- 2025-05-24 (Sat) 13:13
- 総合
トランプ米政権の発足以来、新聞の国際面などで報じられるニュースはあまり読む気になれず、従ってこのブログで扱うこともあまりなくなった。それでも時にはこれはやり過ぎだろとあきれてパソコンに向かうこともある。最近では名門ハーバード大に対する留学生追放令か。外国からの留学生受け入れに必要な連邦政府認定が取り消されることになる。そうなればハーバード大は新たな留学生の受け入れができなくなり、在籍中の留学生は他大学への転籍を余儀なくされるとか。開いた口がふさがらないとはこのことだろうか。
読売新聞から引用すると、ハーバード大に対する今回の措置の理由について、国土安全保障省の長官は「ハーバード大がキャンパス内で反ユダヤ主義を助長したことや中国共産党と協調している」責任を問うためと説明している。トランプ政権はすでにハーバード大を始め他の名門大への連邦政府の資金援助を凍結している。外国からの留学生の授業料は各大学にとって重要な資金源となっており、今回の新たな締め付けで各大学は財政的にさらなる窮地に立つ。トランプ政権の権力、支配力を誇示したい思惑が見え隠れする。
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トランプ大統領は南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領をホワイトハウスに招いて会談したニュースでも物議を醸した。これはおそらくトランプ大統領と一時(今は多少冷却化?)親密な関係にあった南ア出身の実業家イーロン・マスク氏が悪しき情報を吹き込んでいるのではないかと思われる。
南アはアパルトヘイト(人種隔離政策)が制度上は消滅した今も多数派の黒人社会と少数派の白人社会の軋轢が続く。白人のマスク氏がラマポーザ政権にどういう思いを抱いているか知らないが、良くないであろうことは想像できる。読売新聞を再び引用すると、トランプ氏が南アで白人、特にアフリカーナーと呼ばれるオランダ系白人の人々が迫害されていると根拠の乏しい持論を振りかざしたのだという。これに対し、ラマポーザ氏は両国の関係悪化に歯止めをかけるべく冷静に反論を展開したとか。
南ア社会には今なお癒やしがたい人種間の溝が残り、多くの国民が経済格差、犯罪発生に悩まされているが、アフリカーナーの人々はまだ富裕層に属しており、底辺で依然苦悶しているのは圧倒的に貧しい黒人層だ。トランプ氏はアフリカーナーの多くの人々が殺害された後に埋められているとして白い十字架が両側に並べられた一筋の道路のビデオをラマポーザ氏に示したが、実はそれは墓標などではないことが後に判明した。
ラマポーザ氏がトランプ氏の誤解を解けたかどうかは分からないが、ラマポーザ氏がなかなかの役者であることを再認識するエピソードもあった。アパルトヘイ時代に彼が労組の指導者だった頃に、私は彼の記者会見に何度か立ち会ったことがあるが、その頃から老獪な交渉者であることは承知していた。彼は今回の首脳会談に際し、「防戦一方」ではなかった。会談の合間にトランプ氏に “I’m sorry I do’t have a plane to give you.” と痛烈な皮肉の一言を放っていた。もちろん、先の中東諸国訪問でトランプ氏がカタールから大統領専用機(エアフォース・ワン)の代替機としてジャンボ機(ボーイング747型)をプレゼント(賄賂?)されたことを皮肉ったのだ。トランプ氏にその皮肉が通じたかどうかは疑わしい。
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