『ルース・アサワ 触れるものすべて』
マリリン・チェイス/石井ひろみ訳
A5判、並製、424ページ
定価:本体3,000円+税
ISBN978-4-86385-714-8 C0070
デザイン 成原亜美(成原デザイン事務所)
解説 沢山遼(美術批評家、武蔵野美術大学准教授)
奈良美智さん(美術作家)推薦!
「ルース・アサワを初めて観たのは2004年。彼女の出身地カリフォルニアの美術館で出会い、とても感動したのを覚えている。日系人作家を知っていくごとに、どのような時代であろうと美術の持つ力は表現しようとする人を動かすのだと確信する」
大規模な回顧展がMoMA(ニューヨーク近代美術館)ほか世界を巡回中! 生誕100年をむかえるルース・アサワはいかにして世界的な芸術家になったのか?
日系二世としてカリフォルニアの零細農家に生まれ、日系人強制収容所での過酷な生活を経て、伝説的な芸術学校ブラック・マウンテン・カレッジに進学し、ジョセフ・アルバースやバックミンスター・フラーらから薫陶を受けた。6人の子どもを育てながら、ワイヤーから編みつくられた独自の彫刻作品のほか、噴水などのパブリック・アートも制作。「芸術はすべての人のために」という信念のもと、自らも芸術高校設立に尽力して後進の育成にもあたった。いま世界で高く評価されるアーティスト、ルース・アサワの生涯がついに紐解かれる。沢山遼による解説「彫刻の原理―ルース・アサワの場合」を収録。
「アサワのワイヤー彫刻は、一見して彼女自身のマイノリティとしての出自と無関係にみえる。しかしそれは、彼女自身が、個人をその出自や帰属において拘束するものを超える造形を展開しようとしたことと無関係ではない。アサワにとって抽象芸術は、あらゆる差別や弁別を超えた、そこですべての生命が肯定され保護される公共圏=自律圏としての空間を可能にする手段であった。ゆえにその彫刻は、アサワのたどった困難な道のりがつくりだした希望の形態にほかならないのである」(沢山遼「解説 彫刻の原理──ルース・アサワの場合」より)
◎ルース・アサワ(Ruth Asawa)とは?
1926年、日系二世としてカリフォルニアの零細農家に生まれる。日系人強制収容所での過酷な生活を経て、当時その黄金期を迎えていた伝説的な総合芸術学校ブラックマウンテン・カレッジ(Black Mountain College)でジョセフ・アルバースやバックミンスター・フラーらから薫陶を受ける。また、ジョン・ケージ、ウィレム・デ・クーニング、ロバート・ラウシェンバーグら多彩な芸術家とも交流。サンフランシスコで六人の子どもを育てながら、有機的なフォルムをもつワイヤー彫刻、各種紙作品、噴水などのパブリック・アートを制作。地域の芸術教育にも深く関わり、児童向け芸術教室の開催や公立芸術高校(現ルース・アサワ芸術高等学校 Ruth Asawa San Francisco School of the Arts)の設立に尽力した。近年、作品と活動の全体像が再評価され、大規模な回顧展が巡回するなど、国際的にいっそう注目が高まっている。
2026年5月発売です。
【目次】
プロローグ 二〇一三年のオークション
第1章 戦争勃発
第2章 強制収容所
第3章 広い世界へ
第4章 ブラックマウンテンに登る
第5章 恋文
第6章 屋根裏での新生活
第7章 ノイヴァレーのアトリエ
第8章 若い世代に賭ける
第9章 噴水のひと
第10章 狼の襲来
第11章 女武者と呼ばれて
第12章 わたしを信じて
第13章 闘いの歳月
エピローグ 愛あふれる意図
解説 彫刻の原理──ルース・アサワの場合(沢山遼)
【著者プロフィール】
マリリン・チェイス(Marilyn Chase)
ジャーナリスト・作家・大学講師。ウォール・ストリート・ジャーナル紙に20年以上在籍し、記者・コラムニストとして報道に携わった。現在はカリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院で講師を務め、報道と執筆の技術を次世代のジャーナリストに指導している。著書に“The Barbary Plague: The Black Death in Victorian San Francisco”(Random House、2003年)がある。家族とともにサンフランシスコ在住。
【訳者プロフィール】
石井ひろみ(いしい・ひろみ)
翻訳者。南山大学文学部卒。米イリノイ大学大学院経営学修士課程修了(MBA)。米国在住時、スミソニアン国立アジア美術館(旧フリーア美術館およびアーサー・M・サックラー・ギャラリー)や日系アメリカ人関連団体の活動にボランティアとして携わる。博物館学芸員資格を有する。現在は出版翻訳を中心に活動しており、本書が初の美術評伝訳書となる。
