『塚本邦雄歌集』
塚本邦雄/尾崎まゆみ編
四六判、上製、400ページ
定価:本体2,600円+税
ISBN978-4-86385-630-1 C0092
装幀:六月
栞:井上法子 染野太朗 吉田隼人
2025年で没後20年
日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも
前衛短歌運動によって新風をもたらし、古典からの流れを辿った博覧強記の知性で、韻律を改革し、独自の比喩を追求した、戦後短歌史を代表する歌人・塚本邦雄。
『水葬物語』『日本人靈歌』を完本で収録、塚本邦雄の短歌世界を一望できる1800首。編者による詳細な解説、年譜を付す。「新編歌集シリーズ」(全4巻)、これにて完結!
2024年11月発売予定です。
【目次】
『透明文法 「水葬物語」以前』抄/『水葬物語』(完本)/『装飾樂句』抄/『日本人靈歌』(完本)/『水銀傳說』抄/『綠色硏究』抄/『感幻樂』抄/『星餐圖』抄/『蒼鬱境』抄/『靑き菊の主題』抄/『森曜集』抄/『されど遊星』抄/『閑雅空間』抄/『天變の書』抄/『歌人』抄/『豹變』抄/『詩歌變』抄/『不變律』抄/『波瀾』抄/『黃金律』抄/『魔王』抄/『獻身』抄/『閑雅空間』抄/『天變の書』抄/『歌人』抄/『豹變』抄/『詩歌變』抄/『不變律』抄/『波瀾』抄/『黃金律』抄/『魔王』抄/『獻身』抄/『風雅默示錄』抄/『泪羅變』抄/『詩魂玲瓏』抄/『約翰傳僞書』抄/解説(尾崎まゆみ)/塚本邦雄年譜
【栞】
井上法子「〈魂のレアリスム〉について」
染野太朗「にくしみとたましひ」
吉田隼人「ポータブル・塚本邦雄」
【収録歌より】
革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ(『水葬物語』)
五月祭の汗の靑年 病むわれは火のごとき孤獨もちてへだたる(『装飾楽句』)
日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも(『日本人靈歌』)
馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人戀はば人あやむるこころ(『感幻樂』)
夢の沖に鶴立ちまよふ ことばとはいのちを思ひ出づるよすが(『閑雅空間』)
【著者プロフィール】
塚本邦雄(つかもと・くにお)
1920年滋賀県生まれ。43年「木槿」入会「靑樫」同人となる。47年「日本歌人」の前川佐美雄に師事。51年第一歌集『水葬物語』刊行。中井英夫らの賛同を得て岡井隆、寺山修司らと前衛短歌運動を展開し戦後短歌に新風をもたらし、60年に一冊限りの同人誌「極」を創刊。以後も古典から現代短歌までの流れを遡り、美学や技法などを取り入れながら磨き上げ、短歌の可能性を追求。古今東西の文化や芸術などへの深い知識と教養に裏付けられた創作活動は、三島由紀夫に称賛されるなど、分野を超えて広く影響を及ぼした。85年歌誌「玲瓏」主宰となる。現代歌人協会賞、詩歌文学館賞、迢空賞、斎藤茂吉文学館賞、現代短歌大賞などを受賞。01年「塚本邦雄全集」完結。短歌、小説、評論、アンソロジーなど、その著書約300冊。05年6月9日歿。享年86。命日は「神變忌」。09年日本現代詩歌文学館に蔵書および遺品の一部が寄贈された。
【編者プロフィール】
尾崎まゆみ(おざき・まゆみ)
1955年愛媛県今治市生まれ。1977年早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。1987年塚本邦雄と出会い師事、「玲瓏」入会。1991年「微熱海域」30首により第34回短歌研究新人賞受賞。現在「玲瓏」編集委員。「神戸新聞文芸短歌」選者、伊丹歌壇選者。著書に『レダの靴を履いて 塚本邦雄の歌と歩く』、歌集『ゴダールの悪夢』など。