなごやの灯が またたきだした