書籍

『表参道の地下シェルター』米村明史

詩・エッセイ
『表参道の地下シェルター』
米村明史

定価:本体1,800円+税
四六判、並製、208ページ 
ISBN978-4-86385-571-7 C0092


そのおんなの人は青山・表参道入口の石灯籠に
白い太腿の一本の足になって立てかけられていた

(「表参道の本屋と一本の白い足の話」より)
 

人生にはいつも思いもかけないことが起こる。
定年後の夫婦二人の穏やかな生活のつもりが、徐々に忍び寄る妻の認知症。行方不明になるM。その追体験に臨む「私」とMとの脳内問答。
神宮の杜、青山・表参道、羽田空港を舞台に、詩とエッセイ、絵、藍染、写真でつづる密やかな日常とセカイの変容。

[エッセイ「途中」より]
コロナやウクライナ戦争で世界は一変した。
それでも世界は私のような平凡な人間と普通の暮らしで回っている。いまほど「何でもない日常」が愛おしく、かけがえのない時代はないのではないか。それこそが「世界の変容」や「新しい戦前」をくい止める拠り所だと私は思っている。


【著者プロフィール】
米村明史(よねむら・あきふみ)
一九四五年熊本県生まれ。法政大学第二文学部日本文学科卒。卒論は小熊秀雄論。 
一九六四年国立国会図書館の職員となる。二〇〇六年に定年退職 。
著書に第一詩集『テトラポッドの秋』(紫陽社)『手しごとの記憶―マリコさんの藍染め―』(私家版 二〇二〇年)
趣味は、読書、映画鑑賞、自家製ジャム作り。