書籍

『小夏を探す旅』 川上夏子

『小夏を探す旅』川上夏子

四六、並製、192ページ
定価:本体1,500円+税
ISBN978-4-86385-391-1 C0095


妊娠34週、子宮内胎児死亡。
もう少しで産まれるはずだった娘「小夏」を死産した。

 死産前夜から宣告の瞬間、心臓を止めた赤ん坊の出産。赤ん坊がこの手にいない産褥期、夫婦で耐える日々。新生活の準備が整っていた部屋で否応無く始まる日常、そして夫と二人で抱える孤独。
 「私」の手元にそのとき有効なお手本はなかった。どうすればこの難局を切り抜けられるのか。朝起きるのでさえ苦痛を伴うこの毎日を。それでも、赤ん坊の記憶を抱いて生きていくしかない。
 そのときの「私」の希望はただ一つ、「私」のような体験をした人がその後どのように日々を歩んでいったのか。それを知りたかった。それだけだった。


日々克明な日記をつけていた筆者が、そのときのことばを再編集。情けない弱音も、失意の中の小さな笑いも、黒い気持ちもそのままに。そしてリアルで切なる手記ができました。妊娠経験のある女性の、実に41%(※)が流産や死産を体験しているという現代において、かならず誰かの心の拠り所になる、これはそんな本です。

※NHK福岡「九州沖縄インサイド」(2010年9月24日放送)より

 

2020年2月中旬全国書店にて発売。

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【目次】
はじめに
1章 その瞬間のこと。
2章 転院。
3章 産まれる。
4章 誕生と葬式。
5章 ここは棺桶ではなかった。
6章 私の中を確かに通り過ぎたもの。
7章 子どものいない産褥期。
8章 月命日を数える。
9章 あの暗い闇の一番奥へ、もう一度。
最終章 生きている。

おわりに

コラム 墓。〜30代で考えた、いつかぼくらの眠る場所
 

【著者プロフィール】
川上夏子(かわかみ・なつこ)
グラフィックデザイナー。1974年生まれ。福岡県出身。著書に『ぼくらのいえができるまで できてから』『福岡のまいにちごはん』『福岡のパンとお菓子の小さなお店』(全て書肆侃侃房)などがある。

書評

読売新聞(3月4日)「本ヨミドク堂」​
《妊娠経験のある女性の41%が流産を経験しているという。「あのときの孤独を私は忘れられない」と言う筆者が紡ぎだす言葉は、きっと誰かの心を支えるだろう》

週刊朝日 2020年4月17日号 評者=朝山実​さん
《体験から10年余りで出版を決めた。赤ちゃんを「小夏」と命名したことや葬儀の準備に伴って揺れ動く気持ち、新たな出産への思いなどが綴られ、人生の節目を鮮やかに描いている》
https://dot.asahi.com/ent/publication/reviews/2020041300040.html

ふぇみん(6月15日)
《幸せな出産の話は世にあふれるが、少なくない死産は語られない。妊娠34週、子宮内で“小夏”と名付けた胎児が死亡、分娩で死産児を産んだ著者。何をしても小夏を思い、巷の親子を直視できないなど、死産を巡る率直なつぶやきや、やるせない思いをつづった貴重な書》

北海道新聞(8月16日)
《心臓の止まった赤ん坊のエコー画面について説明されたときの衝撃―。その後、無事に出産を果たした今も「怒り」のとげは抜けない。流産や死産を経験した人の「よすが」になりうるとして、この本を書いたという》