『点のないハハ』
鹿又夏実
四六判、並製、112 ページ
定価:本体 1,500 円 + 税
ISBN978-4-86385-543-4 C0092
``は私の身体から
地面に落ち
満月が血をしぼった夜に
花を咲かせました
花びらひとつひとつは
巨大な骨に似て
花全体は肋骨のように
満月がふたたび血で
満たされました
泣き声
さけび
ひゅうひゅうと
昔の母とおなじ声で
風が吹いています
音楽に疎いので、雨音や台風の音、港で所在無げに突ったっているクレーンが沈黙している音が好きです。特に、雨が降る音は日本人にとって音楽であり、オノマトペであり、言霊ではないでしょうか。(あとがきより)
2022年11月中旬刊行予定
【著者プロフィール】
鹿又夏実(かのまた・なつみ)
1983年横浜生まれ。
第1詩集「リフレイン」(2018年モノクローム・プロジェクト、第2回花賞受賞)
第2詩集「ファントムペイン」(2019年私家版)
「オオカミ」「カナリア」同人
日本現代詩人会会員 日本詩人クラブ会友
掲載情報
現代詩手帖2月号 詩書月評 評者=鹿又夏実さん
《失ったものを慈しむ詩行は静謐で、けれども時々言葉にならない悲しみが奔流となって溢れ出す》