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野球の「音」

  • 2013-03-07 (Thu) 10:50
  • 総合

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 南大隅町の登山でびっしょり汗をかき、頂上では摂氏零度の寒さに震え、その夜は温泉のサウナで汗を流し、今度は浴衣で涼み過ぎたせいか、風邪をひいたようだ。幸いいつもの高熱ではない。微熱だ。普通の人なら正常な体温なのだろう。でも平熱が35.7度の私には36.2度でも少し辛い。月曜火曜とぼおーっと過ごした。そして昨日水曜。WBCの注目の一戦、日本対キューバの試合が福岡のドーム球場で行われる日だ。行かなくては。
 ぼおーっとしたまま夕刻、地下鉄に乗って、福岡市の西にある球場に向かう。東京ドームは何度も行ったことがあるが、ここは初めて。球場の周りは大勢の人たちが詰めかけ、WBCの関連グッズの販売テントには長蛇の列ができていた。うぉ、凄いなあと思いながら、ドームの中に入り、座席を探す。一塁側内野席で前から14列目。結構グラウンドが近い。選手の細かい表情まではうかがいしれないが、申し分のない座席だ。東京からチケットを送ってくれた友人に感謝。
 一緒に観戦してくれるいい人はいないので、先日までお世話になっていた高校大学時代の先輩と一緒に観戦。この先輩は野球のことはあまり詳しくないので、私がルールや選手の横顔などうんちくを傾けて解説して上げた。前半の好機を日本が逸した時点で、「あ、今日は負けだな」という気がし始めていたが、悪い予感通りの試合展開となった。私はギャンブルは全然当たらないが、この種の読みはよく当たる。
 隣の中年夫婦の客とも語らいながら、ふと気づくと、試合が始まっても、私の周囲は結構空席が目立つ。全体的にも見ても大入り満員からは程遠い状況。隣席のご婦人は「地元のソフトバンクホークスのゲームだとすごく混むんですよ」と言っていた。日本、キューバともに東京での第2ラウンドに進出を決めていることも一因したのか、
 WBCに出場している代表選手のプレーが楽しめのだから、文句は言えない。それであと一つ印象に残ったことを記す。野球本来の「音」が楽しめたことだ。
 日本のプロ野球はお互いの応援団が外野席に陣取っていわゆる「鳴り物」で熱烈な応援合戦となる。それはそれでいいのだが、あの音響でピッチャーが投げる速球がキャッチャーミットに吸い込まれる小気味良い音がかき消される。強打者のバットが放つ快音もそがれる。私が知る限り、米大リーグでは鳴り物入りの応援はまずないので、そうした「音」を楽しめる。日本のプロ野球では無理な相談だ。
 昨晩の試合は日本の攻撃中は例によって大音響での応援だ。稲葉選手が打席に立つ時の「稲葉ジャンプ」の応援に、キューバベンチは(これはそう思えたのであるが)目を丸くして外野スタンドを見やっていた。反対にキューバの攻撃となると、ドームは急にシーンと静まり返った。それであの「音」も戻ってきた。驚いたことに、キューバベンチから打者に送られる(スペイン語と思われる)叱咤激励の「声」も聞こえてきた。
 「稲葉ジャンプ」もいい。運動不足気味の日本国民には必要な応援形態かもしれない。でも、野球本来の「音」も捨て難いかと思う。日本がもし運よく米本土の決勝ラウンドに進出したなら、「稲葉ジャンプ」も一緒に行くのだろうか?
 (写真は、稲葉ジャンプの応援風景。隣のスーツ着た先輩も途中からジャンプしていた)

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