『奥田亡羊全歌集 ぼろんじ』
奥田亡羊
四六版、並製、256ページ
定価:2,100円+税
ISBN 978-4-86385-708-7 C0092
装画 山田ミノル
草と風を集め 花野を渡り
闇を抱いて 詠い続けた詩魂
生と死を見つめた30年、
1113首の全歌業
『ぼろんじ』によって初めて刊行される、奥田亡羊の第四歌集『虚国』を含む全歌集。
「一人の人間が残すことのできる言葉には限りがある。しかし彼の紡いだ言葉は、この『ぼろんじ』を通して多くの人々の心に届き、これからも生き続けていくだろう。この一書が奥田亡羊という稀有な歌人の軌跡を刻む、かけがえのない証となることを願ってやまない。」 (巻頭言 矢部雅之)
「奥田はずいぶん早く、遠い旅に出てしまった。奥田本人を交えて第四歌集の感想を語り合えないことが寂しい。だが、誰もがいつか行く道ならば、またどこかで会えるはずである。その日まで、奥田亡羊がのこしてくれた四冊の歌集を、大切に読み継いでゆきたいと思う。」 (解説 横山未来子)
「「奥田亡羊」という名前の意味を皆が理解してくれるようになるまで使い続けろ。変な名前でも世の中がそれを当たり前に思うようになれば良いんだ。
名前に負けるな、ということだったと思う。嬉しかった。
「亡羊」という名に、私は少しは追いつけただろうか」 (あとがき 奥田亡羊)
【収録歌】
宛先も差出人もわからない叫びをひとつ預かっている 『亡羊』
鏡の奥にひと月ぶりの髭を剃る空には竜の匂いがした 『花』
大股に来たりて春は岩をしぼる。絞られて岩、水を滴らす 『虚国』
おのづから心は虚(うろ)となりながら空にとどろく海鳴りを聞く 『虚国』
旅ならば草の枕と思ひをり治療マスクの網のさみどり 『虚国』
2025年11月初旬発売
【著者プロフィール】
奥田亡羊(おくだ・ぼうよう)
1967年 京都府生まれ 早稲田大学第一文学部卒 佐佐木幸綱氏に師事、竹柏会「心の花」会員
2005年 第48回短歌研究新人賞受賞
2007年 第一歌集『亡羊』刊行(第52回現代歌人協会賞受賞)
2017年 第二歌集『男歌男』刊行(第16回前川佐美雄賞受賞)
2021年 第三歌集『花』刊行(第27回若山牧水賞受賞)
2025年 死去
