書籍

『悪友』 榊原紘

『悪友』
榊原紘

A5判変形、並製、128ページ
定価:本体1800円+税
ISBN978-4-86385-405-5 C0092

装画:ハタ屋

栞:大森静佳、染野太朗、永井祐、野口あや子、長嶋有

第二回笹井宏之賞大賞受賞!

「一首一首が頑なに手放そうとしない純粋な心のきらめきのようなものを、とても得難いものだと感じた。(……)奇跡が、この歌集のなかでは何度も起こっている気がする」(大森静佳)

「普遍への眼差しを一貫して保った、厳しさと勇気にあふれた歌集だと思う」(染野太朗)

「一冊を読むと、世の中から半分ずれてちょっと格好良くやっている「僕」たちのよるべない魂が感じられる。応援しよう。遠くからだけど」(永井祐)

「どうか勝手に縛られて落ち着かないで、ゆらゆらと濡れて乾いていく作者の息遣いを聞いてみてほしい」(野口あや子)

「作中の彼らは、自分らだけで伝達しあえる符丁で、まじないのように精神を共有しあう。それを作者は連作の題に据え、連作内ではその説明をしなかった。そのすべての言葉の取り扱いに対し、僕は信を置く」(長嶋有)

2020年8月上旬全国書店にて発売。

 

【目次】

名画座

悪友

はためく

飛び級

海鳴りの語尾

戯れに花

猫はどこへ行く

20ゼーロを賭けて 漫画・アニメ『血界戦線』より

さらば楽園 漫画『ハイキュー‼』より

DUNKIRK 映画『ダンケルク』より

サードランナー 漫画『おおきく振りかぶって』より

Krakow

いつかの冬

ゴーレム

メフィスト

由来

虹を

強くてニューゲーム

でも窓辺から

天国と春服

短い脚立

幽霊とスノードーム

生前

あとがき

 

【歌集より5首】

ことばから補助輪が外されてなお漕ぎ出した日のことを言うから

雪の染みた靴から君が伸びている そんな顔で笑うやつがあるか

散るときがいちばん嬉しそうだった、そしてゆったり羽織るパーカー

立ちながら靴を履くときやや泳ぐその手のいっときの岸になる

スノードームに雪を降らせてその奥のあなたが話すあなたの故郷

 

【栞】

対岸へのひたむきさ  大森静佳

映画のように  染野太朗

座り直して季節は過ぎる  永井祐

孔雀と螺子  野口あや子

サードランナーはいない  長嶋有

 

【著者プロフィール】

榊原紘(さかきばら・ひろ)

1992 年 愛知県(三河)生まれ。
2012 年 「京大短歌」に参加。
2015 年 未来短歌会(黒瀬欄)に入会。
2019 年 第2回笹井宏之賞大賞受賞、第31回歌壇賞次席。
現在は同人「遠泳」にのみ参加している。

掲載情報

東京新聞(10月16日)

《口語短歌の極とも言えるような歌集(……)日常の言葉を超えた詩的角度を持つ言葉が、この世に対する憎悪の中で静かに爆発している》

『悪友』初刷訂正箇所

P1「もくじ」 最終行「Krakow」→「Kraków」
P.43 1首目「陽は在って」→「葉は在って」
P.66 タイトル「Krakow」→「Kraków」 二首目「Krakow」→「Kraków」
P.68 三首目「聖十字教会」→「聖十字架教会」