書籍

『沖縄「格差・差別」を追う』羽原清雅

ある新聞記者がみた沖縄50年の現実
沖縄「格差・差別」を追う
羽原清雅

四六判/並製/296ページ
定価:本体1,600円+税
ISBN 978-4-86385-520-5 C0095

 

5月15日。本土復帰から50年。

沖縄における格差や差別。限りない理不尽さは昨日今日、始まったわけではない。
明治初期、山県有朋の時代に作り上げられた、実に150年に及ぶ軍事体制がいまも変わらず沖縄を苦しめる。
民衆に支持されない、いかなる権力もいつかは破綻する。
決して妥協はするな。
歴史に学べば、望むべき道は見えてくる。

 

 

琉球処分に始まる沖縄の受難を細密かつ立体的に記述する名著
 
近代史を書くには歴史家の目とジャーナリストの筆が要る。この二つを兼ね供えた筆者は文献からファクトを選び出し、配列し、文章化する。それがそのままこの人の思想の表明である。
 読んでいて「あわれ沖縄」の感が強まる。

―池澤夏樹(作家)

 

 

2022年5月中旬発売

 

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【目次】

1 山県有朋の「沖縄軍事化」
2 吉田松陰、山県有朋、岸信介、安倍晋三
   ― 長州「差別と軍事強化路線」の定着
3 昭和初期の格差・差別の現実
4 戦前の「不敬罪」の波紋
5 沖縄「差別」の政治的背景
6 広津和郎「さまよへる琉球人」考
7 「琉球処分」の歴史と今
8 「琉球処分」旧慣温存か 改革推進か
9 権力の奈良原繁・民主化の謝花昇の対立
10 沖縄戦・軍部と県民の断絶
11 摩文仁に死す・ある新聞記者の場合
12 死地に赴く1000人の「疎開児童」
13 沖縄戦にあった日米対話的交流
14 「アメリカ世〈ユー〉」下の沖縄のあがき
15 朝日新聞に見る戦時下の著名人の戦争観
16 「孔子廟」最高裁判決は正しかったか
著者あとがき 

 

【著者プロフィール】

羽原清雅(はばら・きよまさ) 1938 年東京生まれ。早稲田大学第一政経学部政治学科卒。朝日新聞入社後、政治部記者を経て政治部長、西部、東京各本社編集局次長、西部本社編集局長、広報担当、西部本社代表などのあと、帝京大学教授、新宿区教育委員を務める。

 

書評ほか

毎日新聞(6/25)「今週の本棚」
《日本国内の米軍基地の7割が集中し、住民が重い負担を負わされている沖縄。その背景を明治初期からの歴史を丹念にたどって記している》

ふぇみん(8/15)書評欄
 《選挙や住民投票で地域の意志が何度示されても、日本政府は沖縄を踏みにじってきた。そんな沖縄差別の構造の源流を、歴史をたどって検証した一冊。》

週刊読書人(8/26)評者=大野光明
《ジャーナリストの葛藤が照らし出す沖縄近現代史》
《国家という枠組みにとどまる限り、いまも声をあげ、考え、行動する民の姿が霞んでしまうのかもしれない》

掲載情報

日本教育新聞(11/5) 評者=羽原清雅さ

《沖縄は、今年、本土復帰から500年になる。本書は、新聞記者として、学者として、沖縄の「格差・差別」を追った重厚な書である。(……)時の権力と時流というものが戦争を正当化して国民もこの風潮を受け入れたとき、新聞はどうあるべきか...。次々と深く考えさせられる内容だ。あらためて、「命と人権」の大事さを思う。50年の節目に、じっくり読みたい一冊。》