書籍

『リリカル・アンドロイド』 荻原裕幸

現代歌人シリーズ29

『リリカル・アンドロイド』
荻原裕幸

四六判変形/並製/144頁 
定価:本体2,000円+税  

ISBN978-4-86385-395-9 C0092

短歌をこころから楽しんだ季節の記録
かつてニューウェーブと呼ばれ、暴走と迷走を繰り返した日々を経て、しばらくは短歌に苦しめられてもいましたけれど、四十歳を過ぎた頃、ふたたび蜜月とでも言いましょうか、書くことが楽しくてしかたない季節がやって来ました。(あとがきより)
「ニューウェーブ短歌」を牽引した一人、荻原裕幸による、19年ぶりの第6歌集。

 

さまざまな境界線が滲み合い、交差する中で
あふれ出すのは不可逆的かつ永遠的な「いま」の抒情だ。
矛盾と異化を含んだ梅の花の心地良い香りに誘われて、
荻原裕幸は今日も現代短歌の〈夢〉をリリカルに完食する。

濱松哲朗

 

荻原さんの今までの歌集のなかでいちばんいいと思います。
平岡直子

 

【五首選】
わたくしの犬の部分がざわめいて春のそこかしこを噛みまくる
優先順位がたがひに二番であるやうな間柄にて梅を見にゆく
空が晴れても妻が晴れないひるさがり紫陽花も私もずぶ濡れで
たまに夢でつながる人の部屋に来てけふはしづかに秋茄子を煮る
蕪と無が似てゐることのかなしみももろとも煮えてゆく冬の音

 

2020年4月全国書店にて発売。


【著者プロフィール】
荻原裕幸(おぎはら・ひろゆき)
1962年生まれ。名古屋市在住。愛知県立大学卒。90年代のはじめ、朝日新聞に掲載された歌論の反響をきっかけに、ニューウェーブと呼ばれる。第30回短歌研究新人賞受賞。名古屋市芸術奨励賞受賞。歌集出版企画「歌葉」プロデュース、総合誌「短歌ヴァーサス」責任編集、等、フリーな立場を活かした活動を続けている。歌集に『青年霊歌』『甘藍派宣言』『あるまじろん』『世紀末くん!』、未刊歌集『永遠青天症』含む全歌集『デジタル・ビスケット』(沖積舎)がある。「東桜歌会」主宰。同人誌「短歌ホリック」発行人。

 

現代歌人シリーズ
現代短歌とは何か。前衛短歌を継走するニューウェーブからポスト・ニューウェーブ、さらに、まだ名づけられていない世代まで、現代短歌は確かに生き続けている。彼らはいま、何を考え、どこに向かおうとしているのか……。このシリーズは、縁あって出会った現代歌人による「詩歌の未来」のための饗宴である。

現代歌人シリーズホームページ:http://www.shintanka.com/gendai