短歌ムック
ねむらない樹 vol.9
A5、並製、240ページ
定価:本体1,500円+税
ISBN978-4-86385-534-2 C0492
装幀:成原亜美 装画:東直子
ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす(笹井宏之)
特集=詩歌のモダニズム
【巻頭エッセイ】
永井玲衣「枕辺の足」
【巻頭リレー共作】
上坂あゆ美×岡本真帆「はじまりの合図」
【特集 詩歌のモダニズム】
1922年にジョイスの『ユリシーズ』、エリオットの『荒地』、ウルフの『ジェイコブの部屋』が刊行された。それからちょうど100年。詩歌にとってモダニズムとはいったい何だったのか? 短歌、詩、小説、俳句、川柳のジャンルを横断しながら考えてみたい。
◎導入
中井亜佐子「モダニズムの時空間」
◎モダニズム短歌
三枝昂之「自転車屋にかうもり傘を修繕にやる━━前川佐美雄のモダニズム」
佐藤弓生「通い路にて━━モダニズムと短歌」
石原深予「いわゆるモダニズム短歌とは何か?━━自由律短歌とポピュラーソングの歌詞を補助線として」
松澤俊二「モダン都市の歌人たち━━デパートをめぐる短歌と想像力」
寺井龍哉「生まれてはみたけれど…」
髙良真実「モダン・モダニズム・モデルニスム?」
(前川佐美雄)
石原深予「前川佐美雄━━明るくておちついている「西洋的な新しさと日本的な古典の匂ひ」との結びつき」
濱田美枝子「「尖端」と前川佐美雄」
黒岩康「かくして今も由緒ただしき━━前川佐美雄&山中智恵子・師弟のこと」
瀬口真司「『植物祭』の戦後改訂」
(石川信雄)
黒瀬珂瀾「石川信雄━━都市という抒情」
(斎藤史)
川本千栄「異人さんにつれられて」
(加藤克巳)
吉川宏志「加藤克巳論 人間不在のまなざし」
◎モダニズム詩
水田宗子「モダニズム文学の女性詩人・作家たち」
藤井貞和「モダニズム 左川ちか全集 いまここで」
北川透「モダニズム詩について」
大川内夏樹「モダニズム詩とは何だったか━━北園克衛の北原白秋受容に触れながら」
菊地利奈「伊藤整と左川ちか━━翻訳と創作についての一考」
佐藤雄一「技術的なあまりに技術的な」
◎小特集 左川ちか
・座談会「左川ちかとモダニズム詩」
島田龍×蜂飼耳×鳥居万由実
・エッセイ
川野芽生「刺繡の裏」
マーサ・ナカムラ「生きること、書いて遊ぶこと━━『左川ちか全集』」
小津夜景「雲の影のあわいに」
酉島伝法「幻の鏡」
中保佐和子「左川ちかを英語に訳して」
小澤京子「小さな部屋のポエティーク」
西崎憲「左川ちかとヴァージニア・ウルフ」
高原英理「触角の上に空がある」
高遠弘美「机辺から離したくない一冊━━編者の情熱に敬意を」
木村朗子「硝子ごしの風景」
内堀弘「地図にない町」
田中綾「左川ちかの高等女学校時代━━教員・本間重と小樽歌壇」
ホルカ・イリナ「翻訳と創作と読書の連鎖━━サワコ・ナカヤスと左川ちかのコラボから連想すること」
中村多文子「スペインでも左川ちか」
◎モダニズム文学の諸相
(小説) 戸塚学「モダニズム小説━━言葉という媒体」
(俳句) 大塚凱「虚子と虚子の子」
(川柳) 小池正博「現代川柳におけるモダニズム」
【座談会】
「いま山中智恵子を読むということ」
水原紫苑×川野里子×大森静佳
【作品】
◎30首
谷崎由依「この世のすべての言葉が」
櫻木みわ「みずうみ、または私小説」
◎20首
染野太朗「愛について」
仲田有里「ライト」
千種創一「いくつもの四月をしないために」
大口玲子「カンガルーの母」
上篠翔「Dr.Martens の偽物を履いた男」
兵庫ユカ「時差」
木下こう「ミュゲ」
望月裕二郎「かえりたかった」
山崎聡子「家族旅行」
笠木拓「カピバラまんじゅう/地魚十貫」
我妻俊樹「偶然はあれから善悪をおぼえた」
【第4回笹井宏之賞受賞者 新作】
椛沢知世「べにひかり」
涌田悠「うごかなくなるまでうごく」
佐原キオ「川と傾く」
上牧晏奈「いい出汁」
手取川由紀「アイスストーム」
安田茜「鉱石」
【特別寄稿】
金子冬実「栗の木はさびしきときに━━葛原妙子の歌をめぐって」
【書評】
中山俊一「1マスすすむ」……『ショート・ショート・ヘアー』(水野葵以)
土岐友浩「カラフルな矛盾」……『老人ホームで死ぬほどモテたい』(上坂あゆ美)
藤原龍一郎「想像力の凄み」……『イマジナシオン』(toron*)
大松達知「しばし見ていた」……『羽と風鈴』(嶋稟太郎)
田丸まひる「医師として母として」……『メビウスの鎖』(桜木幹)
中家菜津子「時空を読む」……『青き時雨のなかを』(加藤孝男)
石川美南「しあわせ輪廻の外で私(ら)」……『柴犬二匹でサイクロン』(大前粟生)
谷川電話「終わらない白昼夢の世界」……『わたしの嫌いな桃源郷』(初谷むい)
江戸雪「笑って笑って笑えない」……『感電しかけた話』(伊舎堂仁)
前田康子「医療と言葉」……『救命』(犬養楓)
竹中優子「一枚の写真」……『水上バス浅草行き』(岡本真帆)
大平千賀「肉体を産む肉体」……『湖とファルセット』(田村穂隆)
今橋愛「理知的なゆうれい」……『深呼吸広場』(谷川電話)
加藤治郎「意識の旅人」……『牧野植物園』(渡辺松男)
【歌人の一週間】
鈴木晴香 藤宮若菜 伊舎堂仁 伊波真人
【忘れがたい歌人・歌書】
大辻隆弘「田井安曇『父、信濃』」
【文鳥は一本脚で夢をみる⑨】
梅﨑実奈「いいことばっか言ってんじゃないよ」
【ねむらない短歌時評⑨】
寺井龍哉「定型にもあったんだ」
【短歌に近づく④】
細馬宏通「大阪弁の距離」
【読者投稿欄】
選者=永井祐、野口あや子
(テーマ:「許す」もしくは自由)
2022年8月下旬に全国書店にて発売予定。