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有難くない cavalier

  • 2020-05-26 (Tue) 09:35
  • 総合

 緊急事態宣言が全国的に全面解除された。喜ばしいニュースではあろうが、何だかしっくりしない気がしないでもない。新型コロナウイルス対策に関しては、世界中で社会経済活動が緩和の流れにあるようだ。米CNNテレビを見ていると、週末、米南部ジョージア州の海辺で日光浴やボール遊びに興じる人々が映っていたが、マスクをつけている人は皆無だった。人とのある程度の距離を保つsocial distancing はどこ吹く風といった印象。ブラジルやアフリカ諸国など感染がまだピークに達したとは思えない状況にある国々では本当に大丈夫なの?と思わざるを得ない。
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20200526-1590453287.jpg 米大統領選。民主党の候補指名を確実にしているジョー・バイデン氏が失言で物議を醸している。彼には過去に女性へのセクハラ疑惑もあり、こちらも大丈夫かと心配だ。
 バイデン氏の失言はラジオ局とのインタビュー番組にリモートで出演した際、ホスト役の黒人男性に向かい、「もしあなたがトランプ氏を支持するか、私を支持するか迷っているとしたなら、あなたは黒人ではない」と発言したこと。この発言が人種差別的だと批判を浴びているのだが、これまでの政治活動歴から自分が黒人層の支持を取り付けるのは当然と見なしている「傲慢」な姿勢もさらけ出してしまった。
 バイデン氏は当然のことながら、釈明に出たが、その際の発言が” “I should not have been so cavalier.” であり、また “I shouldn’t have been such a wise guy.” だったと陳謝した。cavalier(騎士道精神の持ち主)ならドン・キホーテを連想するが、この語は形容詞では「尊大な」とか「思慮の浅い」という有難くない特質を示している。バイデン氏の場合は「ちょっと思い上がっていた」とでも訳すのだろう。a wise guy は「知ったかぶり」「うぬぼれ屋」という意味が載っているが、こちらは「うぬぼれが過ぎた」との意だろう。
 今秋にトランプ政権に終止符を打てる現実的な希望はバイデン氏に託されている。今回の失態で、バイデン氏を紹介する英文にはその頭にgaffe-prone(失言癖のある)という形容句がつくことがあることも初めて知った。失言癖ならトランプ氏も負けていないだろうが、大統領の場合は笑うに笑えないことが多い。なんとか大統領選まではバイデン氏には安全運転で乗り切ってもらいたいと願う。
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 「人名」と「人命」。日本語では同音異義語だ。「じんめいだいいち」と聞けば、まず我々の頭には「人命第一」という語が浮かぶだろう。「じんめいがおぼえられない」と聞けば「人名が覚えられない」だろう。中国語の辞書を引いていて、上記の二語は中国語でも日本語と同様の漢字だと知った。しかも発音も声調が異なるものの、ピンイン表記では同じスペリングのrenming。
 「唯々諾々として従う」という表現。「はい、はい」と人の意見に盲従するさまがなぜ「いいだくだく」なのか疑問にも思ってこなかったが、中国語では「唯唯諾諾」という表現があることを知って、なるほど、中国語に語源があるのかと納得した。乱暴にカタカナ書きすると「ウェイウェイヌォヌォ」という音であり、こちらも日本語の音からは程遠い。

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