書籍

『世界が海におおわれるまで』佐藤弓生

現代短歌クラシックス04
『世界が海におおわれるまで』
佐藤弓生

四六判変形/並製/112ページ
定価:本体1,400円+税
ISBN978-4-86385-430-7 C0092 2刷
装幀:加藤賢策

 

2020年12月上旬全国書店にて発売。

【歌集より】

秋の日のミルクスタンドに空瓶のひかりを立てて父みな帰る
とうめいなかかとのかたち天空も公孫樹の黄(きい)を踏んでみたくて
風鈴を鳴らしつづける風鈴屋世界が海におおわれるまで
白の椅子プールサイドに残されて真冬すがしい骨となりゆく
革装の書物のように犀は来て「人間らしくいなさい」と言う
「夢といううつつがある」と梟の声する ほるへ るいす ぼるへす

 

【著者プロフィール】
佐藤弓生(さとう・ゆみお)

1964年、石川県生まれ。2001年、第47回角川短歌賞受賞。著書に歌集『眼鏡屋は夕ぐれのため』『薄い街』『モーヴ色のあめふる』、詩集『新集 月的現象』『アクリリックサマー』、掌編集『うたう百物語』、共編著『短歌タイムカプセル』などがある。歌人集団「かばん」会員。

掲載情報

「anan」癒しの法則2021特集号 癒やしの法則 短歌紹介ページにて  評者=東直子さん