書籍

『アーのようなカー』 寺井奈緒美

新鋭短歌シリーズ46
『アーのようなカー』
寺井奈緒美
監修:東直子

四六、並製、144ページ 
定価:本体1,700円+税
ISBN978-4-86385-359-1 C0092

【帯文】
この世のいとおしい凸凹
どこまでも平らな心で見つけてきた、景色の横顔。
面白くて、美しくて、悲しくて、ほんのり明るい。
                    東 直子

【著者プロフィール】 
寺井奈緒美(てらい・なおみ)
ホノルル生まれ、愛知育ち、東京在住。
趣味は粘土で縁起のよい人形をつくること。


【5首】
改札を通るときだけ鳴く鳥をだれもが一羽手懐けている
柴犬の尻尾くるんの真ん中の穴から見える極楽浄土
耳と耳あわせ孤独を聴くように深夜のバスの窓にもたれて
路上にはネギが一本落ちていて冬の尊さとして立て掛ける
なくなれば美しくなる でもぼくは電線越しの空が好きです
 

新鋭短歌シリーズ

今、若い歌人たちは、どこにいるのだろう。どんな歌が詠まれているのだろう。今、実に多くの若者が現代短歌に集まっている。同人誌、学生短歌、さらにはTwitterまで短歌の場は、爆発的に広がっている。文学フリマのブースには、若者が溢れている。そればかりではない。伝統的な短歌結社も動き始めている。現代短歌は実におもしろい。表現の現在がここにある。「新鋭短歌シリーズ」は、今を詠う歌人のエッセンスを届ける。

http://www.shintanka.com/shin-ei/

書評

「日本経済新聞」2019年6月20日 評者=西崎憲さん

《いまは以前よりはるかに短歌の実作者であることを公言しやすくなっているのだ。そしてそれは二一世紀になってから現れた歌人たちのおかげである。彼らはじつに軽快に短歌をものにし、イメージを塗りかえてきた。〔……〕そしてまた一人新しい歌人が現れた。『アーのようなカー』(書肆侃侃房)という不思議な歌集を刊行した寺井奈緒美である。「話そうか手打ちうどんの職人や人殺しじゃない理由のこと」「ここにしか存在しない未発表曲を歌って夏の畦道」短歌の未来はどうやら明るいようだ》

「読売新聞」2019年8月11日 評者=一青窈さん

《誰にひけらかすでもない日常のワンシーンをセピア色に切り取ったような短歌集。ことばの選び方が清々しい為、確かな人間らしさが立ち現れる。〔……〕前向きになる本!》