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セレンディピティー(serendipity)

  • 2022-12-12 (Mon) 18:09
  • 総合

 購読紙を読んでいてとあるコラムに目がとまった。街の書店(本屋)が全国の地方自治体から姿を消しつつあることを指摘していた。書店が一店もない市区町村が26%を占めているとか。コンビニやスーパーの中には雑誌や週刊誌など限定的な定期刊行物を置いているところもあるが、図書館を除けば、多岐にわたる本に接する機会は地方に住む人たちにはほとんどないと言えるのかもしれない。コラムは人は本との出会いにより「思いがけない場所」に導かれるとして、そうした本との出会いを英単語の「セレンディピティー」とともに紹介していた。「幸せな偶然」という訳語を当てていた。
 「セレンディピティー」は私も好きな語だ。serendipity。アフリカ特派員時代に愛用していた古い辞書には一言「掘り出し物上手」との説明が載っている。学生時代に使っていた英英辞書には “faculty of making fortunate and unexpected discoveries by chance” とある。今使っている電子辞書には「掘り出し物を偶然見つける才能、予期することなく大きな発見をすること(能力)、掘り出し上手」と記されている。
 「セレンディピティー」を単なる「幸せな偶然」と解するのはもったいないかと思う。英英辞書にあるように “faculty” の意味合いも含みたい。“faculty” は「才能」とか「機能」という意味だ。人生において掘り出し物を見つけるのは確かに万人にできることではない「才能」だろう。私のような凡人には難しいことかもしれない。でも「機能」であれば、普段からアンテナを高くして、心を研ぎ澄ましていれば、凡人の懐にもたまに飛び込んでくるものかもしれない、などと私は願っている。すべては神様の摂理(providence)かもしれないが。
                  ◇
 先週末の土曜日に高校・大学時代の友人と久しぶりに会った。日曜日にも東京での新聞社時代の同僚とこれも久しぶりに会った。土曜日の再会は彼らの家に近い小倉駅前のしゃれたレストランで。当然のことながら、お酒で乾杯。まずはビールを飲んだ。健康を考え、この秋以来、ずっと断酒を続けていることは何度か書いているが、古い友との再会で飲まない訳にはいかない。焼酎はともかくビールを飲むのは今年の正月以来ではないか。久しぶりのビール、しかも地元の地ビールは格別に旨かった。お代わりもした。ビールの後で焼酎のお湯割りを数杯頂いたが、肝機能が調子が良いからか、酔うこともなく帰宅の途に就いた。
 新聞社時代の同僚とは天神でランチをともにした。古巣の話で盛り上がったが、さすがにここで詳述はできない。同僚は私と異なり、ついこの間までメディア関連の全国組織の重職にあった。今はそれからも解放され、来年からまた新しい仕事に就こうとしている。才気あふれる人だからユニークな仕事をするものと思う。お互いに健康で会える幸運を喜びたい。さて、この次に会えるのはいつだろうか。
 両方とも最後に会ったのがいつだったか思い出せなかった。3年前後会っていないことは容易に察しがついた。ラインメールをスクロールして、高校・大学時代の友人とは3年前の12月に会っていることが分かった。やはり3年の歳月が流れていた。故郷の土もこの3年は踏んでいないということか。亡きお袋や姉のことは毎朝神棚の前で、さらには夕食の前にその名を念じているものの、お墓参りはとおいとおい・・・。

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