書籍

『永遠よりも少し短い日常』荻原裕幸

『永遠よりも少し短い日常』
荻原裕幸

四六判変形、並製、144ページ
定価:本体2,000円+税 
978-4-86385-537-3 C0092 
装画:久保田寛子

 

わたくしをすべてひろげて丁寧に折りなほす青い鶴となるまで

『リリカル・アンドロイド』に続く第七歌集。



日常の中に隠されているきらりきらりと輝くひかりを、そっと集めては両手で包み込んで微笑んでいる姿が目に浮かぶよう。なんでもない一日こそがきっといつか大切な日になる、荻原さんの歌にはそんな日々が詰まっています。
  ―熊谷由佳(丸善ヒルズウォーク 徳重店 名古屋市)

荻原裕幸との出会いは『青年霊歌』発表、ニューウェーブ前夜と記憶は朧。その時の新星は本作では見事に輝度を放ち、オールドスクール的存在は次世代をも鼓舞する。私はモートン・フェルドマンBGMに読み確信。
  ―古田一晴(ちくさ正文館書店 名古屋市)

 

2022年8月全国書店にて発売

 

【収録歌より】
三十三間堂あらたまのああこれは市川春子の線だとおもふ
元は天使なのかも知れぬ亡き父の冬天だけを撮つたアルバム
暁美ほむらが眼鏡をやめた経緯ほど寂しくもなく咲く桐の花
ボールペンが落ちても鞄をひらいてもすべての音が十月である

 

【著者プロフィール】
荻原裕幸(おぎはら・ひろゆき)
1962年生まれ。名古屋市在住。愛知県立大学卒。90年代のはじめ、朝日新聞に掲載された歌論の反響をきっかけに、ニューウェーブと呼ばれる。第30回短歌研究新人賞受賞。名古屋市芸術奨励賞受賞。第11回中日短歌大賞受賞。歌集出版企画「歌葉」プロデュース、総合誌「短歌ヴァーサス」責任編集、等、フリーな立場を活かした活動を続けている。歌集に『青年霊歌』『甘藍派宣言』『あるまじろん』『世紀末くん!』『永遠青天症』『リリカル・アンドロイド』がある。「東桜歌会」主宰。同人誌「短歌ホリック」発行人。

掲載情報

「大人の名古屋 vol.58」 評者=七五書店店長 熊谷隆章さん

《荻原さんは名古屋出身の歌人で、「短歌が盛んな名古屋」を担ってきたひとりといえる。紹介した歌は、最新歌集『永遠よりも少し短い日常』に収録されているもので、面白いなあと思ったうちのひとつだ。(……)暮らしている街。いつもそばにいる人。花の彩りや鳥のさえずり。時事や流行。短歌は、31文字という基本形式のなかに押し込まれてできるのではなく、磨き上げられてできている。》

朝日新聞(12/18)短歌時評 評者=山田航

《前歌集『リリカル・アンドロイド』の文体を引き継ぎながら、現代短歌のさらなる方法の模索を図っている》